ペルソナとは?マーケティングやビジネスにおける意味と作り方解説
ビジネスシーンでよく聞く「ペルソナ」という言葉。どのような意味か理解できていますか?
ペルソナを設定すればチーム全体で同じユーザー像を共有でき、アイデアや企画を立案する際に視点がぶれにくくなったり、効率よくプロジェクトを進められるようになったりと、たくさんのメリットがあります。
しかし誤った使い方をすると逆効果になることも。
そこでこの記事では、ペルソナとは?という基本的な情報から、メリット・デメリット、注意点、ペルソナの設定方法まで詳しく紹介していきます。
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目次
ペルソナとは?マーケティングやビジネスにおける意味
ビジネスシーンで使われる「ペルソナ」とは、商品やサービスを利用する「架空のユーザー像」を示す言葉です。「ペルソナを設定する」というと、年齢、性別、職業、年収、家族構成、趣味、性格などを詳細に仮定して、ひとりのリアルな人物像を作り上げます。
もともとペルソナ(Persona)は「劇などの登場人物」「仮面」「外的人格」という意味があり、主に心理学の分野で使われる言葉でした。それがビジネスに浸透していき、現在では一般的なマーケティング用語として定着しています。
ペルソナとターゲットの違い
ペルソナは、ターゲットとよく混同されがちですが、両社には違いがあります。ペルソナとターゲットの違いは、簡単に言うと「人物像に対する解像度の深さ」にあります。
ペルソナはひとりの人物が明確にイメージできるほど細かく人物像を設定するのに対し、ターゲットは「30代・女性・主婦」「20代・男性・ビジネスマン」といった属性を中心に、人物像をざっくりと表現します。
▼ターゲットの例 ・性別:男性 ・年齢:30代 ・年収:800~1,000万円 |
▼ペルソナの例 ・性別:男性 ・年齢:35歳 ・学歴:大学商学部卒 ・家族構成:配偶者と子ども1人 ・年収:800万円 ・仕事:マーケティング担当 ・役職:3名のマーケ部門のリーダー ・企業規模:従業員数300人程度の中堅企業 ・業界:ITサービス業 ・1日の過ごし方:朝は早起きして家族と朝食を食べ、通勤中にニュースサイトや業界のトレンドをチェック。出社後はメールのチェック、チームミーティングを行い、日々のマーケティング活動の進捗管理や戦略のブラッシュアップに従事。午後は外部のパートナーとの打ち合わせが多い。帰宅後は家族との時間を大切にし、子どもと遊んだり、趣味の時間を楽しむ。 ・業界の特徴と仕事への不満と期待:ITサービス業界は変化が激しく、常に最新のトレンドを追いかける必要がある。不満点は、限られたリソース内で多岐にわたるマーケティング活動を効率的に管理することの難しさ。期待していることは、何らかのツールを通じて、作業の効率化と成果の最大化を図ること。 |
ペルソナの重要性
ペルソナを設定することは、「関係者間での認識の統一」と「顧客に自社の製品やサービスを届けやすくする」という2つの点で、非常に重要です。
例えば、ペルソナを設定することで、社内や外部のパートナーとプロジェクトを進めるときにも、どういった顧客を獲得するための戦略や施策を企てればよいのか、共通認識を関係者間で持ちやすくなります。
また、ペルソナが明確であると、獲得したい顧客に関する情報の解像度が上がり、製品やサービスの訴求をする際に刺さりやすいコピーを考えることができるようになったり、適切な販売チャネルや宣伝手法で製品やサービスを流通させやすくなります。
ペルソナを設定するメリット4つ
ペルソナを設定するメリットは大きく分けて4つあります。それぞれを詳しくみていきましょう。
関係者全体でイメージを共有し、効率化できる
個人が「当たり前だ」と考えていることは、年齢、性別、立場によって変化します。商品やサービスを開発・販売していくにはマーケティング担当、企画担当、営業など多種多様な人間が関わるため、言葉にしきれない意図が伝えられず認識にズレが出ることもあるでしょう。
そんなときに活躍するのがペルソナです。ペルソナを設定していれば、立場が違っても「どんな顧客向けのサービスなのか」共通のイメージを持ち仕事が進められます。共通認識ができればユーザー像にばらつきが生じず、アイデアや企画を立案する際に視点がぶれにくくなります。認識のすり合わせに時間を使う必要がないため、プロジェクトを効率よく進められることもメリットです。
ユーザーの立場にたって製品やサービスを考案できる
詳細なデータを用いて設定したペルソナは、生きている1人の人間と同等といっても過言ではありません。その人物が心から満足するだろう商品・サービスを考え出すことは、ペルソナと共通点があるリアルのユーザーのニーズを満たすことにつながります。ペルソナを設定するとユーザー像を深く理解できるため、よりニーズに合致した商品・サービスの設計ができるでしょう。
時間やコストを削減できる
ペルソナがあれば、顧客像について早期に関係者間で認識を合わせることができるため、結果的にマーケティング戦略や施策を考え、実際に成果に繋げるまでの時間もコストも節約することができます。
顧客像が事前に関係者間ですり合っていない場合、筋違いの施策が企画されてしまったり、それを関係者を説得して修正・出し直しを繰り返すうちに、製品やサービスを世に広めるベストな機会を逃してしまうこともあります。また、膨大な広告予算をかけたにも関わらず期待していた以上の成果が出ないといったことも起こり得ます。こういった無駄な時間やコストを削減できる点でも、ペルソナの設計は有用なのです。
ユーザーに響く訴求や、マーケティング施策を打ち出せるようになる
ペルソナは、製品やサービスそのものを企画・設計するときだけでなく、製品やサービスを流通・販売するときのマーケティング戦略を考える上でも非常に重要な役割を果たします。
例えば、製品やサービスの魅力を端的に伝えることができる「キャッチコピー」は、ユーザーのことを深く理解していることで、ユーザーの心に響くものを作ることができます。また、広告やメディアといった宣伝に活用する各種媒体も、ユーザーの行動特性によって最適なものが異なります。このういった、製品やサービスを流通させるときに必要となる戦略や細かな施策の企画・実行においても、ペルソナを設定し深く理解しておくことは重要なのです。
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ペルソナ設定のコツと注意点5つ
ペルソナを設定するとメリットがたくさんあります。しかし、誤ったペルソナを想定してしまうと逆効果となることも。そこでペルソナ設定のコツと注意点を紹介します。
思い込みや理想で作らないようにする
企業が考えるユーザー像と現実のユーザーが同じとは限りません。「商品を購入してほしい人」「利用してほしい人」など、企業が求める理想の人物をつくることはNGです。理想像でペルソナ作成すると、現実のユーザーの希望と大きなズレが生じる可能性があります。
ペルソナを作る際は口コミやユーザーの意見を取り入れて、企業本位にならないように注意しましょう。
わかりやすいペルソナを作る
ペルソナは複数の関係者に共有するイメージです。複雑な設定をすると覚えきれず、ペルソナの良さを生かすことができません。イメージしやすく、記憶に残るペルソナを作ることが重要です。
例えばテキストだけでなくイラストや写真を使えば、イメージと人物を結びつけ想像しやすくなります。また設定を複雑にせず、あくまで一般的なユーザー像にすることもポイントです。誰がみても分かりやすいペルソナを作りましょう。
可能な限り絞り込んで作成するようにする
ペルソナの失敗例のひとつに、ありとあらゆる属性や特徴を含めて1つのものを作成した結果、「抽象度が高く具体性に欠けるペルソナ」や「本当はどこにも存在しないペルソナ」ができあがってしまうということがあります。
ペルソナはあくまで、1人の固有の人間の属性や特徴を言語化したものです。「こんな人もあんな人も顧客になりうる」と考えられるときもありますが、1つのペルソナを作るときは、1つの顧客像に絞って作成してみてください。また、実際ペルソナとして複数のパターンが考えられる場合は、その分ペルソナも複数にわけて作成することをおすすめします。
身近な人を参考にすると具体的に作成しやすい
前述のように、ペルソナを絞り込んで具体的に作成するには、自身の身近にいる人物の属性や特徴、行動を参考にして作成すると良いでしょう。
実際に目の前に存在する人物を参考にして作成できるので、ありとあらゆる人物像をごちゃまぜにしてペルソナを作成してしまう心配や、実態とずれたペルソナを作成してしまうリスクも軽減されます。
定期的な見直しが必要
ペルソナは作って終わりではありません。人間がいつまでも同じ行動をしないのと同様に、ペルソナも世情や環境の変化に合わせて変えていく必要があります。最初に作成したペルソナが、必ずしもずっと正解であり続けるとは限らないのです。ペルソナを作成したら、定期的なブラッシュアップを忘れずに行うように心がけましょう。
ペルソナの設定手順4ステップ
具体的にペルソナの作り方を紹介します。ペルソナを作るには、次の4つの手順が必要です。
STEP1. 自社や顧客について分析する
ペルソナの設定には、自社や自社の製品・サービス、顧客についての理解が欠かせません。市場における自社の強みや、顧客になにを評価され購入に至っているのか理解することにより、自社にとってベストな顧客像(=ペルソナ)を言語化しやすくなります。
自社を理解する方法には様々ありますが、「3C分析」といった基本的なフレームワークで情報を整理するだけでも、充分に理解を深めることができます。3C分析は、「Customer(市場・顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の3つの観点で構成されており、特に顧客については、アンケートによる定量的な理解はもちろん、深いヒアリングによる定性的な理解も非常に重要になります。
STEP2. ペルソナを構成する要素を決める
STEP1で自社について理解を深めたら、ペルソナを具体化していくために必要な要素を決めていきます。一般的な要素には、「仕事」「プライベート」「製品・サービス関連」の3種類があります。
仕事について
仕事に関わる要素は下記です。どのような仕事についているのかという情報だけでなく、仕事に対する意識といった情報を集めておくと、より詳細なペルソナが作れます。
- 企業規模
- 業界(業界の特徴も併せて)
- 役職
- 業務内容
- 1日の過ごし方
- 仕事への期待・不満
- 課題やチャレンジしたいこと
プライベートについて
プライベートについては最低限以下の情報を集めておくと、ペルソナ作成に役立ちます。
- 家族構成
- 学歴、年齢、収入
- 休日の行動
- 趣味
- 情報の入手方法、よく利用するデバイス
- 製品やサービスを購入する際に重視すること
自社商品について
既存顧客がいる場合はアンケートまたはインタビューをして、自社商品についての購入プロセスや感想を収集しておくのもおすすめです。具体的には以下の情報を収集しておきます。
- 製品やサービスに興味をもつようになる理由
- 購入までの行動
- 検索キーワード
- 購入する際の意思決定要因
STEP3. 具体的な内容に落とし込み、リアルな人物像に仕上げる
次に、STEP2で決めた要素を網羅するよう、STEP1で整理した情報を活用し、具体的な人間像を設定していきます。
ポイントは、STEP2で決めた要素を羅列するだけでなく、その人物が実際に経験していそうなストーリーを設定し、そのストーリに沿うよう内容を詰めていくことです。これにより、「過去の経験から現在このような行動をする」といった、人間に必要な奥行きを作ります。最近気になっていることやクセ、具体的な仕事風景・暮らしぶりをイメージして考えるのも良いでしょう。イメージ写真を作ると、よりどのような人物か想像しやすくなるのでおすすめです。
男女や年齢別のペルソナがあると思考の幅が広がるため、可能であれば複数作っておきましょう。
STEP4. PDCAをまわす
ペルソナは、一度設定したら終わりではありません。設定したペルソナを企画や実行を通して、本当に合っているのかどうか確認しながら、必要に応じて中長期で調整をかけていきます。
ペルソナの本質は、顧客の実態として適切な人物像を設定し、施策の企画や実行に活かすことです。実務を通して、設定したペルソナと異なる新たなペルソナを発見した場合、元々のペルソナを調整するだけでなく、新規でペルソナを設定すのもよいでしょう。
ペルソナについて学べる!おすすめの本
はじめてペルソナを作成する方にもおすすめの本を、ここでは2点ご紹介します。
実践ペルソナ・マーケティング 製品・サービス開発の新しい常識
ペルソナ設定の基本について、学ぶことができる一冊です。ペルソナ設定の具体的な手法から、設定後の活用方法まで網羅的に解説されています。例えば、顧客に対してどのタイミングでアンケートやインタビューを実施し、またそこから得た情報をどのように組み合わせるのかなど、実務に沿った内容が記載されており、非常に参考になる一冊です。
“未”顧客理解 なぜ、「買ってくれる人=顧客」しか見ないのか?
どの企業のどんな製品・サービスでも、「知らない・買わない・興味のない未顧客」が市場の大半を占めていますが、マーケティングではそういった顧客に自社の製品・サービスを買ってもらわなければなりません。この本では、未顧客を理解して態度変容を起こさせることで、事業成長を成長に導く原則を、マンガや図表を用いて丁寧に解説されています。ペルソナの設定においても、未顧客の理解は非常に重要になりますので、本書の考え方について理解しておくことは非常におすすめです。
まとめ
ペルソナがあることで、チーム全体の認識統一ができ効率化も図れます。ユーザーへの理解も深まるため、より大きな成果を生み出すためにもペルソナの設定はぜひおこなってみてください。
ただし、誤ったペルソナを設定するとチーム全体を間違った方向に導いてしまう可能性があります。そのため、ペルソナを設定する際は、今回紹介した注意点を忘れずに、ご紹介した書籍なども参考に設定してみるとよいでしょう。
また本記事では、ペルソナ設定を簡単に行うことができるオリジナルワークシート付きの無料資料をプレゼントしております。以下よりダウンロードしていただけますので、この機会にぜひお役立てくださいませ。
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監修者
クラウドサーカス株式会社 石本祥子
新卒でコンサルティング会社に営業職として入社。3年で営業所長代理を経験後、ベンチャー企業を経て、クラウドサーカス社にマーケティング職として入社。
営業とマーケティング、いずれの経験もあることを活かし、クラウドサーカス社が提供しているMAツール『BowNow』において、マーケティングと営業に関するメディアの監修を含む、Webマーケティングの全域を担当している。