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MECEとは?フレームワークやわかりやすい例もまとめて紹介

(公開:2024/11/29)
MECEとは?フレームワークやわかりやすい例もまとめて紹介

MECE(ミーシー)とは「モレなく、ダブりなく」という意味や状態を表す言葉です。ロジカルシンキングの基本と位置づけられています。本記事では、ビジネスシーンで重要視されているMECEについて、具体例を用いて考え方や理想的な状態を解説。フレームワークも紹介します。

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MECEとは?

MECE(ミーシー)とは、「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の頭文字を取って作られた、「モレなく、ダブりなく」という意味や状態を表す言葉です。ロジカルシンキングの基本と位置づけられています。

  • Mutually:互いに
  • Exclusive:重複せず
  • Collectively:全体に
  • Exhaustive:漏れがない

MECEに考えることで、複雑な物事を整理して、論理的に考えることができます。マーケティングや戦略立案など、さまざまなビジネスシーンで活用されている手法です。

 

MECEの具体例:「モレなく、ダブりなく」とは

MECEの核心は、「モレなく、ダブりなく」という状態を実現することです。具体例を挙げて、その考え方を見ていきましょう。

MECEとは

MECEの状態

まず、MECEの状態の状態を説明します。たとえば、以下のように、市場をターゲット層で分類してみました。この分類は、すべての人がどれか一つの区分に必ず当てはまり、重複も漏れもありません。これがMECEの理想的な状態です。

  • 0〜20歳
  • 21〜40歳
  • 41〜60歳
  • 60歳以降

 

MECEではない状態

次に、MECEではない状態を紹介します。MECEではない状態には、以下の3つのパターンがあります。

▼モレあり、ダブりあり

  • 学生
  • 社会人
  • 主婦

顧客層を「学生」「社会人」「主婦」と分類した場合、学生でもアルバイトをしている人や、主婦でもパートで働いている人が含まれてしまうため、ダブりが発生します。さらに、無職の人はこの分類に当てはまらないため、モレが生じます。

 

▼モレあり、ダブりなし

  • 営業部
  • 経理部
  • 人事部

会社の部署を「営業部」「経理部」「人事部」と分類した場合、広報部や開発部など、他の部署が抜け落ちてしまう可能性があります。

 

▼モレなし、ダブりあり

  • 食品
  • 飲料
  • 日用品

商品を「食品」「飲料」「日用品」と分類した場合、食品と飲料の両方に該当する商品が出る可能性があります。MECEの考え方を意識することで、このようなモレやダブりを防ぎ、より正確で効率的な分析や意思決定を行えます。

 

MECEはなぜ必要?使われるようになった背景

MECEは現代のビジネスにおいて、欠かせない思考法となりました。では、なぜ多くのビジネスパーソンがMECEを重要視し、積極的に活用するのでしょうか?

その背景には、現代社会におけるビジネスの複雑化と、スピードの加速が挙げられます。企業が直面する課題は、複数の要因が絡み合い、いままでの手法では解決が難しいものも少なくありません。限られた時間の中で、効率的に課題を解決して成果を上げるためには、物事を正確に捉えて、整理する力が求められます。

MECEは、まさにそうした物事を整理するツールとして機能します。複雑な問題を、「モレなく、ダブりなく」分解することで、課題の全体像を把握しやすくなるだけでなく、それぞれの要素に適切な対策を講じることも可能です。こうした理由からMECEは、ビジネスのあらゆる場面で問題解決をスムーズに進めるためのツールとして、多くのビジネスパーソンに支持され、使われるようになりました。

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ビジネスにおけるMECEの活用例

実際に、MECEはビジネスでどのように活用されているのでしょうか?ここでは、ビジネスにおけるMECEの活用例を紹介します。

課題を明らかにする

MECEは、ビジネスにおける課題把握に役立ちます。たとえば、「プロジェクトの進捗が遅い」という悩みを抱えているとします。闇雲に解決策を探しても、効果的な施策はなかなか見つかりません。思考にダブりがあれば、同じことを何度も繰り返す無駄が発生して、時間を消費してしまいます。では、MECEを使って「プロジェクトの進捗が遅い」という例を考えてみましょう。その結果、原因を以下のように分解できました。

①人的要因:担当者のスキル不足、人員不足など

②技術的要因:必要な技術やツールの不足、システムトラブルなど

③プロセス的要因:非効率な作業工程やコミュニケーション不足など

④外的要因:市場環境の変化や競合の出現など

課題を要素分解することで、「人的要因のうち、特にスキル不足が顕著である」といった具体的な問題点が見えてくるでしょう。MECEを使って考えることで、複雑な問題もシンプルに考えることができます。

 

論理的に説明する

MECEに考えると、他者に説明する際の説得力を高めることも可能です。特に、報告やプレゼンテーションなどの分かりやすい説明が求められる場面で役立ちます。

たとえば、顧客に新サービスを提案する場面を考えてみましょう。MECEを使わずに提案した場合、モレやダブりが起きて「結局同じことを言っているのでは?」「こういうケースもあるけど…」と、相手に疑問を残してしまいます。そこで、MECEを使って以下のように話を分解し、整理して説明します。

①顧客の課題
まず、顧客が抱える課題を明確化します。たとえば、「御社は、業務効率化とコスト削減が課題だと伺っております」など。

②サービスの特徴
次に、サービスの特徴をMECEで分類します。ここでは「業務効率化」と「コスト削減」という2つの軸で説明します。

③導入効果
最後に、それぞれの軸において、具体的な導入効果を数字で示します。「業務効率化」軸では「従来比20%の時間短縮が可能」、 「コスト削減」軸では「年間100万円のコスト削減を見込めます」などを説明します。

重複のない形で情報を整理することで、相手が話を理解しやすくなります。また、理路整然と説明できるため、根拠に基づくメリットを提示でき、説得力のあるプレゼンテーションが行えます。このように、MECEを活用することで、論理的かつわかりやすい説明ができます。筋道が通った論理的な説明は、相手に納得感を与え、信頼を築くことにもつながります。

 

MECEに考える方法

代表的なアプローチ方法は「トップダウンアプローチ」と「ボトムアップアプローチ」の2種類があります。明確な全体像がある場合はトップダウンアプローチ、まだ見えていない場合はボトムアップアプローチを使うと良いでしょう。ここでは、それぞれのメリット・デメリットを交えながら、詳細を解説していきます。

MECEに考える方法

 

トップダウンアプローチ

トップダウンアプローチとは、大きな枠から細かい部分へ、段階的に細分化していく方法です。この方法は、全体像がしっかりしている場合に特に効果があります。

たとえば、課題や問題解決のためにMECEを使いたい場合、まずは「どういった問題が出ているのか」という問題の全体像を考えます。そして、人的要因なのか、プロセスが問題なのか、細かく要素を分解しながら思考していきます。

トップダウンアプローチのメリットは、全体像を常に意識することで、見落としや重複を防ぎやすくなる点です。前提となる全体像が誤っていると、モレやダブりが発生するため、まずは全体像をしっかりと把握してから分析を行いましょう。

 

ボトムアップアプローチ

ボトムアップアプローチは、個々の要素を洗い出し、それを元に全体像を構築していく方法です。この方法は、全体像がまだ見えていない場合に役立ちます。

このアプローチの最大の利点は、未知の領域でも思考を始めやすい点です。たとえば、新規市場に進出する、まだ情報が少ない場合。まずは、市場のニーズや競合の状況をひとつずつ洗い出し、そこから全体の戦略を考えることが可能です。

一方で、全体像があいまいなため、要素に漏れが生じやすいというデメリットもあります。多くの情報を集めた際は、体系的にまとめることが大切です。これにより、視野が狭くならずに、漏れや重複を防げます。

 

MECEに考えるための4つの切り口

MECEは、トップダウンアプローチ・ボトムアップアプローチで説明した通り、「全体像」と「個々の要素」を使って考えます。抜け漏れなく考えるためには、それぞれの要素を正確に捉えることが重要です。

ここで問題となるのが「個々の要素」です。「全体像」は元々はっきりしているか、小さな要素を寄せ集めて導き出せますが、「個々の要素」は明確な指標がなく、分析者自身で切り口を考えて分解していく必要があります。MECEに考える際に、一番悩むポイントでしょう。そこで、MECEで考える際に役立つ、4つの切り口を紹介します。

それぞれの切り口は、組み合わせて活用することで、より効果を発揮します。状況に応じて適切な方法を選択したり、複数の方法を組み合わせたりしながら、思考を整理し、より質の高いアウトプットを目指しましょう。

 

要素分解

問題や課題の全体像を、細かな要素に分解していく思考方法です。分解した要素を全て足し合わせると、元の全体像と一致するため、「足し算型」「積み上げ型」とも呼ばれています。たとえば、新規案件の獲得に向けた戦略を考える場合、対象となる市場や顧客を属性ごとに分解します。

要素分解で大切なのは、分解された要素を組み合わせたときに、元の全体像とズレが起きないようにすることです。

 

因数分解

因数分解は、物事を計算式に表すことで、要素を分ける手法です。たとえば、企業の売上は「売上=顧客数×顧客単価」と表現できます。この手法を用いれば、「売上」は「顧客数」と「顧客単価」に分解できるとすぐにわかります。

因数分解とは、大きな概念を計算式を用いて具体的な要素に分けることで、構成要素を明確にする手法で、計算式のある事柄を思考する際に役立ちます。

 

対象概念で考える

分析対象に対して、その反対に位置する概念を挙げて考える方法です。たとえば「価格」は、「高価格帯」と「低価格帯」という対照概念が設定できます。対照概念を用いることで、新たな視点や発想を得ることも期待できるでしょう。

 

時系列・工程で分類する

物事を時間の流れや工程に沿って整理する方法です。たとえば、プロジェクトの進行を「計画→実行→評価→改善」といったように段階別に分類します。

それぞれの段階における課題や改善点を明確にしたいときに役立つ手法です。効率よく業務を進める手助けになります。プロセス管理の観点から見ても非常に有効です。

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MECEを活用するフレームワーク9つ

MECEを活用するフレームワークを紹介します。各手法は独立しているものの、状況に応じて組み合わせることで、さらなる分析精度向上も期待できます。

3C分析

3C分析とは、市場・顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3つの要素に分けて自社の現状を分析するフレームワークです。経営戦略、マーケティング戦略を策定する際に用いられます。

3C分析

関連記事:3C分析とは?やり方やポイント、活用方法をわかりやすく解説

 

4P分析

4P分析とは、自社商品・サービスを、流通(Place)、価格(Price)、製品(Product)、販売促進(Promotion)の4つの要素に分解してマーケティング戦略を検討するフレームワークです。

4P分析

関連記事:4P分析とは?進め方や効果を高めるポイント・企業事例を徹底解説

 

SWOT分析

SWOT分析とは、企業の内部環境と外部環境を、強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)の4つの要素にわけて分析するフレームワークです。自社の内部環境と外部環境を把握することができ、ビジネスチャンスやリスクを見つけ出すのに役立ちます。

SWOT分析

関連記事:SWOT分析とは?やり方やコツ、分析例まで詳しく解説

 

5フォース分析

5フォース(ファイブフォース)分析とは、市場の競争状況を把握するために使用するフレームワークです。

業界内の競争、新規参入者の脅威、代替品の状況、買い手の交渉力、売り手(サプライヤー)の交渉力の、5つの要素で市場を分析します。この分析により、市場の収益性や競争優位性を評価できます。

 

PEST分析

PEST分析とは、政治(Political)、経済(Economic)、社会(Social)、技術(Technological)という4つの外部要因を分析するフレームワークです。市場の環境変化やトレンドを把握することで、戦略的な意思決定を行うための情報を収集します。新規事業開発時などに有効な分析手法です。

PEST分析

関連記事:PEST分析とは?やり方や具体例などをわかりやすく徹底解説

 

AIDMA

AIDMAとは、顧客の購買プロセスを段階的にわけて分析するフレームワークです。購買プロセスは、注意(Attention)、関心(Interest)、欲求(Desire)、記憶(Memory)、行動(Action)の5つの段階に分類します。この流れに基づいてマーケティング戦略を構築することで、効果的なプロモーションが実現できます。

AIDMA

関連記事:AIDMA(アイドマ)とは?AISAS(アイサス)との違いや他フレームワークと合わせて紹介

 

バリューチェーン

バリューチェーンとは、企業の価値創造プロセスを視覚化したものです。原材料の調達から最終製品の提供までの各ステップを分析し、どの部分で改善が可能かを検討します。この手法を使うことで、効率的な業務運営が可能になります。

 

製品ライフサイクル

製品ライフサイクルとは、製品が市場に出てから退場するまでの過程を示します。導入期、成長期、成熟期、衰退期の4つの段階を理解することで、製品戦略を柔軟に変更できます。市場の変化に応じた適切な対応を把握したいときに役立つ手法です。

 

ロジックツリー

ロジックツリーとは、要素を図に書き出すことで問題を明確にし、視覚的に整理するための手法です。課題を階層的に整理し、関連する要素をMECEに分けることで、分析結果をわかりやすく示すことができます。チームで問題を共有し、認識を統一したいときにも役立ちます。

ロジックツリー

関連記事:ロジックツリーとは?作り方や例を4つの種類別に徹底解説

 

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MECEに考える際の注意点

ここでは、MECEに考える際の注意点を2つ紹介します。

分類できないこともある

すべての情報を完全に分類できるわけではありません。明確に区切れず境界があいまいなもの、多くの側面を持つもの、時代によって変化するものなど、適切に分類できないものも多くあります。

MECEを適用する際は、分類できない要素があることも理解して、柔軟にアプローチすることが求められます。問題解決の過程で行き詰まった場合は、別の視点から見直したり、他の方法を検討することも大切です。

 

分類できないこともある

MECEは問題を整理するための手段であり、目的そのものではありません。分類に意識を集中しすぎると、本来解決しなければならない課題から目を逸らしてしまう危険があります。大切なのは、MECEを通じて得た結果を元に、具体的な問題解決へとつなげることです。

 

まとめ

ビジネスではMECEを求められるシーンが多々あります。とっさの時に考えられるよう、日頃から練習をしておくと良いでしょう。MECEを活用するためには、問題に最適なフレームワークを判断する力も必要です。活用方法を正しく理解して、問題解決への道筋を見つけてください。

 

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監修者
クラウドサーカス株式会社 石本祥子

新卒でコンサルティング会社に営業職として入社。3年で営業所長代理を経験後、ベンチャー企業を経て、クラウドサーカス社にマーケティング職として入社。
営業とマーケティング、いずれの経験もあることを活かし、クラウドサーカス社が提供しているMAツール『BowNow』において、マーケティングと営業に関するメディアの監修を含む、Webマーケティングの全域を担当している。

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