AISAS(アイサス)とは?AIDMAとの違い、メリットや事例まで徹底解説
AISAS(アイサス)とは、消費者行動を理解するためのフレームワークです。AISASを活用すれば、Web上で消費者が商品・サービスを認知して購買へ至るプロセスを正確に把握することができます。
消費者の購買行動を見える化し、理解を深めることで、消費者の購買行動により最適なアプローチを行うことができ、利益の拡大へとつなげられます。
本記事ではAISASの概要やメリット、効果的な活用方法などについてわかりやすく解説します。AISASを活用した企業の事例も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
事業にすぐ活かせるオリジナルチャート付き!
マーケティングフレームワーク18選
事業戦略や、マーケティング戦略・営業戦略に役立つフレームワークを全18種類、厳選し紹介しています。いまどのフレークワークを活用するべきなのか、質問に答えるだけですぐにわかる『オリジナルチャート付き』です。
目次
AISAS(アイサス)とは?
AISAS(アイサス)とは、消費者行動を理解するためのフレームワークです。Attention(注意)、Interest(興味)、Search(検索)、Action(購買行動)、Share(共有)の5つのフェーズから成り立っており、消費者が商品・サービスを認知してから購入し、SNSや口コミサイトなどで、商品・サービスに関する感想や情報をシェアするという一連のプロセスを表しています。
このフレームワークは、インターネットの普及とともに消費者行動が変化し、情報収集や購買プロセスが複雑化した現代において、企業がマーケティング戦略を立てる際に有効な指針となります。
AISAS(アイサス)の特徴
AISASの最大の特徴は、消費者が情報を「検索」し、その後の行動を「共有」する点にあります。
従来の消費者行動フレームワークである「AIDMA(アイドマ)」では、情報の受け手が受動的に行動する過程を重視していましたが、AISASはインターネットを介して消費者が能動的に情報を収集し、体験を他者と共有する行動に焦点を当てており、インターネット時代に即したプロセスになっています。従来のフレームワークである「AIDMA(アイドマ)」について、次章で詳しく解説します。
AISAS(アイサス)とAIDMA(アイドマ)の違い
AISASは、従来のAIDMA(アイドマ)モデルを進化させ、特にデジタル時代に対応した消費者の行動パターンを捉えるために考案されました。両者の違いについてしっかりと理解しておきましょう。
AIDMA(アイドマ)とは
AIDMA(アイドマ)は、Attention(注意)、Interest(興味)、Desire(欲求)、Memory(記憶)、Action(行動)の5つの段階で消費者の購買行動を説明するフレームワークです。
AISASとの違いは、AIDMAにはDesire(欲求)とMemory(記憶)がある点です。Desireは消費者が商品・サービスを認知し、その詳細について知りたい状態、Memoryは消費者が商品やサービスを購入するまでのリマインドのフェーズを指します。
特にテレビやラジオといったマスメディアが主流だった時代において、消費者が広告を通じて商品に興味を持ち、最終的に購買に至る過程をモデル化しており、一方向的なコミュニケーションが中心となる時代の消費者行動を的確に捉えたフレームワークであるといえます。
AIDMAの進化モデル=AISAS
AISASは、AIDMAを進化させた消費者行動モデルです。特にインターネットなどのデジタルメディアによる消費者行動の変化を反映しています。
消費者自身が、興味を持った情報を「Search(検索)」し、購買後にその経験を「Share(共有)」するといった一連の行動を追加されており、消費者の行動がより細分化され、企業と消費者間のコミュニケーションが、よりインタラクティブなものに変化していることを示しています。AISASは、インターネットが普及した現代のマーケティング環境に適応するための、最も重要なフレームワークの一つとして広く利用されています。
AISAS(アイサス)の5つのフェーズ
AISAS(アイサス)の5つのフェーズについて、より詳しくみていきましょう。
Attention(注意)
Attentionのフェーズでは、消費者が初めて商品の存在を認知します。消費者に商品やサービスを購入(または契約)してもらうために、企業はこの段階で魅力的な広告やインパクトのあるプロモーションを展開し、消費者の注意を引くことが重要です。
適切なメディア選定やタイミング、施策を実行することで、ターゲット層に効果的にリーチできます。
Interest(興味)
Interestのフェーズでは、消費者が商品ついて興味・関心を持ちます。Attentionから一歩進んだこの段階では、商品の特徴や利点を分かりやすく伝えることが求められます。具体的な利用シーンやユーザーの声を活用し、消費者の興味をさらに引き付ける施策や広告を打つことが大切です。
Search(検索)
Searchのフェーズでは、消費者が商品やサービスについてさらなる情報を集めます。インターネットなどを活用して、商品情報や利用者の口コミやレビューを調べるのが一般的です。
消費者が知りたい情報にすぐにアクセスできるよう、SEO対策やWebサイト、コンテンツの拡充やシステム作りが不可欠です。どれだけ自社商材が魅力的であるかを消費者に訴求できるかどうかで、購買意欲を高められるかにつながり、その後の行動に大きく影響します。
Action(購買行動)
Actionのフェーズでは、消費者が実際に商品の購入やサービスへの申し込みを行います。スムーズな購買体験を提供するため、ユーザーフレンドリーなECサイトや適切な販促キャンペーンを展開することが重要です。また、購入後のフォローアップも忘れずに行い、リピーターの獲得を目指します。
Share(共有)
Shareのフェーズでは、消費者が購買体験や商品やサービス情報をSNSや口コミで共有します。ポジティブな体験や感想、評価を共有してもらうことで、ブランドの認知度や信頼性が向上するため、AISASを構成する5つの要素のなかの最重要フェーズといわれています。潜在顧客が商品・サービスを購入する際の判断材料になるので、新規顧客の「Attention」や「Interest」につながる可能性が高くなるからです。
企業は、シェアされやすいコンテンツやキャンペーンを提供することで、自然な形でのプロモーションを促進できます。実際にこのフェーズに注力している企業は多く、具体的には、商品ページにシェアを促すSNSボタンを設置したり、口コミを投稿した顧客に対して割引クーポンを配布したりするなどの施策が実施されています。
事業にすぐ活かせるオリジナルチャート付き!
マーケティングフレームワーク18選
この資料では、以下のことを紹介しています。 ✔ マーケティングフレークワークの活用メリット ✔ オリジナルチャートでわかる!いま活用すべきフレームワーク ✔ マーケティングフレーム18種の解説
AISAS(アイサス)を活用するメリット
AISAS(アイサス)を活用することで、具体的にはどのようなメリットが得られるのでしょうか?主な3つのメリットを解説します。
各フェーズに最適なアプローチができる
消費者はAISASの各フェーズにおいて、様々な行動を取るため、企業はそれぞれの消費者がどの段階にいるかを把握して、適切な施策を実施することが求められます。AISASを活用することで的確に顧客のフェーズを理解することができ、最適なアプローチを行うことが可能です。
適切なマーケティング戦略を展開できれば、消費者の行動を効果的に誘導できます。例えば、Attentionの段階ではインパクトのある広告を打ち出す、SearchのフェーズではSEO対策を強化するなど、それぞれの段階に応じた効果的な施策を実施できます。
BtoC・BtoBの両方に対応できる
AISASはBtoCだけでなく、BtoBマーケティングにも応用可能です。以前はBtoC商材の方が向いていると言われていましたが、SaaSビジネスモデルの台頭によって、BtoB商品やサービスでも口コミやレビューを重視するようになりました。
消費者が情報を検索し、共有するプロセスは企業間取引でも重要な要素となるため、AISASはBtoBビジネスでも有効なフレームワークとして、多くの企業で活用されています。
「共有」による新規リード獲得
AISASのShareフェーズでは、消費者が自身の購買体験を共有することで、新たなリードを獲得する可能性が高まります。ポジティブな口コミやSNSでのシェアは、信頼性の高いプロモーションとなり、潜在顧客の興味を引き付けるからです。企業はこれをうまく活用することで、認知獲得のための広告費をかける必要がなく、自然な形でのリード獲得を促進できます。
AISASの効果的な活用方法
AISASを効果的に活用するためには、各フェーズにおける消費者の行動を詳細に分析し、適切なマーケティング施策を講じることが重要です。各フェーズにおいてキーとなる施策や、具体的な例を表にまとめました。
フェーズ | 消費者行動 | キーとなる施策・ポイント | 施策例 |
---|---|---|---|
Attention | 商品・サービスの認知 |
|
|
Interest | 商品・サービスへの関心を抱く |
|
|
Search | 商品・サービスに関する情報収集 |
|
|
Action | 商品・サービスの購入 |
|
|
Share | 商品・サービスの口コミや評価をシェア |
|
|
AISAS(アイサス)を活用した企業の事例2選
実際にAISAS(アイサス)を活用して成功を収めた企業について、2つの事例を紹介します。AISASのフェーズごとに解説するので、ぜひ参考にしてください。
スターバックス
世界的コーヒーチェーン店であるスターバックスもAISASを効果的に活用して成功を収めています。特にShareにおける効果的な施策の実施が特徴です。
Attention(注意)
スターバックスは、新商品やキャンペーンの情報を多彩なメディアで発信していますが、主にSNSに主軸を置いている点が特徴です。膨大な広告費をかけなくても、商品の認知を拡大できる体制が整っているため、SNSや公式アプリを活用して情報発信を行えば、投稿した商品の情報はすぐに拡散され、タイムリーな情報提供が実現できます。
Interest(興味)
投稿やシェアされた情報を見た潜在層の中に、商品に興味を持つユーザーが現れ、そのうちの何割かはさらにリツイートによる拡散を行うことで、さらに情報が拡散されます。そしてその投稿を見たユーザーがまた興味・関心を持ち…と連鎖していくシステムが出来上がっています。
またスターバックスは、消費者の興味をより強く引き付けられるよう、新商品の紹介や店舗の雰囲気を伝えるビジュアルコンテンツなど、魅力的なコンテンツを提供している点も参考になります。
Search(検索)
消費者は、スターバックスの公式サイトやSNSアカウントを検索して、商品の詳細情報や口コミを検索します。検索エンジン最適化(SEO)やSNSの運用が、このフェーズで重要な役割を果たします。多くのユーザーはハッシュタグを活用した検索や、投稿を行うということも覚えておきましょう。
Action(行動)
興味・関心の高まった消費者は、スターバックスの店舗やオンラインストアで商品を購入します。スムーズな購入プロセスと魅力的なキャンペーン、新商品のプロモーションなどが、購買行動を促進します。
Share(共有)
購入後、消費者はSNSで体験を共有します。スターバックスは、消費者がシェアしたくなるようなコンテンツやキャンペーンを提供し、自然な形でのプロモーションを促進しています。特にスターバックスはSNS映えする商品や外観、おしゃれな内装などが特徴で、拡散されやすい傾向にある点がポイントです。膨大な広告費をかけなくても、集客効果が期待できます。
事業にすぐ活かせるオリジナルチャート付き!
マーケティングフレームワーク18選
この資料では、以下のことを紹介しています。 ✔ マーケティングフレークワークの活用メリット ✔ オリジナルチャートでわかる!いま活用すべきフレームワーク ✔ マーケティングフレーム18種の解説
RIZAP(ライザップ)
AISASを活用して成功した企業として、RIZAP(ライザップ)も有名です。
Attention(注意)
RIZAPは、インパクトのある広告や宣伝を通じて、知名度を急速に上げました。特にテレビCMやSNS広告を有効活用し、広範囲にリーチしています。耳に残るBGMや印象に強く残るビフォーアフターの映像などを使用することで、ユーザーの記憶に残りやすいプロモーションを実施したのが特徴です。
Interest(興味)
RIZAPは、認知度が高まった頃、有名人や著名人をCMに起用することで、さらにユーザーの興味・関心を引きつけました。「たった2ヵ月でこのカラダ」や「結果にコミットする」など、わかりやすいキャッチコピーも併せて有効に活用することで、サービスの利益訴求に成功しています。
Search(検索)
認知が拡大し、興味・関心の高まった消費者が検索することを予測し、RIZAPは公式サイトのコンテンツを充実させました。また、ネガティブな評価に対応するため、アフィリエイトを効果的に活用し、高い評価やポジティブな口コミが上位に表示されるよう、SEO対策などにも力を入れました。
Action(行動)
RIZAPでは、入会のハードルを下げるために「30日間全額返金保証制度」を設けています。トレーニングプログラムは比較的高額ですが、金額が高くて悩むユーザーや、尻込みしてしまうユーザーの不安を拭い、背中を押す効果があります。また、オンラインでの申し込みプロセスや店舗でのカウンセリングなども、入会を促進しています。
Share(共有)
トレーニングの成果をSNSで共有する消費者が多く、RIZAPはこのシェアを活用してブランドの信頼性を高めています。特に体験の変化はビジュアル的なインパクトも大きいため、ユーザーのSNS投稿への熱量が高い傾向にあります。
体型のビフォーアフター画像は、ビジュアルコンテンツがメインであるInstagramとの相性が良く、ハッシュタグで検索すると多くの投稿があることがわかります。ポジティブな体験の共有によって、多くの潜在層へとリーチできるのです。
AISASの次世代モデル「Dual AISAS」
AISASについて解説しましたが、現在ではAISASをさらに発展させた次世代モデル「Dual AISAS」が登場しています。Dual AISASは、現代の消費者の購買行動に即した双方向のコミュニケーションを反映し、SNS時代の消費者行動パターンを可視化している点が特徴です。
従来のAISASにおいて、「Share」は商品・サービス購入後に行われるものと考えられていたため、フレームワークの最終段階に位置付けられていました。しかし、現在ではSNSの共有は購入後に限定されるのではなく、購入をしない場合や、購入前においてもシェアするユーザーが増えています。
そこで「Dual AISAS」には「SNSで商品を広めたい」という概念が反映されています。AISASの「Interest」に、拡散することを目的とした横向きのAISASが加わっており、各要素は以下で構成されているのが特徴です。
- Activate(活性化)
- Interest(興味)
- Share(共有)
- Accept(受容)
- Spread(拡散)
上記の要素は「A+ISAS」と表記されます。この状態にある消費者は「コミュニケーション関心層」といい、商品やサービスではなく、それらを通したコミュニケーションに対する興味関心があります。拡散はするものの商品・サービスの購買行動は起こさない傾向にあるので、この層をいかにして従来のAISASモデルへ誘導し、購買へとつなげられるかが重要です。
まとめ
本記事ではAISASの概要や活用メリット、効果的な活用方法、実際の成功事例などについて解説しました。
Webマーケティングにおいて欠かせない要素である顧客理解において、AISASはとても重要な役割を果たします。デジタル時代の消費者行動を的確に捉え、適切な施策を実施していけば、新規リード獲得や集客力アップ、そして利益拡大など、あらゆる面における発展が期待できます。ぜひAISASを活用し、自社のマーケティング戦略に役立ててみてください。
『事業にすぐ活かせるオリジナルチャート付き!マーケティングフレームワーク18選』をダウンロードする
以下のステップに沿ってフォーム入力することで、資料ダウンロードいただけます。
この資料でこんなことがわかります!・マーケティングフレークワークの活用メリット ・オリジナルチャートでわかる!いま活用すべきフレームワーク ・マーケティングフレーム18種の解説
監修者
クラウドサーカス株式会社 石本祥子
新卒でコンサルティング会社に営業職として入社。3年で営業所長代理を経験後、ベンチャー企業を経て、クラウドサーカス社にマーケティング職として入社。
営業とマーケティング、いずれの経験もあることを活かし、クラウドサーカス社が提供しているMAツール『BowNow』において、マーケティングと営業に関するメディアの監修を含む、Webマーケティングの全域を担当している。