名刺をデータ化する方法とは?メリットや注意点もあわせて紹介
名刺管理の効率化を考えるなら、名刺のデータ化を進めましょう。ビジネスシーンにおいて、名刺は新たな人脈を築くための重要なアイテムです。しかし、名刺の数が増えれば増えるほど、その管理は煩雑になります。名刺情報をデジタル化することで、効率的な管理が実現し、必要な情報にすぐにアクセスできるようになります。
本記事では、名刺をデータ化する具体的な方法やメリット、注意すべきポイントについて詳しく説明します。
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近年、多くの企業でデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みが進み、その対応が急がれています。本書では、セールス&マーケティング領域で必要なDXと実現のためのおすすめステップについて解説しています。
目次
名刺をデータ化するメリット
名刺をデータ化することで得られるさまざまなメリットがあります。ここでは、代表的なメリットを詳しく見ていきましょう。
名刺情報を共有できる
紙の名刺は、その場での情報交換には便利ですが、社内での共有には紛失のリスクや情報の検索性に課題があります。データ化することで、これらの課題を解決し、社内での情報共有をスムーズに行えるようになります。
紙ベースの名刺管理では、必要な情報を探すために、担当者に問い合わせたり、デスク周辺を探したりするのに多くの時間がかかっていました。しかし、名刺をデータ化し、社内システムで一元管理すれば、誰でも簡単に必要な情報にアクセスできます。
例えば、顧客から電話があり、すぐに過去の商談履歴を確認したい場合、データ化されていれば顧客名で検索するだけで、過去の担当者や商談内容を見つけ出すことができます。名刺情報を共有しておくことは、顧客との関係性を深め、スムーズなビジネス展開を実現する上で、大きなメリットといえるでしょう。
簡単に名刺情報が検索できる
膨大な紙の名刺の中から必要な情報を探し出すのは、非常に手間がかかる作業です。しかし、名刺をデータ化しておけば、顧客名や会社名などのキーワード検索で、あっという間に必要な情報を見つけられます。
この結果、業務効率が向上し、急な顧客からの問い合わせや商談にもスムーズに対応できるようになります。信頼関係を築くチャンスも増えるでしょう。名刺データベースを活用することで、効率的かつ効果的な顧客管理が実現できます。
外出先からも閲覧できる
名刺をデータ化することで、必要なときにいつでも名刺情報を確認できるようになります。紙媒体で管理している場合、外出先で名刺の内容を把握するには、その場に持ち合わせているか、オフィスに戻ってから確認する必要がありました。
しかし、データ化することで、スマートフォンやタブレット端末から、簡単に情報にアクセスできるようになります。外出先だけでなく、在宅勤務中に取引先の電話番号を調べる際も、迅速に対応することが可能です。場所を問わず、必要な情報にアクセスできる点は、働き方が多様化する現代において大きなメリットです。
効率よく顧客へアプローチできる
名刺をデータ化して、顧客リストを作成することで、効果的な営業活動ができるようになります。例えば、メールマガジンを配信する場合、従来の紙の名刺では、メールアドレスの入力や単発の送信に手間がかかりましたが、データ化によりこれらの作業をスムーズに行えるようになります。
さらに、MA(マーケティングオートメーション)ツールや、SFA(営業支援システム)と名刺データを連携すれば、顧客との接点を持つための最適なタイミングを見極めやすくなります。顧客情報が一元管理されることで、ニーズに合わせたコンテンツを送信したり、ターゲット層に向けたマーケティング施策を展開したりできます。見込み顧客や休眠顧客の発掘も可能になり、新たなビジネスチャンスの創出につながるでしょう。
名刺をデータ化する6つの方法
続いて、名刺をデータ化するための具体的な方法を紹介します。
1.スキャナーや複合機で読み込む
社内にスキャナーやスキャン機能を搭載した複合機があれば、これらを使用して名刺をデータ化できます。近年では、大量の名刺もすばやく処理できる、名刺専用の高速スキャナーも登場しています。
名刺スキャナーは、「据え置きタイプ」と「モバイルタイプ」の2つに分けられます。オフィスに設置して使う据え置きタイプは、大量の名刺をセットするだけでスキャンできる「自動給紙装置」を搭載したものもあり、効率的に処理できます。また、名刺だけでなく書類のスキャンも可能です。一方で、外出の機会が多い方には、コンパクトなモバイルタイプがおすすめです。カバンに入れて手軽に持ち運べるため、外出先でも名刺のデータ化がスムーズになります。
読み込んだデータは、CSVやExcelなどの形式で出力したり、データベースに自動登録したりすることができます。製品によって提供される機能は異なるため、自社の目的に合ったものを選ぶことが大切です。
2.Excelなどの表計算ソフトを使用する
ExcelやGoogleスプレッドシートなど、多くの企業で導入されている表計算ソフトを使用すれば、追加のコストをかけずにデータ化が可能です。具体的には、名刺の会社名や氏名、部署名、役職などの情報をExcelに入力し、一覧表を作成します。名刺交換日やその後の営業活動についても記録しておくと、その後の活用の場が広がるでしょう。
また、無料のテンプレートが多数公開されているため、これらを活用すれば効率的にデータ化を進められます。一度作成したデータは、オフライン環境でも閲覧できるため、外出先でも顧客情報を確認しやすくなります。
一方で、このような名刺管理には、時間や手間がかかります。情報入力や更新を手作業で行う必要があるため、ミスが発生することも考えられます。複数人で同時に編集することが難しい点も、運用上の課題といえるでしょう。
3.Google Keepを活用する
Google Keepは、Googleが提供する無料のメモアプリです。Googleアカウントを持っていれば、誰でも簡単に利用できます。スマートフォンのカメラで名刺を撮影し、Google Keepに画像で保存して名刺管理をします。Google Keepの強みは、画像内の文字を自動で抽出し、テキストデータとして保存できることです。抽出されたテキストは、Google Keep内で直接検索できるため、効率的に情報を探すことができます。また、名刺データにタグやカテゴリを設定することで、必要な名刺をすぐに見つけられるようになります。
ただし、Google Keepはあくまでメモアプリであり、名刺管理に特化した機能は限られています。例えば、入力できる文字数には制限があり、OCR機能の精度は専用の名刺管理アプリと比較すると劣ることがあります。このようなGoogle Keepの特性を理解して活用することが大切です。
4.GoogleドライブのOCR機能を利用する
Googleドライブには、OCR(光学式文字認識)機能があります。この機能を利用すると、名刺をスキャンし、その画像からテキスト情報を自動で抽出できるため、コストをかけずにデジタル化が可能です。
使い方は簡単です。まず、Googleドライブアプリに名刺専用のフォルダを作成し、スマートフォンで撮影した名刺の画像をアップロードします。すると、名刺は自動でトリミングされ、保存しやすい状態に整えられます。次に、パソコンからGoogleドライブにアクセスし、保存した名刺ファイルをGoogleドキュメントで開きます。OCR機能によってテキストデータが自動的に抽出され、画像ファイルとテキストファイルの2つがセットで作成されます。
Googleドライブを活用するメリットは、コストがかからないことに加え、テキスト化されたデータから必要な情報を簡単に検索できる点です。日頃からGoogleツールを多く使用している方にとっては、手軽な方法といえるでしょう。
5.代行業者に発注する
過去の取引で交換した名刺など、社内に蓄積された大量の名刺も、代行業者に依頼すれば一括でスキャンしデータ化できます。依頼方法は業者によって異なり、高速スキャナーを持参してその場でデータ化してくれる場合もあれば、郵送で名刺を預ける場合もあります。料金体系は「1枚あたり〇円〜」や「1,000枚まで〇〇円」といったケースが多いようです。
多くの名刺管理アプリでは、スキャン代行をオプションとして提供しており、データはシステムに自動的に取り込まれるため、手間がかかりません。
しかし、業者に依頼する場合、費用が発生する点には注意が必要です。また、データ化が完了するまでに時間がかかることもあるため、事前に納期を確認し、余裕を持ったスケジュールで依頼しましょう。
6.名刺管理ソフトを導入する
名刺管理ソフトを使用すると、専用スキャナーやスマートフォンで、簡単に名刺情報をデータ化できます。高精度のOCR機能が搭載されている製品が多いため、文字認識の精度も高く、文字が読みづらい場合には、オペレーターによる補正サービスを提供していることもあります。
データ化された情報は、クラウド上で一元管理されるため、外出先でも手軽に名刺情報を確認・登録できます。名刺交換をしたその場で情報を取り込める点は、大きなメリットだといえるでしょう。
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名刺をデータ化するときの注意点
名刺をデータ化する際には、いくつかの注意点があります。注意すべきポイントを押さえておくことで、より円滑な名刺管理が可能になります。
入手した日付などもメモする
名刺をデータ化するときは、名前や連絡先だけでなく、入手した日付や場所、その時の状況なども合わせて記録しておきましょう。
例えば、数ヶ月後に顧客に連絡する際、いつ、どこで会ったのかという情報があれば、スムーズにコミュニケーションを取ることができます。「先日のセミナーで名刺交換させていただいた〇〇です。その後、いかがでしょうか?」というように、前回のやり取りを踏まえた丁寧なアプローチは、顧客との良好な関係構築につながります。
特に、セミナーや交流会などで一度に多くの人と名刺交換をした場合は、その場で一言メモを加えることをおすすめします。後から見返したときに、顔と名前が一致しやすくなるだけでなく、その顧客とのビジネスの可能性を再確認する貴重な情報源となるでしょう。
不要な紙の名刺管理に注意する
名刺をデータ化したら、読み取りミスの可能性を考慮して、スキャン後すぐに紙の名刺を破棄せず、一定期間保管しておきましょう。半年に一度や一年に一度など、自社の業務フローに合わせて保管期間を設定し、定期的に名刺を破棄するようにします。
破棄する際には、名刺に記載された個人情報を保護するために、シュレッダーや溶解処理を利用するのが適切です。個人情報が漏洩するリスクを最小限に抑えるため、確実に処理しましょう。
名刺の裏面も読み込む
つい名刺の表面だけデータ化しがちですが、裏面の情報も見逃さないようにしましょう。裏面には、会社概要や支店情報、事業内容の詳細など、ビジネスを進める上で役立つ情報が記載されている場合があります。
例えば、はじめて取引をする企業の場合、裏面の情報から事業規模や展開しているサービス内容を把握することができます。また、営業担当者が追記したメモから、過去の取引内容や顧客のニーズに関する重要なヒントが見つかる可能性もあります。名刺をスキャンする際は、両面をデータ化して情報を最大限に活用しましょう。
しっかりとしたセキュリティ対策を行う
名刺に記載された情報は、顧客や取引先の個人情報にあたるため、取り扱いには十分に注意しましょう。個人情報保護法への準拠はもちろんのこと、社内での情報アクセス制限や、パスワード設定による不正アクセス防止など、厳重な管理体制を構築する必要があります。
特に、クラウドサービスを利用する場合には、サービス提供事業者のセキュリティ対策状況をしっかりと確認することが重要です。信頼できる事業者を選定することで、リスクを最小限に抑えながら、名刺データの利便性を最大限に活かせるでしょう。
効率よくデータ化するなら名刺管理ソフトがおすすめ
効率よくデータ化するなら、名刺管理ソフトがおすすめです。名刺管理ソフトには、名刺情報を瞬時にデジタル化するための優れた機能が備わっています。
特にOCR技術を使えば、スマートフォンやスキャナーで名刺を撮影するだけで、自動的にテキストデータが生成されます。膨大な数の名刺を一度に処理できるため、手入力でかかる時間や負担から解放されます。
管理ソフトは、マルチデバイス対応しているものも多いため、外出先でも簡単に名刺情報にアクセス可能です。社内での情報共有がスムーズになることで、営業活動の効率化も図れます。また、「名寄せ機能」も搭載されており、同一人物の名刺を自動で識別し、整理できます。このようなさまざまな機能を通じて、名刺管理システムを大幅に改善できるでしょう。
人気・おすすめの名刺管理ソフト3選
最後に、人気・おすすめの名刺管理ソフトを3つ紹介します。
SKYPCE
SKYPCEは、使いやすい管理画面で、顧客情報共有をスムーズにすることができる名刺管理サービスです。会社名や氏名、名刺交換日など、さまざまな条件ですばやく名刺を検索できるので、商談やWeb会議中でもすぐに情報を確認できます。
外出先でもスマートフォンから顧客情報が確認可能で、名刺を持ち歩く必要がなく、紛失のリスクも軽減できます。また、部署やチームごとに名刺情報の公開範囲を設定できるため、情報漏えい対策も万全です。名刺画像だけでなく、顔写真も登録できるので、顧客の顔を覚えておくのにも役立ちます。
参照元:SKYPCE公式サイト
Eight Team
Eight Teamは、名刺管理アプリ「Eight」が提供する中小企業向けのサービスです。4,000社を超える中小企業から支持されており、名刺情報を社内で一元管理できます。
このサービスの特長は、簡単にチームで共有して名刺情報を検索・閲覧できる点です。名刺共有機能を活用すれば、会社名や氏名から名刺を検索でき、誰といつ接点があったのかもすぐに把握できます。また、顧客の異動や転職情報が自動で更新されるため、古い情報に惑わされる心配がありません。
さらに、共有された名刺データは一括でCSVダウンロードでき、年賀状やメルマガの宛先リスト作成にも役立ちます。名刺にタグを付けてグループ分けできるため、情報の整理がスムーズに行えます。
参照元:Eight Team公式サイト
Sansan
「Sansan」は、名刺管理市場で圧倒的なシェアを誇る法人向けクラウドサービスです。AIと人力で高精度なデータ化を実現し、99.9%の正確性で社内の名刺情報をデータベース化します。専用スキャナーを使えば、100枚わずか5分という速さで読み込みが完了します。
Sansanの魅力は、名刺管理にとどまらない豊富な機能にあります。登録された情報は全社員で共有され、企業ニュースや人事異動情報も配信されるため、常に最新の顧客情報で営業活動を行えます。商談内容などを記録できる機能もあり、顧客管理を一元化できます。名刺管理を効率化し、営業力強化につなげたい企業におすすめです。
参照元:Sansan公式サイト
まとめ
名刺をデータ化することは、業務効率化や営業力強化に大きく貢献します。必要な時にすぐに名刺情報へアクセスでき、顧客管理や情報共有もスムーズになります。外出先でも確認できるため、ビジネスチャンスを逃すこともありません。
近年では、高機能な名刺管理ソフトも登場しており、より安全かつ効率的に名刺情報を管理できるようになりました。OCR機能による高精度な文字認識、クラウド上でのデータ保存、顧客管理システムとの連携など、さまざまな機能が提供されています。
ただし、セキュリティ対策や個人情報保護には十分な注意が必要です。適切な対策を行い、名刺データ化のメリットを最大限に活かして、ビジネスの成長につなげましょう。
営業生産性を上げる“攻め”のDXとは
近年、多くの企業でデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みが進み、その対応が急がれています。本書では、セールス&マーケティング領域で必要なDXと実現のためのおすすめステップについて解説しています。
監修者
クラウドサーカス株式会社 石本祥子
新卒でコンサルティング会社に営業職として入社。3年で営業所長代理を経験後、ベンチャー企業を経て、クラウドサーカス社にマーケティング職として入社。
営業とマーケティング、いずれの経験もあることを活かし、クラウドサーカス社が提供しているMAツール『BowNow』において、マーケティングと営業に関するメディアの監修を含む、Webマーケティングの全域を担当している。