休眠顧客から商談数を最大化するための名刺活用方法とは
展示会やセミナー、商談など見込客との接点で獲得した名刺、うまく活用できていますか?
せっかく費用や手間ひまをかけて集めた名刺ですから、放置してしまってはもったいない。しっかりフォローして受注につなげたいものです。
とはいえ、これまでに名刺活用の経験があまりない企業様にとっては、何から手を付けて良いのかわからないかもしれません。
クラウドサーカスでは、そんな方に向けて2021年1月にオンラインセミナーを開催しました。
ここでは、本セミナーの内容から、休眠顧客から商談数を最大化するための名刺活用方法をご紹介いたします。
名刺活用が必要な理由
「冬眠人脈」という言葉をご存知でしょうか?これは、名刺管理サービスを提供するSansan株式会社が2018年に使い始めた言葉で、同社が2018年に実施した調査によれば、名刺交換した人の約61%が活用されていない名刺になってしまっているといいます。これを「冬眠人脈」と呼んでいるのです。
同社では、この「冬眠人脈」による経済機会損失も算出しており、製造業や情報通信業など、営業力が必要な業界ほど、高い損失額になっているといいます。
また、同じくSansanの調査によれば、1枚の名刺の経済価値は74万円に相当するそう。
当社でも、名刺に関する調査を実施しました。2020年4~12月の受注分について、「顕在層コンバージョン」「潜在・準顕在コンバージョン」「過去の名刺データ」のうち、どれからの受注だったかを分析したところ、55%が名刺からの受注でした(※件数ベース)。一方、顕在層からは15%、潜在・準顕在層からは30%しか受注できていませんでした。
このように半数以上が「過去に獲得した名刺」からの受注という結果が出たのは、これまで「獲得名刺から顧客を育成する」取り組みを4年ほど続けた成果だと考えています。
当社の経験から言えることは、「冬眠人脈の掘り起しは、伸びしろが大きい」ということです。
当社がコンサルティングで関わらせていただく企業様を見ていると、マーケティングをスタートしたばかりのフェーズでは、まず顕在層からアプローチするところが多い。
しかし、顕在層だけ対策するより、名刺だけを対策した方が3倍以上も受注できます。
名刺が机の中などに眠った状態になっていると、何も生み出しません。獲得した名刺を活用しないのは、もったいない以外の何ものでもありません。ぜひ、積極的に活用しましょう。
名刺活用の種類
名刺を活用することで、主に「電子化/DB化による連絡工数削減」「人脈管理による営業機会の創出」「SFA/CRM連携による最新情報の更新」「MAツール活用で過去名刺の育成と商談化」といったメリットがあります。
一つずつ、ご紹介します。
電子化/DB化による連絡工数削減
後でご説明しますが、名刺を活用する第一ステップとして、紙の名刺をデータ化します。
データ化することで、検索できるようになります。
紙のままだと、大量の名刺から「今、連絡したい人」を見つけるのは困難です。実際に、先述のSansanの調査では、名刺をデータ化していない場合、月間で約100分も「名刺を探す」ために時間を割いているといいます。
名刺をデータ化したら、SFAなどへインポートするのがベターですが、まずはエクセルなどでも良いので、とにかく「検索」できる環境を整えましょう。
特に、名刺管理の専用ツールを利用すれば、外出先のスマホ、リモートワーク中の自宅PCなどいつでもどこからでも検索可能になるため、おすすめです。
この「電子化/DB化による連絡工数削減」は、電子化さえできれば、すぐに効果を実感できます。
人脈管理による営業機会の創出
一般的な名刺管理ツールがもっとも押し出しているのが、この「人脈管理による営業機会の創出」です。この活用法は、ABM※(Account Based Marketing/アカウント・ベースド・マーケティング)との相性が非常に良く、マッチする企業は即効性あります。
※ABM…BtoB企業において「自社にとって価値の高い顧客を選別して、顧客に合わせた最適なアプローチをする」マーケティング手法。
- 自社メンバーと、取引先(見込客)の社員の相関図を作成
- キーマンとの接触、別部署へのクロスセル創出に活用
- SNSのつながりや、営業支援ツールとの連携でさらに加速
知らないうちに、アプローチしたい見込客の上長と自社の上司が名刺交換していることがあります。自社メンバーと、取引先(見込客)の社員の相関図を作成することで、こうした名刺の獲得情報を共有できるようになり、社内の誰かが獲得した名刺を、ほかの人が活用できるようになります。たとえば、キーマンとの接触や、別部署の方からキーマンを紹介してもらうといったことができるようになるのです。
また、SFAなど営業支援ツールには、特定の条件に合った企業へアプローチしたい場合、その条件にマッチする企業をツールにあらかじめセットしておき、その企業の従業員と名刺交換したら通知が届くという機能があるので、活用したいところです。
SFA/CRM連携による最新情報の更新
前項で、名刺とSFAの連携について触れましたが、CRMとの連携もおすすめです。
SFAやCRMと連携することで、新しく獲得した名刺から役職や部署名、連絡先を更新できるようになります。特に、人事異動情報(昇進・部署異動・新規部署立ち上げなど)は大きな営業チャンスの一つですが、最新の情報を得ることで、タイミングを逃さず活用できます。ツールによっては、自動的に人事情報を採取して、名刺交換時と変更が生じたら知らせてくれる機能が付いています。
情報更新は、メール配信時にも役立ちます。
また、アプローチした人物との接触履歴を貯めて、後で分析することで、自社業部門の強み・弱みを把握できるようになります。
たとえば、アプローチ対象の役職ごとに、アプローチ回数や頻度、商談結果を蓄積し、分析します。こうすることで役職ごとに有効なアプローチ方法を把握できます。
「SFA/CRM連携による最新情報の更新」は、このように中長期的な情報活用施策です。
MAツール活用で過去名刺の育成と商談化
最後が、「MAツール活用で過去名刺の育成と商談化」です。これは、短期・中長期ともに商談を創出できる活用方法です。MAツールを活用して顧客フォローを行い、過去獲得名刺の放置を防いで商談につなげましょう。
放置による機会損失は大きいということは、冒頭でお伝えした通りですが、ダメ押しで以下の資料をご覧ください。
獲得した見込客のうち、直近での購買検討までに至っていいない割合は75%。営業は、すぐ受注できる25%しか追客しないので、放置されてしまいます。しかし、そのうち2年以内に競合他社から購買する割合が80%もあります。これは、非常にもったいないことですよね。
たとえば、展示会に出展して1,000枚の名刺を獲得したとして、営業部門で半年後もフォローしている枚数は20枚程度です。少ないところだと5枚くらいしか追客できていないケースも。せっかくコストをかけて集めた名刺も、大多数が活用されていないのが実態です。
ただ、1対1でのフォローを続けると工数オーバーになってしまいます。1,000枚もの名刺に対して、たとえば、3ヵ月に1回ずつ電話をかけるというのも現実的ではありません。ROIが悪化してしまうからです。そこで、1回の活動で複数の見込客にアプローチする手段が今後、必要になってくる。そこで、1対Nの活動で育成を実施する必要が出てきます。
これを実現してくれるのがMAツールです。
MAを使った名刺活用の4ステップ
MAを使った具体的な名刺活用方法を4ステップでご紹介します。
これは、必ずしもMAがなくても実施できる活用法なので参考にしてみてください。
①保有名刺のデータ化
まずは、保有名刺のデータ化です。とにかく社内に眠っている名刺のデータ化を実施しましょう。具体的な方法として、有料・無料を含めて主に以下の3つがありますが、有料でも1枚当たり60円以下です。
・業者へ委託
→費用はかかるが工数削減。小ロットは不向き。
・無料サービス
→手間はかかるが無料でデータ化。LINE名刺、Wantedly Peopleなど。
・有料サービス
→機能が豊富。スキャナーと連動。Sansan、CAMCARDなど。
コンサルティングサービスを提供していると、名刺活用をこれまでにしたことがない企業でも、社内にだいたい3,000枚くらいの名刺が眠っていることが多いです。そのくらい枚数があれば、MAツールで効果が出せます。
MAツールを導入しないとしても、まずは、名刺を獲得したらデータ化する習慣をつけてください。
②保有名刺へのマーケアプローチ
名刺情報をデータ化できたら、マーケティング的なアプローチを実施します。
具体的な手法は「メール」です。
種類としては、2つあり、ざっくりとセグメント分けをして一斉メール送信する方法と、今すぐ客をあぶりだす内容のメールです。
・ざっくりとセグメント分けをして一斉メール送信(例:展示会名刺リスト)
細かいセグメント分けではなく、まずは優先して送れそうなリードからメールを送信すします。セグメントを細かくし過ぎないことにご注意ください。そもそも、メールの反応率が低いため、あまり細かくすると数値が取れないからです。
・今すぐ客をあぶりだす内容のメールを送信(例:製品紹介メール、キャンペーンメールなど)
ステップメールなどのように細かい設計をしてメールを作成するよりは、まず顕在層の顧客をあぶり出し、商談の創出ができるようなメールを作成しましょう。
メールコンテンツの具体的な作り方は、以下でご紹介します。
コンテンツの作り方
コンテンツ作りで意識していただきたいのは、営業でよくいわれる「4つの不」を解消することです。
上記のほか、たとえば「事例コンテンツ」は4つの不のすべてに効きます。
こららのうち、最初に力を入れるべきなのは「不要」の解消です。
「過去に集めた名刺から商談の創出」という観点からは、製品・サービスの重要性を説くメールを作成するのがおすすめです。
ちなみに、「不信の払拭コンテンツ」は、作成に時間がかかり即効性が低いですし、「不適・不急の払拭コンテンツ」は、失注・ペンディング案件に送信することが多いです。
ただ、大衆的な商材・サービスを扱う場合は、不適のメールが有効な場合もあります。この場合が、逆に「不要の払拭コンテンツ」は不要です。
特定のリストを抽出して、一斉メール配信し、誰がどのメールに反応したかを教えてくれるのがMAツールです。
③商談創出の為の営業アプローチ
自ら動かない「隠れ顕在層」を発見する
データ化してマーケティング的なアプローチを行い、不要を払拭するメールを送信し、反応を得られたら、営業アプローチをしましょう。
経験のある方が多いと思いますが、何かを検討していても、自分からはわざわざ連絡して日程調整する人は少ないものです。
一ヵ月に営業メールが数百件単位で届きますが、そのメールの内容に心を動かされて、返信して日程調整する件数は何件あるでしょうか?ただ、その後、営業電話がかかってきて、商談となることは多いはずです。これが「隠れ顕在層」、冒頭でもお伝えした「準顕在層・潜在層のセグメントです。
隠れ顕在層に対して営業アプローチを「徹底」するだけで商談数は確実に増えます。
逆に電話アプローチしなければ、商談は増えません。
当社で実施した営業アプローチに関するアンケート調査の結果が以下です。
母数が少なくて恐縮ですが、まず、「営業アプローチが徹底できているかどうか」を尋ね、Yes/Noで回答してもらった後、それぞれの回答者にさらに「あなたがお勤め先の営業活動で、あなた自身の新規顧客への初回訪問数は1ヵ月あたり何件ですか?」と尋ねたところ、アプローチを徹底できていない人は「0件」「1~5件」を合わせて80%近くにも上りますが、アプローチを徹底できている人では、約52%にとどまっており、6件以上が半数近くを占めています。
この結果から、アプローチの徹底が商談創出に重要であることがわかります。
もちろん、アプローチの方法も大切ですが、まずはアプローチを徹底することが大切です。
アプローチの管理方法
アプローチの管理方法で当社が重視しているのは、「リスト(顕在層に近いリスト)供給時に、いつまでに、どのくらいの成果が出せるかをコミットさせる」「コミットしたKPI・期限に対して徹底的なリマインドを行う」の二つです。実際にコンサルティングを提供している企業様でも、これを実践してうまくいっています。
営業メンバーへ供給するリストは、「②保有名刺へのマーケアプローチ」で反応のあった見込客にすると効果が出やすいです。逆に、反応のない見込客は、マーケティング部門で「不信」「不要」を払拭するアプローチを行ってください。
隠れ顕在層の見つけ方
隠れ顕在層の具体的な見つけ方としては、自社サイトに、顕在層しか閲覧しないようなコンテンツを設けておき、あらかじめ「それらのページのうち5つを閲覧していたら隠れ顕在層とする」など条件を決めておき、これをクリアした見込客をマーケティング部門から営業部門へパスするという方法がおすすめです。これが最も成果が出やすいです。
もし、人的リソースに余裕があるなら、「準顕在層」も同様に行うと良いでしょう。
MAツールを使うと、ほかにも以下のような方法で「隠れ顕在層」を発見できます。
- 1社から複数人がアクセスしている
- PV数が多い(キーページが含まれるとさらに良い)
- 短期間に何度もアクセスしている
- 検討レベルが高い人向けのコンテンツを閲覧した
- セッション数(閲覧回数)が多い
- マーケ施策に多数触れている
- 過去に検討していた企業が再度アクションした
こうした反響ログから自動的に隠れ顕在層を探してくれるのがMAツールなのです。
④リアクティブ戦略の併用
BtoBの場合、見込客は、論理的、機能的に購買判断するため、購買意欲が“一定のペース”で上がることは、まずありません。BtoBでの購買検討では、長期的に情報収集し、何らかの理由で突然アクティブになり、一瞬で検討が終わることが多いです。これは、さまざまな理由により会社として必要性を感じ、突然検討が始まるためです。
この「リアクティブ」を捉えることも、MAツールなら可能です。
具体的な方法は、問い合わせフォームや資料ダウンロードフォームなどの「フォーム送信」、または「メールクリック」です。
過去の名刺をデータ化し、MAツールへインポートし、MAからメール配信すると、誰が度のメールをいつ開封したか、どのURLをクリックしたかを知ることができます。もちろん、その人が自社サイトのどのページをいつ見たかも把握できるようになります。
リアクティブを数多く把握していくためにも、過去に集めた名刺、これから集める名刺に対して少しでも多くフォーム送信していただき、少しでも多くメールをクリックしてもらう施策が大切になってきます。
そのためにも、Webサイト上にできるだけいろいろな種類のホワイトペーパーやフォームを用意しておく戦略が非常に有効です。たとえば、自己診断シートや業者比較などをホワイトペーパーにすると、ダウンロードされやすいです。
もう一つ、接点を継続的に生み出すことも大切です。
リアクティブの例としては、次のようなものがあります。
- 半年前に失注した案件が商材紹介セミナーに来ている
- 過去Aさんが見積もり提出している見込み客のWebサイト来訪
- 3ヵ月前にホワイトペーパーをDLした見込み客が、商品詳細ページや料金ページをしっかりと閲覧している
- 料金ネックで失注した案件が、キャンペーンメールを開封し、詳細情報を閲覧している
まとめ
1枚の名刺の経済価値は74万円に相当するとの調査結果もあり、せっかく獲得した過去の名刺を活用せずに机の中に眠らせておくことは、もったいないです。
まずは、データ化して検索できる環境を作り、必要に応じてSFAやCRMとも連携させ、マーケティング的なアプローチを実施しましょう。
さらにMAツールを活用すれば、BtoB企業の購買検討に起きがちなリアクティブを補足し、タイミングよく営業アプローチを行うことができるようになります。
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