MA(マーケティングオートメーション)のKPIとKGIとは?設定のポイントと具体例を紹介
MA(マーケティングオートメーション)を導入されるにあたり、マーケティング活動の目標(KPI)が曖昧だと中長期的にみて効果的な運用ができないおそれがあります。そのため、MA運用の際には明確な数値目標として事前にKPI・KGIの設定が必要です。
本コラムではMAを運用する際のKPI・KGIの設定について基本的な考え方を解説します。
「MAを導入したがなんとなくで運用している」「MAのゴールや目標をうまく設定できていない」「これからMAツールを導入しようと考えている」といった方には特におすすめの記事となっています。自社の事業目標にあったKPI・KGIを設定され、マーケティング活動を効率化するためのご参考になれば幸いです。
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目次
MA(マーケティングオートメーション)導入の目的
MA(マーケティングオートメーション)を導入する際の目的は、大枠では「利益の向上」に集約されるでしょう。具体的な目的に焦点を絞ると、一般的に下記の4点が考えられます。
- 商談創出活動の生産性の向上(営業リスト作成やホットリード抽出などの自動化)
- 商談創出数(営業部門への案件パス数)の増加
- 創出した商談(パスした案件)の質の向上
- リードナーチャリング(見込み客の育成)による過去リードの有効活用
これらの目的の比重は「どの部門が利用するのか」「どのくらいの予算やリソースを使えるのか」によって変わり、MAを導入する際は上記の4つの要素を組み合わせてKPI・KGIを考えることになります。自社のニーズに最適なKPI・KGIを設定するためには、そもそも何のためにMAを導入するのかという目的を明確にすることが大切です。
KPI・KGIとは
MAの有効活用のために、Webマーケティングにおける成果測定の指標である「KPI」と「KGI」の定義をいまいちど確認しておきましょう。おおまかに言うと「KGI」は最終的なビジネスゴールであり、「KPI」は「KGI」を達成するための中間目標という位置付けになります。具体的な定義は次の通りです。
KGIとは
KGI(Key Goal Indicator)は直訳すると「重要目標達成指標」となり、平易な言い方では「目指すべき重要なゴール(最終目標)」となります。
目標を達成できたか否かを明確にするために、KGIには数値で判断できる要素を設定するのが一般的です。「売り上げ」や「シェア率」などの具体的な数値や「Webから新規の見込み客を〇人獲得」などの目標がKGIに設定されることが多いです。
KPIとは
KPI(Key Performance Indicator)は直訳すると「重要業績評価指数」となり、平易な言い方では「ゴールへの進捗を表す指標」となります。最終的なゴール(KGI)に対する中間地点としての指標であり、大目標であるKGIのもとに小目標である複数のKPIがツリーのように連なっているイメージです。
KPIには「アクセス数」や「お問い合わせ件数」などの具体的な数値、また「Webサイトのページビューを〇以上にする」などの目標が設定されることが多くなります。
KPI未設定のためにおこる、MAの運用失敗例
MAの運用においてKGI・KPIを設定しないことは、自社のマーケティング活動を正しく評価できないことにつながります。KGI・KPIが設定されていない状況では、それぞれのアクションのうち何がどのくらい効果があったのかを客観的に把握することができません。それにより、健全な企業活動の条件のひとつと言われる「再現性のある成功のシナリオ」を持つことができず、中長期的にはマーケティング施策全体が失敗に終わるおそれがあります。また、成功基準も不明確になるため、MAの費用対効果もあいまいになりがちです。
もしMAの運用においてKGI・KPIが設定されていれば、どのプロセスがどのように効果を発揮したのかを可視化することができ、関係者間での情報共有もより効果的なものになります。特にBtoBの企業では、自社のビジネスプロセスを適切に可視化し費用対効果を明確にするためにも、MAの導入時には必ず事前にKGI・KPIを設定することをおすすめします。
MA(マーケティングオートメーション)運用におけるKGIの具体例
MAを運用する際のKGIは次のように設定されます。マーケティング全体の売上金額をKGIに設定するケースが主流です。または、MAの役割がより有効な商談をより効率的に創出することにある為、商談数をKGIとすることもあります。
- マーケティング活動が創出した売上
- マーケティング活動から創出された売上の比率
- マーケティング部門が創出した受注の平均単価やLTV(顧客生涯価値)
- マーケティング活動が創出した商談数
お気づきの方も多いかと思いますが、MAのKGIの達成には部門間の連携が不可欠です。単にマーケティング部門が商談数を増やすだけでは、売り上げにつながっているかどうかなどの計測ができないため、しっかりと計測の体制も整えていきましょう。
MA(マーケティングオートメーション)運用におけるKPIの具体例
MAを運用する際のKPIは次のように設定されます。どの部門でMAを利用するかによっても、設定する指標はことなります。
- マーケティング活動が創出した商談数(営業への案件パス数)
- 営業にパスした案件の案件化率、受注率
- リードナーチャリングによって創出された商談数
- 特定のステータス(ランク)のユーザーのステータスアップ数、ランクアップ
- 保有リード数
- 特定のキャンペーン(イベントやデモ参加など)への申し込み数
- 中間コンバージョン(ホワイトペーパーなど)からのリード獲得数
- メール開封率
- メール開封ユーザーのURLクリック率
- メール開封ユーザーのCVR(コンバージョン率)
また、獲得したお問い合わせへのアプローチを営業担当者ではなくインサイドセールス部門を設けて荷電を行う場合、下記のKPIも必要指標となります。
- マーケからインサイドセールスにパスするMQL数 参考記事:MQLとは?SQLとの違いとその意義について
- インサイドセールスのコール(荷電)数
- インサイドセールスのアポイント獲得率
世界一わかりやすいマーケティングオートメーション
この資料では、以下のことを紹介しています。 ✔ マーケティングオートメーション(MA)とは ✔ MAが必要とされる3大理由 ✔ MAの導入で得られる4つの効果
MA(マーケティングオートメーション)のKGI・KPI設定におけるポイント
最後にMAにおけるKGI・KPI設定のポイントについていくつかご紹介します。
数値化できるものを設定する
KGI・KPIを設定するときによくある間違いが、定量的でないものになってしまうということです。
たとえば飲食店で、「売上をアップさせる」といった定量的でない目標をKGIとすると、KPIとなる人気メニューの注文数やリピーター客数も「とにかく増やす」となり、どのような状態をもってKGIやKPIが達成されているとみなすかがわからなくなってしまいます。KGIとKPIは、施策の効果検証を見据えて、定量的で計測可能な数値を伴うものとしましょう。
KGIと連動しているKPIを設定する
KPIは最終的なゴールであるKGIと連動したものでなければならず、両者間には因果関係が求められます。KPIツリーを策定する場合は、KGIに向けたKPIにつき、四則演算によってKGIとの因果関係を証明できるよう設計しなければなりません。因果関係が必要となるのは上層のKPIと下層のKPI間でも同様です。
たとえばスマートフォンアプリやゲームのKPIの場合、「ログイン率やシェア数が増えれば継続率が上がる」という因果関係は定かではありません。この場合、ログイン率やシェア数はあくまでも「継続率が上がることに影響を及ぼすかもしれない因子」に過ぎません。
このような因子(ここでは「ログイン回数」や「シェア率」など)をツリー状に挙げ連ねたものを「ロジックツリー」と呼び、四則演算を以て仮説検証を重ね、上層KPIとなる因子(ここでは「継続率」)との因果関係を証明できれば新たなKPIとして追うべき数値だと判断できます。KPIツリーとロジックツリーは似ている要素もありますが、区別して理解しましょう。
階層を深くし過ぎない
KPIはあらゆるサービスに対して設定することが可能ですが、複数のKPIを設定するうちにKPIツリーの構造が複雑化し、効果を追いづらくなる場合もあります。MAの役割は売上に繋がる商談を効率的に増やすことにあります。必要以上の目標を設定してしまうことによりKPIが複雑化し、追いきれなくなってしまう可能性もあるので注意しましょう。KPIの要素を検討する際には「その項目(その数字)は日々追う必要があるか」をひとつの判断基準としても良いでしょう。
マーケティング部だけでウォッチをしない
マーケティング関連のKGI・KPIは営業や関連部署にも大きく関わってくることがあります。そのため、主担当の部署だけではなく、関連の部署も指標には関心を持ち、時には意見をぶつけて改善をしていきましょう。
特にコンテンツの中身については、お客様の声をよく知っている営業やカスタマーサポートの意見が役に立ちます。どういったコンテンツであれば読まれるのか、ダウンロードを促せるかなど、積極的に意見を取り入れて改善をしていくことをおすすめします。
MAの運用成功の秘訣は、適切なKGI・KPI設定から
MAを導入・運用する場合に限らず、マーケティング活動や営業活動においてはKPI・KGIを設定し、見直しをしていくことはひじょうに重要です。
KGIを設定することなくマーケティング活動を行うと、どこに向かうための・どのような課題を解決するための活動なのかが不明確になり、施策を決定・精査する際に適切な判断ができなくなるおそれがあります。
また、KPIを設定することなくマーケティング活動を行うと、効果測定の材料が最終的な結果(KGI)のみとなり、「どの課題がどの活動によって改善されたか」といった点があいまいになることで施策のPDCAサイクルを回すタイミングが大幅に遅れるおそれがあります。MA運用の際には、KPI・KGIを設定することで目標達成までのスピード上がり、精度も高くなると言えます。
しかし、肝心の目標設定が適切に行われなければ施策にブレが生じてしまう場合もあります。自社のリテラシーや人的リソースにあわせて、MAをどのような目的で利用するかというところから外部のプロに依頼することも有効な手段のひとつです。MAツールの運用・活用方法でお悩みの方は、ぜひBowNowのコンサルタントにご相談頂ければと存じます。
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この資料でこんなことがわかります!・マーケティングオートメーション(MA)とは ・MAが必要とされる3大理由 ・MAの導入で得られる4つの効果
監修者
クラウドサーカス株式会社 石本祥子
新卒でコンサルティング会社に営業職として入社。3年で営業所長代理を経験後、ベンチャー企業を経て、クラウドサーカス社にマーケティング職として入社。
営業とマーケティング、いずれの経験もあることを活かし、クラウドサーカス社が提供しているMAツール『BowNow』において、マーケティングと営業に関するメディアの監修を含む、Webマーケティングの全域を担当している。