MAのシナリオとは?設計手順と成果に繋がるポイント4つ
マーケティングオートメーション(MA)におけるシナリオとは「シナリオ設計機能」を指し、特定のアクションを起こしたリード(見込み顧客)に対し、あらかじめ設定しておいたアクションを返す機能です。
成果を上げるには一定数のリードを保有していなければならず、カスタマーセグメントが重要になります。ただしシナリオ設計を複雑にしてしまうと成果が出づらいケースもあり、MAツールを導入してはいるものの、シナリオ機能をうまく使いこなせないという声も聞かれます。本コラムでは、シナリオ機能の基礎知識と成果につながる設計のポイントをご紹介します。
これを読めば全てがわかる!
世界一わかりやすいマーケティングオートメーションとは?
商談数最大化のため、導入する企業が増えているマーケティングオートメーション。本書では、MAが必要な理由からその導入効果までわかりやすく解説しています。
MA(マーケティングオートメーション)のシナリオとは
MAツールの特徴的な機能のひとつである「シナリオ」とは、セグメント化したターゲットごとに、リード(見込み顧客)が特定のアクションを取った場合に、あらかじめ設定しておいたアクションを返す(特定の情報を提供する)ための筋書きを設定しておく機能です。
事前に設定した筋書きに沿って、自動的にメールなどでコンテンツを配信したり、配信したコンテンツに対する見込み顧客(リード)のリアクションによって、そのあと更に配信するコンテンツの種類を分岐させるといった機能が含まれています。
上記の図は、MAのシナリオの例です。ひとつのアクションごとに、どの行動を取ったか・取らなかったかで道筋を分岐させていき、「ここまで辿り着いたら、営業がアプローチすべきリードである」といったゴールを決めておきます。なお、MAのシナリオは「リードありき」の機能とも言え、より有効に活用するためには、一定数以上のリードを保有している必要があります。
MA(マーケティングオートメーション)でシナリオを活用するメリット
MAのシナリオを活用することには、どのようなメリットがあるのでしょうか?
ユーザーに最適なタイミングでアプローチできる
シナリオ機能を活用することのメリットは、「どのような(属性の)リードに・どのような情報を・いつ提供するのか」をあらかじめ設定したうえで、それぞれのリードに適したコミュニケーションを自動的に実施できることです。これにより、リードナーチャリングの効率を上げることができます。マーケティング活動のなかで、リードのリアクションによって対応を変えたい場面にはシナリオの活用がおすすめです。
営業活動の業務効率化
前述の通り、シナリオを活用すれば、リードナーチャリングを効率化することができます。これは、営業に見込み度の高い顧客を正しくパスすることにも繋がり、間接的に営業活動の業務効率化にもつながります。
また、営業活動を経て、失注した顧客についても、シナリオを活用することで、再検討のタイミングまで自動でナーチャリング活動を行うことができます。
MA(マーケティングオートメーション)でのシナリオ設計の手順
MAにおけるシナリオでは、特定の行動を起こしたリード(見込み顧客)に対し、あらかじめ設定しておいた行動を返すことが基本です。シナリオを設計する際には「いつ・誰に・何を・どのように」の4つの要素が重要になります。具体的な手順をこの4つの要素に沿ってご紹介します。
手順① 誰に(配信ターゲットを決める)
まず、対象となるターゲットを明確にします。どのような人をターゲットとしてシナリオを設定するのかは、企業ごとに、また、扱う商材やサービスごとに異なります。自社のマーケティングではどのような属性を持つリードを対象にシナリオを展開するのかを考え、ターゲットを明確にしましょう。
実際のターゲット設定の例として次のようなものがあります。これらの他、「自社のWebサイトへのアクセスは確認できるけれど、具体的な行動に写っていない」という人もターゲットとなるでしょう。
- メルマガへの登録は完了しているが、次の行動に移っていない人
- 資料請求に至ったが、商品やサービスの購入には至っていない人
手順② いつ(配信するタイミングを決める)
次に、「いつ、どのようなタイミングでアプローチするか」を決めます。タイミングはおもいに次の要素に沿って考えましょう。
- 起点となる行動(リードによるWebサイトの閲覧や資料ダウンロードなどの行動)
- 時間帯(どの時間帯にメールを配信すると開封されやすいか)
- 頻度(複数回にわたってメールを配信する場合は、その頻度や間隔)
MAを活用すれば自動的にメールを配信できますが、配信されたメールをリードが必ず開封・閲覧してくれるとは限りません。また、メール配信のタイミングを見誤り、リードに都合の悪いタイミングや不適切な頻度となってしまった場合は、顧客との関係が悪化するおそれがあります。
せっかく登録してもらったメルマガを解除されたり、メールをブロックされたりしないよう、タイミングは慎重に検討しましょう。
手順③ 何を(配信するコンテンツを決める)
さらに、配信するコンテンツやクリエイティブの内容を決めます。ターゲットに設定したリードが興味を持ちそうなコンテンツを中心に、次のような内容を用意しましょう。コンテンツづくりではあくまで顧客目線に立ち、信頼性の高い内容を備えることが重要です。
- 自社の事業紹介や提供している商品・サービスの紹介
- 商品・サービスを実際に使った成功事例
- リードの「悩み」や課題を解決するコラムの配信やセミナーへの招待
手順④ どのように(どういった手段でアプローチするか決める)
最後に、リードへのアプローチの手段を選定します。おもな手段には次のようなものがあります。特にBtoBビジネスではEメールがもっとも重要なアプローチ方法とされます。Eメールでは配信のコストがかからず、「1人1アドレス」であればダイレクトに自社サイトに誘導できるというメリットがあります。
- ダイレクトメール、Eメール
- 自社のWebサイト、オウンドメディア
- SNS
- アウトバウンドコール
- 営業
重要なのは「リード(見込み顧客)にとって必要なタイミングで、必要な情報を提供すること」です。例えば、「メルマガに登録しているものの、配信したURLをクリックしない人」がいた場合、「配信しているメルマガの内容に興味が無い」「その内容では解決できない別の悩みを抱えている」といった仮説を立て、新たなシナリオを組むことができます。
また、「資料請求をしているものの購入に至らない人」には、「資料請求以降、数日~1週間後をめどに再度ダイレクトメールを送る」といったアプローチも考えられます。
成果が出るシナリオ作りの準備と4つのポイント
成果が出るシナリオ作りの準備として、まずはカスタマーセグメントを行います。
- 「属性」の分析:リードが属する業界・業種、職種や役職を確認します。
- 「ニーズ」の分析:リードを獲得した経路、過去の質疑応答内容を確認します。
過去の会話内容を参照するには、CRMやSFAを利用して分析を行います。特定の属性に属するリードがどのような質疑応答を行っているのか(=どのような情報に興味があるか)、どのような課題を解決するために自社の商品・サービスを購入・契約しているのか(=「ニーズ」は何か)を明確にしましょう。次に、実際のシナリオ作りにあたっての4つのポイントをご紹介します。
ポイント① ペルソナ設計
ペルソナとは自社がターゲットとする「お客様像」を指し、年齢・性別・職業など各種の項目について詳細に設定した人物像のことです。シナリオ作りの準備では、自社の商品・サービスの価値を提供できる対象はどのようなお客様であるのかを想定しておく必要があります。特にBtoBの場合、ペルソナ設計では「企業像」と「人物像」の両方を想定しましょう。
▼「企業像」のペルソナ
企業の業種や規模などのほか、自社の商品・サービスに関わる課題の状況や、実際に商品・サービスが導入される際の状況を想定します。過去のデータを分析し、どのような企業が、どのような状況のもとで導入(購入)を検討してくれるのかを具体的に想定しましょう。
▼「人物像」のペルソナ
「人物像」は企業担当者とし、どのような部署の、どのような職種・立場の人が、どのような課題や悩みがあるときに自社の商品・サービスを検討するのかを想定します。その際、すでに取引をしている顧客の情報や、一般に公開されているアクセス解析データなどを参考にすると良いでしょう。情報収集のために自社で独自にユーザー調査を行うという手もあります。
ポイント② カスタマージャーニーの策定
設計したペルソナがどのように商品購入に至るのか、リードの購買プロセスを考えましょう。BtoBの場合は、前提として何らかの課題があり、その解決に向けた情報収集から購入検討が進むことが多いとされています。そのような購買フェーズの各段階でペルソナがどのような課題を持ち、どのような情報を求めているのかを、データやアンケート結果をもとに検討します。
顧客の購買プロセスは「カスタマージャーニー」とも呼ばれます。カスタマージャーニーに沿って、適切なタイミングでメッセージを送ったり、アプローチを仕掛けたりすることで、リードの検討度合いをより高める効果が期待できます。
ポイント③ キャンペーン設定
次に、リードとのコミュニケーション内容を設計します。どのようなキャンペーンを実施するかを設定しましょう。策定したカスタマージャーニーをもとに、リードに対してどのようなコンテンツを、いつ見せるかを具体的に設計していきます。
リードが持つ悩みや課題、その緊急度の高さは十人十色です。それぞれの購買意欲を高め、検討フェーズを進めるには、どのようなコンテンツ内容をどのタイミングで見せるのが適切か、どのような情報を提供し、どのような状態になってもらいたいかといった施策の設計が重要になります。
一例として、自社サイトの商品紹介ページを閲覧したユーザーには、関連商品の情報を提供したり、その商品が解消する「悩み」(そのユーザーが抱えていると思われる「悩み」や課題)をテーマにしたセミナーに招待するなどのキャンペーンを展開すると良いでしょう。また、ユーザーのアクションに対して自社がどのような行動を返すかを具体的に決めておきましょう。
ポイント④ PDCAを回す
MAにおけるシナリオは一度設計して終わりではなく、微修正を重ねながら検証・改善を繰り返すことで成功モデルを作ることができます。PDCAサイクルを繰り返し、シナリオのブラッシュアップを続けていきましょう。このように検証と改善を前提とするシナリオ設定では、最初から詳細で複雑なキャンペーン内容にするよりも、シンプルで単純な内容から始めるのがおすすめです。
また、そもそもシナリオはリードの「属性」あるいは「行動」にあわせて設計する必要がありますが、自社にはどちらがより効果的かを検証しましょう。BtoBの場合でも、顧客の興味・関心の高さは「行動」に現れると言われることから、まずはリードの「行動」を軸としたシナリオを目指すのがおすすめです。これらのほか、成果が出るシナリオ作りのポイントとして次の項目を意識すると良いでしょう。
- カスタマージャーニーを充分に練っておく
- 仮説を立てるだけでなく、データで裏付ける
- キャンペーンの結果は必ず分析・検証し、次に活かす
- SFA・CRMとの連携でシナリオの精度を高める
最初に高度なシナリオは不要?BtoBでおすすめのMAのはじめ方
さて、ここまでMAのシナリオについて解説してきましたが、どの企業においても必ずシナリオが必要というわけではありません。特にBtoB企業においては、保有しているリード数が数百~数万件という場合も多く、シナリオを設計しても充分に効力を発揮できるほどの土台をそもそも有していない場合が多いからです。
また、リード数以外にも、シナリオを機能させるためには、ある程度Webサイト上に掲載できるコンテンツの量が必要です。せっかくMAを導入するために、労力をかけてシナリオを設計したとしても、こういった前提条件を満たしていなければ成果に繋がらないといったことが想定されますので、注意しておきましょう。
また、リード数が数百~数万件といったBtoB企業でも、「ステップメール」などの簡易のシナリオであれば、充分その効力を発揮することができます。まずは、限られたリード数やコンテンツでも「最短で成果を出す」ことを重視し、MA活用をはじめてみるのはいかがでしょうか?
スモールスタートで始めることができるMAツール『BowNow』とは
MA活用をスモールスタートで始められるツールとして、『BowNow(バウナウ)』というMAツールがあります。
BowNowは、機能やUIがシンプルかつわかりやすいことはもちろん、導入後はカスタマーサクセスが、機能操作から施策の実行支援まで伴走するため、これからMA活用やマーケティングを強化していく企業にもピッタリのサービスです。
シナリオについても、ステップメールといった使いやすい機能から揃えており、BtoB企業が最短で成果を出せるように設計されています。BowNowについては、以下からも詳細をご覧いただけますので、ぜひご参考ください。
まとめ
MAのシナリオは、保有しているリードやコンテンツの数によって適正が分かれますが、自社のフェーズを理解したうえで、取り組むか否かや活用するシナリオの種類を判断できさえすれば、効果的に取り組むことができます。
MAを検討する際には、自社が取り組むべきMAの施策の範囲を考慮し、自社と相性の良いMAを見極めるようにしましょう。
これを読めば全てがわかる!
世界一わかりやすいマーケティングオートメーションとは?
商談数最大化のため、導入する企業が増えているマーケティングオートメーション。本書では、MAが必要な理由からその導入効果までわかりやすく解説しています。
MAツールの選定にお困りではないですか?
BowNowは、2015年のリリース以降、中小BtoB企業を中心に多くのお客さまのお悩みに寄り添ってきました。
当社にお問い合わせいただくお客さまの多くが
・MAツールが何のためのツールなのかイマイチよく分かっていない
・MAツールの種類が多すぎて自社に最適なMAツールが分からない
・自社でMAツールを導入すべきタイミングなのかが分からない
のように「そもそもMAツールって何ができるの?」という検討の入り口で悩まれています。
BowNowは、日本の中小BtoB企業でも使いこなせるMAツールとして、「シンプル」「低コスト」「使いこなせる」をコンセプトに開発されたMAツールです。 まだ検討の入り口でお悩みのご担当者さまもお気軽に当社にご相談ください。
BowNowを簡単&まとめて知れる資料はこちら(概要・機能・料金を紹介)
自社に近い事例を知りたい、導入の不安の解消したいなら無料相談
このコンテンツを読んだ方へおすすめの記事:
マーケティングオートメーション(MA)とは?基礎知識から機能・メリット・事例までわかりやすく解説
こちらの記事をご覧の方におすすめ