カスタマージャーニーとは?基礎から作り方まで徹底解説
カスタマージャーニーというワードはなんとなく聞いたことあるものの、どのようにマーケティングへ取り入れるべきなのか、イメージができずに戸惑っている人も多いのではないでしょうか。
カスタマージャーニーはマーケティングを行う上での設計図のようなものです。マーケティングにおけるあらゆる施策は、カスタマージャーニーに基づいて企画されます。
本記事は、カスタマージャーニーについて、基本的な概要や活用事例を網羅しています。
今後マーケティングに積極的に取り組みたいと考えていらっしゃる企業の方は、ぜひ本記事の内容を参考にしてみてください。
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カスタマージャーニーとは?商品の認知から購入までのプロセス
カスタマージャーニーとは、顧客を自社の優良顧客へ醸成するための設計図です。顧客が商品やサービスと出会ってから購入、利用、さらには継続・再購入に至るまでの道のりを、旅に例えています。
具体的には、以下のような「商品やサービスの検討フェーズ」に沿って、「顧客が何を考えているのか」「いつどのような行動をとるのか」といった顧客の心理や行動を言語化し、ひとつのまとまった図として表現します。この図は別名「カスタマージャーニーマップ」とも呼び、用意することで顧客の検討フェーズに沿って施策を立案することができ、効果的なマーケティングを実践できるようになります。
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▼以下は、本メディアを運営するクラウドサーカス社の提供する製品「ActiBook」のカスタマージャーニー
カスタマージャーニーが欠かせないのはなぜ?
カスタマージャーニーが必要とされる理由は、顧客が商品やサービスを購入するまでに抱えるであろう様々な課題において、その解決に繋がるアプローチを最適な内容やタイミングで実行し、最終的に商品やサービスの購入に繋げるためです。
カスタマージャーニーがあれば、商品やサービスの購入に至るまでの、顧客の感情や行動の細かな変化に配慮することができ、顧客と真に良好な関係を築くことができます。販促を展開する場合、もはやカスタマージャーニーは欠かせないものとなっており、あらゆる企業のマーケティングにおいて重要な役割を果たしています。
時代遅れと言われる理由とは
カスタマージャーニーが時代遅れと言われる背景には、顧客が一連の購買活動において、販売側が用意したカスタマージャーニーとは全く違う動きをとり、購入に至るケースが増えていることにあります。
特にBtoCの場合、インターネットやSNSの普及などにより、顧客が自ら手に入れることができる情報の量は膨大なものとなっています。複数のチャネルを経て購入に至るケースや、予想外の直線的な衝動買いが起こるケース、同じプロセスを何度も行き来するケースもあります。
いずれの行動も十分すぎる情報量が原因となって起きることですが、このようなケースが見受けられるようになったことから、いつしかカスタマージャーニーはもう古い、意味がない、という声が聞かれるようになりました。
しかし、カスタマージャーニーの本質は、商品やサービスの購入に至るであろう顧客に、できる限り適切なタイミングで、必要な情報をピンポイントに届けることにあります。この本質は、顧客の購買までのプロセスが多様化したとしても、変わることはありません。
情報過多の現代だからこそ、販売側(カスタマージャーニーを定義する側)がその本質と向き合う手腕を問われているだけであって、カスタマージャーニー自体が決して時代遅れとは言い難いのです。
カスタマージャーニーによって何が変わる?得られるメリットを紹介
カスタマージャーニーをビジネスに取り入れると、具体的に何が変わるのでしょうか。
得られる具体的なメリットを4つ紹介します。
- 顧客目線で、商品やサービスを開発・提供できるようになる
- 認識を細かくすり合わせることができ、スムーズに施策を企画・実行できる
- KPIが明確になる
- ピンポイントな情報提供によるブランド認知度の向上
顧客目線で、商品やサービスを開発・提供ができるようになる
顧客目線の新たな気づきにカスタマージャーニーは欠かせません。カスタマージャーニーの整理とマップの作成には、必然的に顧客目線の行動や心理について分析が必要です。
商品やサービスの比較・検討から購入、そして利用の継続や再購入の意思決定を下すまでのプロセスを丁寧にたどっていくにしたがって、今まで気づかなかった顧客の課題に気が付きます。改善ポイントや方向性など、カスタマージャーニー作成の途中で様々な気づきを得られるでしょう。
認識を細かくすり合わせることができ、スムーズに施策を企画・実行できる
カスタマージャーニーの作成には、他部署との横断的な認識のすり合わせは欠かせません。
関係者と話し合いを重ねた上に完成したカスタマージャーニーは、意識共有の結晶ともいうべき産物です。カスタマージャーニーの有無による共通認識の差は言うまでもないでしょう。
カスタマージャーニーの立案と作成は、マーケティングの施策の企画・実行の過程において、ゆるぎのない共通認識のすり合わせに役立ちます。
KPIが明確になる
カスタマージャーニーに沿ったマーケティング施策の企画は、顧客の課題解決とともに、販売側のKPIの設定にも繋がっています。
例えば、商品やサービスの認知拡大のフェーズでは、CMといったマス広告を活用する場合、インプレッション数をKPIとすることが多いです。また、ニーズの醸成段階では、ナーチャリングの施策を企画・実行するため、顧客向けにメルマガを配信する場合は開封率やクリック率、セミナーを開催する場合は申込数といったものが重要なKPIとなります。
カスタマージャーニーを突き詰めていくと、KPIも明確になっていきます。
ピンポイントな情報提供によるブランド認知度の向上
カスタマージャーニーによる顧客接点の最適化は、顧客体験の質を高めることになります。
カスタマージャーニーを突き詰めて作成し、施策を企画・実行すると、顧客は印象に残る体験をすることになり、結果としてブランドの認知度アップ、価値向上へと繋がっていきます。
カスタマージャーニーがうまく機能すると、目先の売上だけでなく、持続的な企業運営にも良い影響を与え続けます。
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カスタマージャーニーの作成
カスタマージャーニーを作成するにあたって、一般的な手順を紹介します。
- 基本となるフォーマットの理解
- ペルソナの設定
- 購入までのステップの定義
- 顧客の行動や心理の変化、接触タイミングを検討
- 施策の企画と、KPIの設定
基本となるフォーマットの理解
カスタマージャーニー作成の基本となる、一般的なフォーマットを作成してみました。
フェーズ | 課題と興味関心 | 情報収集 | 比較検討 | 購入 | 共有と拡散 |
---|---|---|---|---|---|
ユーザーの心理(悩みやニーズ) | |||||
ユーザーの行動 | |||||
提供するコンテンツの種類 | |||||
マーケティング施策(利用するメディアなど) |
縦軸や横軸など、詳細について説明します。
横軸は認知から購入までのプロセス
横軸は、商品やサービスの認知から購入、購入後の共有と拡散、優良顧客になるまでのプロセスをフェーズに分けて設定されています。
カスタマージャーニーのフェーズには、AIDAやAIDMAといったフレームワークを活用することがほとんどですが、フレームワークを活用しつつ自己流にアレンジしても問題ありません。
縦軸は商材に合わせて自由に設定
縦軸は、検討フェーズに沿った顧客の購買心理や行動の変化、提供する情報、マッチする施策といった項目を設定します。特に決まりはありませんが、顧客の行動や心理を軸に、次のフェーズへの変容を促すために考える必要があるものを、項目として設定すると良いです。
ペルソナの設定
ペルソナ設定はカスタマージャーニー作成にあたって、とても重要です。最初にゴール地点を決めた上で、ゴールする人がどのような人なのかイメージして、ペルソナシートへ書き込んでいきます。
ペルソナの詳細が思い浮かばない場合は、購買データやお問い合わせデータの詳細からリアルな顧客像を思い描いてみましょう。ペルソナの設定において、決まった項目はありませんが、具体的な顧客像を表現できるよう、商材特性に合わせて項目を設定します。
一般的によく使われるペルソナの項目は次のとおりです。
- 学歴
- 年齢
- 職業
- 家族
- 年収、世帯年収
- 性格
- サイト訪問の動機
- お気に入りのサイト
- 情報収集の方法
購入までのステップの定義
ペルソナを設定できたら、顧客の購買プロセスを具体的に設定します。
プロセスはBtoC/BtoBなどのジャンルによって様々です。絶対にこれ、という決まった型はありません。例えば、競合がいないビジネスモデルの場合、比較検討のフェースは不要であることもありえます。どうしてもプロセスがイメージできない場合、昔からあるフレームワークを元にアレンジする方法もあります。フレームワークを一覧表にまとめてみました。
フレームの名前 | プロセス |
---|---|
AIDA(アイダ) | Attention(注意) |
Interest(興味) | |
Desire(欲求) | |
Action(購買行動) | |
AIDMA(アイドマ) | Attention(注意) |
Interest(興味) | |
Desire(欲求) | |
Memory(記憶) | |
Action(購買行動) | |
AISAS(アイサス) | Attention(注意) |
Interest(興味) | |
Search(検索) | |
Action(購買行動) | |
Share(共有) |
AIDAはもっともベーシックなフレームワークです。昨今では、検索や共有が組み込まれたAISASがマッチしやすいのではないでしょうか。
顧客の行動や心理の変化、接触タイミングを検討
次に、フェーズごとの消費者行動や心理を設定します。顧客が商品やサービスの存在を知るフェーズから、顧客が商品やサービスについて興味を持って調べるフェーズ、比較検討し購買するフェーズまで、一連の流れに沿った顧客の購買心理と行動を明確化します。その上で、どのタイミングで、どのような接触を試みるのがベストなのか?という点を十分に考えましょう。
顧客を十分に理解できていない場合、明確化することに難しさを感じるかもしれませんが、カスタマージャーニーを正確に機能させるために欠かせない大事なポイントです。
うまくイメージできない場合は、顧客データの分析や顧客へのヒアリング、顧客と近いところで仕事をしている関係者(営業担当者など)に確認し、把握してみましょう。
施策の企画と、KPIの設定
顧客の行動や心理の変化に合わせて、打つべき施策を考えます。また、各プロセスに施策を設定することによって、消費者の態度の変化や期待するべき効果を見える化できるため、KPIを立てやすくなります。
認知から購入にいたるまでの分析ポイント
商品やサービスの認知から購入にいたるまでの分析ポイントを一般的な事例に沿って説明します。事例はBtoBのカスタマージャーニーです。
- 【ニーズや課題の認識】 商品やサービスの模索段階
- 【商品・サービスの認知】 情報収集をし、いくつかの候補に巡り合う・【比較検討】 上申のために関係者を巻き込む
- 【意思決定】 最適かどうかを判断する
- 【購入後の導入・利用】
- 【継続または再導入の検討へ】
BtoBの購入および意思決定は組織によって行われます。したがって、複数の関係者が各プロセスに関わるため、検討期間は長くなりアプローチする相手も多くなります。
実際のカスタマージャーニーはBtoCに比べるとより複雑です。
【ニーズや課題の認識】 商品やサービスの模索段階
この段階では、顧客はまだ商品やサービスを探している段階ではありません。課題解決のための手段を探している段階です。課題を顕在化させ、商品やサービスが課題解決に役立つ事を認識してもらいます。
ニーズ喚起と課題認識を促すための具体的な施策としては、展示会への出典や講演会の開催、オウンドメディアの運用やWeb広告の出稿などが挙げられます。
【商品・サービスの認知】 情報収集をし、いくつかの候補に巡り合う
商品・サービスの認知のフェーズでは、顧客は自社の課題解決に繋がる、具体的なサービスを調べ始めます。検討意欲の高い顧客であれば、資料請求をしたり、商品説明会に参加したり、具体的な商談の場を希望する場合もあります。
この段階で販売側は、自社の商品やサービスの優位性を顧客に感じてもらえなければ、次のフェーズには進めません。
考えられる施策は、有益な情報提供のためのセミナーやメルマガ、オウンドメディアなどのコンテンツ提供などが考えられます。
【比較検討】 上申のために関係者を巻き込む
具体的に購入する商品やサービスが決まった段階で、顧客は比較検討の段階へ進みます。一般的にBtoBの場合、担当者の他に他部門の関係者や決済者など、関係者が複数人存在します。その他関係者との接点も忘れないようにしましょう。
担当者だけでなく関係者向けの検討資料も用意の上、全員を巻き込んでいくイメージが大切です。
【意思決定】 最適かどうかを判断する
顧客側で、「本当にこの商品・サービスを導入することが、自社にとって最適な判断なのか?」を決裁者も交えて吟味します。商品やサービスを導入することで得られる価値について、意思決定者や関係者が納得でき、かつ価格といった条件のすり合わせができれば、導入の意思決定をしてもらえるでしょう。
BtoBの場合、上申を成功させるためにも、販売側の担当者は、常に導入推進者から上申状況について最新の情報を得て、上申をサポートする必要があります。
【購入後の導入・利用】
自社の商品・サービスを選んでもらった後、基本的には導入の段階でサポートを行います。商品やサービスを買ってもらって終わりではなく、今後の長い付き合いを見越して、導入後のサポートも抜かり無く行う必要があります。
導入後、利用上の不明点などはカスタマーサポートで丁寧に対応しましょう。商品やサービスの活用セミナーの開催や、ヘルプサイトを充実させるなど、顧客がスムーズに利用できるためにあらゆる方向からサポートします。
【継続または再導入の検討へ】
商品は、古くなれば買い替えが必要ですし、サービスの場合は、定期的に継続の見直しが検討されます。継続と再導入のプロセスでは、商品の再購入やサービスの継続利用のため、カスタマーサポートやセールスによるコミュニケーションが必要です。
競合他社と比較されたときに、また自社を選んでもらうために、改めて顧客の課題や不安点などを明確にして、解決へ向けた提案を行います。
まとめ 多様化するニーズへの対応にカスタマージャーニーは必要不可欠
カスタマージャーニーは自社のサービスや商品を顧客に購入してもらい、満足してもらうための設計図のようなものであることをご紹介しました。
消費者の購買行動が多様化する昨今、カスタマージャーニーを考えることは企業にとってメリットが多く、もはや欠かせないものとなりつつあります。
ビジネスを推進する上で、自社と顧客間のコミュニケーションについて可視化したい場合や、整合性を高めたい場合には、カスタマージャーニーを導入してみてはいかがでしょうか。
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監修者
クラウドサーカス株式会社 石本祥子
新卒でコンサルティング会社に営業職として入社。3年で営業所長代理を経験後、ベンチャー企業を経て、クラウドサーカス社にマーケティング職として入社。
営業とマーケティング、いずれの経験もあることを活かし、クラウドサーカス社が提供しているMAツール『BowNow』において、マーケティングと営業に関するメディアの監修を含む、Webマーケティングの全域を担当している。