マーケティングリサーチとは
マーケティングリサーチは、インターネットやSNSの普及の影響で多くの人にとって身近なものとなり、現在では企業の規模を問わず集客施策の一環として広く活用されています。
マーケティングリサーチの基本的な考え方や活用場面、また、「市場調査」との違い、また具体的な手法とそれぞれのメリット・デメリットについてご紹介しますので、自社で新たなマーケティング施策を開始する際や既存の施策の見直しをする際のご参考になれば幸いです。
マーケティングリサーチとは
マーケティングリサーチとは、マーケティング活動の施策を有効に実施するための判断材料となる調査のことです。企業のマーケティング活動のなかで発生する課題の解決と目的の達成のためにさまざまなデータを収集し、分析・活用することを指します。
「マーケティング」が企業から消費者に働きかけるものであるのに対し、「マーケティングリサーチ」は消費者の動きをもとに必要な情報を調査するものです。マーケティングリサーチの内容および手法(どのような情報をどのように調査するか)は実施する企業やプロジェクトごとに異なり、調査を提案・受託する企業ごとにみてもバリエーション豊かです。
なお、マーケティングリサーチを直訳すると「市場調査」となりますが、マーケティング活動における市場調査とマーケティングリサーチとは区別して理解する必要があります。
マーケティングリサーチと市場調査の違い
マーケティングリサーチは直訳すると「市場調査」となることから、日本においてはいわゆる「市場調査」と混同して認識されるケースがあるようです。
実際にはマーケティングリサーチと市場調査の考え方は異なり、市場調査はそもそもマーケティングリサーチのなかのひとつの方法であるとも言えます。
市場調査の調査対象が「市場」の動向のみであるのに対し、マーケティングリサーチは現状の「市場」の動向から顧客の満足度など潜在的なニーズに至るまでを対象とします。
両者の違いをひとことで言うと、市場調査のキーワードは「これまで」で過去のデータから実態を把握し、マーケティングリサーチのキーワードは「これから」でユーザーの潜在的な要望や心理など未来にかかわるデータを扱い、未来的なニーズまでを探索するということになります。
マーケティングリサーチは数値データのみでは計測できない潜在的なニーズを読み解き、予測します。そのような深掘りができる点でも「市場調査」とは異なるものです。マーケティングリサーチと市場調査は、マーケティング施策の内容により組み合わせて活用されることもあります。
使用場面
マーケティングリサーチは、顧客の潜在的なニーズを探る活動を含むことから、おもに顧客のニーズや課題を探る場面で活用されます。マーケティングリサーチで得られたデータのおもな活用場面は一般的に次の通りです。
- 現在実施中のマーケティング施策を見直す
- 新たなマーケティング施策の仮説が正しいか検証する
- 商品企画、サービス企画(市場調査との併用)
マーケティング施策においても商品・サービスの企画においても、成果を出すためにはターゲットが明確化されていなければなりません。
マーケティングリサーチは、企業がこれからのマーケティング施策および商品企画で扱う商材のターゲットを明確化するにあたり、顧客がどのようなニーズや課題を抱えているかを探る部分で活用されます。
たとえば、顧客を対象としたアンケート調査を実施することで製品について顧客が潜在的に求めている機能やスペック、デザインなどの情報を引き出し、それをもとに商品企画やマーケティング施策のターゲットを決めていきます。
よく用いられる手法とそれぞれのメリット・デメリットについて
マーケティングリサーチの調査は定量調査と定性調査とに分けられます。
定量調査は数的データを扱い、アンケートの集計などから結果を割合などの数値で表します。定性調査は質的データを扱い、ユーザーの発言や行動、状況などの情報を収集します。
定量調査は質的データを扱い、おもに商品・サービスの利用実態の把握のために、定性調査はおもに予測不能な市場に対する仮説立案、また商品・サービスに関する情報(データ)の深掘りのために活用されることが多いです。また、マーケティングリサーチは調査の継続性の観点からさらに「パネル調査」(定点調査、継続調査)と「アドホック調査」(単発調査、カスタム調査)とに分類されます。
調査の方法はひとつに絞る必要は無く、定性調査と定量調査を、パネル調査とアドホック調査を組み合わせて実施することもあります。
マーケティングリサーチの具体的な定量調査・定性調査の手法はおもに次の通りです。それぞれの手法を実施するうえでのメリット・デメリットもあわせて解説します。
【定量調査】
・インターネット調査(ネットリサーチ)
インターネット調査とは、インターネットを通じてアンケートを実施する調査方法で現在では最も幅広く利用されている手法です。
メリットは回収コストが低く手軽に実施できる点、短期間で実施から集計までを行える点、サンプル数を多く見込める点などです。
デメリットは、インターネットの特性から、気密性の高い情報が流出しないよう配慮が必要である点、体験者の状況がわからないため回答の信ぴょう性が疑われるケースがある点、また、体験を伴う内容には向かない点などです。
・郵送調査
郵送調査とは、アンケート(調査票)を対象者に事前に郵送し、記入のうえ返送してもらうという手法です。対象者の住所情報の把握が必要となるので、おもに自治体のアンケートで活用される例が多いようです。
メリットとしては、氏名と住所情報さえあればインターネット環境を持たない人でも対象にできるという点です。
デメリットは、個人情報が必要となるために回答者の抽出などができない点、回答の回収に時間がかかる点、また、回答者の世代や年代によって回収率の低さが見られる点が挙げられます。
・訪問調査
訪問調査とは、調査員を対象者の自宅や職場などに派遣してアンケートを実施する手法です。簡易的なインタビューやホームユーステスト(HUT、商品を持参して対象者にその場で試してもらう手法)と組み合わせて活用することもあります。
メリットは、対面でアンケート回収をするため、回答の理由をその場で聞いて深掘りすることができる点です。
デメリットは、サンプルやテスターを一定量必要とする点、人的コストと一定の時間がかかる点などです。比較的小・中規模の調査に向いていると言われます。
・ホームユーステスト(HUT)
ホームユーステスト (HUT)とは、対象者の自宅で実際に商品やサービスを利用してもらい、その評価データを収集する手法です。
メリットとしては、実際の生活の場である自宅でテストをすることで評価環境のバイアスを最小限にとどめられる点です。
デメリットは、正しい利用方法を管理できないことから、比較するうえで環境条件を揃えられない場合がある点です。また、化粧品や食品についてはアレルギー反応や身体的なトラブルが起こらないよう細心の注意が必要です。トラブルが起こった際の対処法も決定しておく必要があるでしょう。
・会場テスト(CLT)
会場テスト(CLT、セントラルロケーションテスト)とは、調査会場に対象者を集合させてアンケートを実施する手法です。パッケージテストやコンセプトテストなど、さまざまな目的で実施されます。
メリットとしては、会場に調査員が立ち会うことにより気密性の高い情報を取り扱う調査も厳正に管理できること、試食・試飲を伴う商品テストも実施可能な点です。評価データにおける自由回答についてもその場で深掘りして聞くことができます。
デメリットとしては、他の手法に比べて実施コストが高い点です。サンプル(対象者)をインターネット経由や路上キャッチなどで募る必要があり、一定量を確保するのに時間を要する点もデメリットと言えるでしょう。
【定性調査】
・デプスインタビュー
デプスインタビューとは、対象者とインタビュアーの1対1で行うインタビュー調査の手法です。1人に対して1時間ほどかけて行うことが多いようです。
メリットとしては、対象者の情報を深く把握できる点、他人の前では発言しづらいような内容でも比較的聞きやすい点です。
デメリットとしては、複数のサンプルを求める場合は時間とコストがかかる点です。
・グループインタビュー(FGI)
グループインタビューとは、インタビュアーと少人数の対象者グループ(3~8名程度)を一部屋に集め、一定のテーマについて座談会形式で話し合いをする手法です。インタビュアーのほかに司会進行のモデレーターがいる場合もあり、2時間ほどかけて行うことが多いようです。
メリットとしては、グループディスカッションによる相互作用でそれぞれの発言が活発になる点、一度に複数人の発言を収集できる点です。
デメリットとしては、インタビュアーや司会進行の手腕が問われる点です。グループ形式による相互作用のバランスをみながら重要なキーワードにたどり着くための技術が必要です。また、場の雰囲気によっては対象者が委縮してしまい、有効な発言が得られないおそれがあります。
まとめ
マーケティングリサーチを行ってターゲットを明確にすることは、マーケティング施策や商品企画を的確に行い、効率的に成果を高めることにつながります。
これまでは個人の勘や経験にもとづいて判断していたところを、マーケティングリサーチによる客観的・定量的で信頼性の高い調査データに置き換えて判断してもよいでしょう。
マーケティングリサーチを行うことで、当初は想定していなかった新たなターゲットを見つけられることもあります。また、マーケティングリサーチで得た調査データそのものが資産となり、二次活用することができます。調査データを営業資料に活用して信頼性を向上を狙い、自社サイトやSNSのコンテンツに有効活用すれば広告効果を高めることも期待できるでしょう。
狙うべきターゲットの明確化を第一歩とし、ニーズにあった手法でマーケティングリサーチを実践して有効活用して頂ければ幸いです。
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