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カスタマージャーニーマップとは|テンプレート付きで作り方解説!事例あり

2024/09/05 (公開:2024/06/13)
カスタマージャーニーマップとは|テンプレート付きで作り方解説!事例あり

カスタマージャーニーマップとは、顧客が自社の製品やサービスを検討・購入・利用する一連の流れを、マップ形式で可視化したものです。

たとえば顧客は、自社の製品やサービスを知り、比較検討を経て購入し、利用してみてまた利用するか評価する…といった道のりにおいて態度変容を遂げていきます。とくにSaaSが台頭した現代のビジネスモデルでは、このサイクルを絶えず回していくことがLTVを最大化することにもつながることから、ますます重要視されています。

ただ実際には「カスタマージャーニーマップは作ったことがないけど、現状メルマガやWebサイトから受注を得られている…カスタマージャーニーマップって本当に必要なの?」と感じている方も少なくないかもしれません。
しかしながら、カスタマージャーニーは、部署の垣根を越えて関係者が協力し合い、ビジネスにおける課題やヒントを見つけて共有することにおいて、重要な役割を担っています。

本稿では、カスタマージャーニーマップの基本から具体例、作成の手順、活用方法まで詳しく紹介しています。ぜひマーケティング施策の成果向上にお役立てください。

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カスタマージャーニーマップとは

カスタマージャーニーマップ(Customer Journey Map)とは、ユーザーが製品やサービスを利用する過程を見える化し、マップ形式にわかりやすくまとめた図のことです。カスタマージャーニー自体は、顧客が製品やサービスを認知し、購入し、利用終了するまでの体験を旅になぞらえたもので、時系列で表されます。

このマップを活用することで、ユーザーの一連の体験すなわち「態度変容プロセス」をユーザー視点で理解し促進できるだけでなく、改善点を見つけるうえでも役立ちます。

顧客のフェーズ 顧客の行動 心理
認知 製品やサービスの存在を知る 「いまってそういう製品やサービスがあるんだ」
興味関心 製品やサービスに興味を持つ 「これ何だろう」「気になるな」
情報収集 製品やサービスの情報を集める 「もっと調べてみよう」「もう少し詳しく知りたいな」
比較検討 競合と比較検討する 「納得」「いいね」「どれにしようかな」
購入・契約 製品やサービスを購入・契約する 「この製品を購入しよう」「この会社と契約しよう」
利用 製品やサービスを利用する 「製品やサービスを使ってみよう」「サポートを利用してみよう」
評価 利用体験を評価する 「とても便利」「思ったより難しい」「自社や自分に合っている」
ロイヤルティ 製品やサービスへの愛着を深め、リピート購入や契約続行する 「すばらしい製品のおかげで自社の事業も効率化した」「サポートが手厚くコストパフォーマンスがいい」「ずっとこのサービスを使い続けたい、なくてはならないサービス」

カスタマージャーニーマップを作成しユーザー視点で理解することは、企業が顧客体験を改善し、顧客満足度を向上させるための重要なカギとなっています。

 

カスタマージャーニーマップの重要性とは

注目を集めるカスタマージャーニーマップですが、その重要性はどういった点にあるのでしょうか。

近年では、インターネットやSNSの普及により、情報発信の手段が多様化していることや、これまでの売り切り型のビジネスモデルだけではなく、サブスクリプション(月額課金制)といった顧客の「体験」を重視するようなビジネスモデルが登場するなど、ユーザーを取り巻く環境は非常に変化しています。

これらの時流から、ユーザーに製品やサービスを提供する企業側においても、ユーザーとのタッチポイント(接点)をより工夫したり、ユーザーの態度変容についても「購入まで」だけでなく「購入後の利用〜ファン化」のフェーズまで重視するなど、より複雑な状況下において、ユーザーの購買体験を設計・管理する必要がでてきました。

このすべてのフェーズを戦略的に管理するためには、顧客の「認知〜利用後」すべての接点において、ユーザーをこれまで以上に解像度高く理解する必要があることはもちろん、関係者間でユーザーに関する認識を常に統一しておく必要があります。そこで、ユーザーに対する認識を関係者間で簡単にすり合わせ、施策をスムーズかつ効果的に実施していくためのツールとして、カスタマージャーニーマップは非常に重要視されているのです。

 

カスタマージャーニーマップ作成の大枠の流れ

ここでは、弊社のカスタマージャーニーマップのレイアウトを例に、カスタマージャーニーマップの作成の流れを簡単にお伝えします。

カスタマージャーニーマップは、ペルソナ(ターゲットユーザー像)ごとに作成します。この図では検討フェーズは左から右へ進んでいき、フェーズごとのペルソナの行動や思考と、それに対して自社がどういったアクションをとるかを記入していきます。自社が起こすアクションには、顧客と接触を持つ可能性のあるすべてのタッチポイント、たとえばWebサイト、メルマガ、SNS、カスタマーサポートなどを記入しましょう。

カスタマージャーニーマップ作成の大枠の流れ

これらの各ステップは企業やプロジェクトの状況に応じて調整されますが、カスタマージャーニーマップ作成の大まかな流れは以上のようになっています。後章「カスタマージャーニーマップの具体例」でも、くわしくご紹介していますので、そちらもぜひご覧ください。

 

カスタマージャーニーマップを作る目的

カスタマージャーニーマップを作る目的を、4つに分けて紹介します。

 

ユーザーの購買行動を予測するため

カスタマージャーニーマップを作成する目的の一つに、「ユーザーの購買心理や購買行動を予測すること」があります。

当然ながら、ユーザーひとりひとりが実際に「どのような思考をするのか」「行動を起こすのか」を、完全に予見することは不可能ともいえますが、昨今進化し続けるテクノロジーを活用すれば、ユーザーの行動やニーズを非常に高い精度で可視化し予測できるようになっています。

たとえばマーケティングオートメーションツール(MAツール)を使用すると、顧客のWebサイト上での行動をデータで取得し、顧客情報と結び付けることで、顧客の行動を属性ごとに分析できるため、マーケティング・営業領域においてより最適なアプローチを行うことができるようになっています。

このようにテクノロジーを活用することで、これまでオフラインで入手してきたような情報以外にも、顧客の行動やニーズをより具体的に把握できるようになりました。カスタマージャーニーマップは、これらの情報を整理し、「何が顧客の購買行動に影響を与えているのか」を正しく理解することに役立つことはもちろん、ユーザーの購買行動にさらに影響を与えて成果に結びつけることにも役立ちます。

 

施策の優先順位を決めるため

作成したカスタマージャーニーマップは、チーム内で共有することで、施策の重要度や優先順位を整理することにも役立ちます。

ビジネスでは、あらゆる施策において、多額のコストや多くのリソースを必要とすることがあります。そのため、重要なKPIと関連の深いタッチポイント(顧客との接点)や、顧客が解決したい課題を特定し、施策に優先順位をつけて取り組む必要があります。

そこで役に立つのが、カスタマージャーニーマップです。「態度変容プロセス」全体を俯瞰しながら、各フェーズで顧客が抱える課題を可視化して解決策を共有できるようになることで、チーム一丸となって成果に向かうことができます。限られたリソースを効果的に活用することができるようになることはもちろん、顧客満足度やロイヤルティの向上にも繋がるでしょう。

 

コミュニケーション設計の精度を上げるため

マーケティングでは、ユーザーの感情や行動の変化を軸にしながら、以下の3つの項目を具体化することでコミュニケーション設計を行います。ユーザーの視点を持つためにも、ユーザーが購買行動を起こすまでの一連の流れを記すカスタマージャーニーマップを作ることは、非常に有効です。

  • だれに
  • 何の情報(コンテンツ)を
  • どのようなタイミングで

カスタマージャーニーマップは、コミュニケーション設計の精度を上げるための重要なツールです。それぞれのタッチポイント(顧客との接点)において、ユーザーが抱える課題やニーズをより理解しやすくなり、それぞれタッチポイントにおいて最適なメッセージを発信したり、チャネルを選択することができます。

 

チームで共通認識を持つため

マーケティングチームは、社内メンバーだけで構成されるとは限りません。とくにマーケティングの知見や経験が乏しいケースでは、運用支援を外部に委託することも少なくないため、チーム内で常に認識を共有するためにも、カスタマージャーニーマップは重要な役割を担います。

また社内の人員でも担当部署ごとに業績指標は異なるうえ、ペルソナやカスタマージャーニーマップを明示せずにマーケティング施策を進めていたら、個々で違うことを考えていた…なんてことも。

そんなときカスタマージャーニーマップがあれば、明確に定義された情報をもとに、抑えておきたいポイントをチームメンバーに効率的に共有することができます。まさに、異なる部署から集まる関係者を、同じ目的地に導く「道しるべ」となってくれるのがカスタマージャーニーマップです。もちろん作って終わりではなく、内容の確認やすり合わせを行い、適宜改善していく必要もあります。

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カスタマージャーニーマップの作り方8ステップ

ここでは、カスタマージャーニーマップの作り方を、8つの手順に沿って紹介していきます。

カスタマージャーニーマップの作り方8ステップ

 

STEP1. ゴール設定

まずは、カスタマージャーニーマップを作成する目的、最終的に到達したいゴールを設定しましょう。企業の扱う製品やサービスの種類によっても大きく変わってくる部分です。

ゴールとしてよく設定されるものは、たとえば、「売上増加」「顧客ロイヤルティ向上」「顧客体験の改善」などがありますが、それぞれのゴールによってタイムフレームもさまざまであることから、マップの骨組み自体も変わってきます。

また、カスタマージャーニーマップの作成は部署間を横断してチームを編成することも多いため、ゴールの認識がそれぞれで違っていると、結局作り直しの必要が出てきて手間もかかってしまいます。まず最初に、関係者間でゴール設定をした上で着手しましょう。

 

STEP2. ターゲット(ペルソナ)設定

ゴールを設定できたら、ターゲットとするユーザー像=ペルソナを具体的に描いていきます。まずは、おおまかにユーザーの属性ごとにセグメント(ユーザーを一定の条件のもとグループ分けすること)を行います。年齢、性別、職業、所得、興味関心といった属性のうち、自社の製品やサービス利用に関わる項目を選定しましょう。既存顧客がすでにいる場合はモデルにすることで、より具体的にイメージしやすくなるはずです。

分類できたら、各セグメントにおける「典型的なユーザー像=ペルソナ」を特定し、購買動機を具体的に描写します。また、ターゲットとなる市場を調査し落とし込んでいくことで、より実用性の高いペルソナを設定できるでしょう。設定したペルソナはチーム内の関係者と共有し、チーム全体が一致した方向性で、カスタマージャーニーマップを作成していきます。

関連記事:ペルソナとは?マーケティングやビジネスにおける意味と作り方解説

 

STEP3. 態度変容のステップを設定

「態度変容のステップ」の設定とは、カスタマージャーニーを時間軸で分解し、顧客が経験するフェーズを明確に定義することです。以下の表のように、ステップの時系列は左から右へ進みます。

認知→ 興味関心→ 情報収集→ 比較検討→ 購入・契約→ 利用→ ロイヤリティ→
広告やSNSで、製品やサービスの存在に初めて触れる イベントやコラムといったコンテンツで、製品やサービスに興味を持ち始め 製品やサービスについて、自ら検索して情報を集める 製品やサービスの詳細や口コミを確認したり、競合他社と比較して検討する 購入・契約を決定する 製品やサービスを実際に利用する 製品やサービスに愛着を持ち、リピート購入やアップセルにつながる

取り扱う商材やゴール設定によってステップは変わってきますが、このようにステップを設定することで、顧客が製品やサービスを購入する過程を理解しやすくなります。それぞれのステップにはKPIなどが設定され、これにもとづいてコンテンツが設計されるため、ユーザーが、製品やサービスを必要としはじめる段階から、リピート購入するところまでのタッチポイントをすべて挙げて整理しておきましょう。

 

STEP4. 行動と思考(5W1H)の理解・タッチポイントの整理

時間軸に沿ってステップが設定できたら、各タッチポイントにおけるユーザーの行動や思考を整理していきます。は、5W1H「いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように」に分解して整理していくことで、ユーザーの行動やその裏にある思考や心理を想像しやすくなるはずです。

具体的には、タッチポイントは、以下の3つの観点で紐解いていきます。

  • いつ
  • どのチャネル
  • どのコンテンツ

思考や感情については、以下の2点を詳しく描写しておきます。

  • なぜそのチャネルを利用したのか
  • そのコンテンツと接して、どのように感じたのか

上記が具体的であればあるほど、後にマップ化したときに、チーム内でもイメージを共有しやすくなります。

 

STEP5. ユーザー体験を具体化

ステップを設定し、ユーザーの行動や思考と、タッチポイントが整理できたら、各ステップにおいてユーザーに提供する「体験」を具現化していきます。

ここではできるかぎり実在の既存顧客に対して、アンケートやヒアリングを行うといった定性的な調査をしていくと具体化しやすいでしょう。新規事業で顧客がいないという場合であっても、社内外の人物、たとえば友人や同僚にヒアリングするだけでも、顧客の行動や思考を理解するにあたって十分なヒントを得られるでしょう。

 

STEP6. テンプレート作成

カスタマージャーニーマップに必要な要素はここまででほとんど集まってきました。ここでは、各情報を入れ込むための枠組み、テンプレートを作成しましょう。

カスタマージャーニーマップは、「カスタマージャーニーマップ作成の流れ」でご紹介した表のように、ペルソナごとに作成します。横軸は時間の経過、縦軸ではユーザーの行動・思考・タッチポイントをまとめて整理します。

カスタマージャーニーマップの型の例

検討フェーズは設定したゴールによって変わってくるため、あくまでも一例としてご覧ください。ゴールとペルソナを明確にとらえた枠組みづくりが重要です。

 

STEP7. マップ化

ペルソナの行動・感情を整理し、これを時系列に沿って落とし込むことをマップ化(マッピング)といいます。はじめに設定した「ゴール」に向けて、ここまで洗い出してきたユーザーの行動や感情について、それらの変化を提供するタッチポイントと共に、マップ上で整理していきましょう。

マッピングの段階では、チームメンバーはもちろん、社内外のさまざまな年代・性別の人員を集めて意見を集めて議論することで、より実用的なマップを作成していくことができます。実際にカスタマージャーニーをマップ化してみることで、ユーザー視点で新たにビジネスの改善点が見つかることも少なくありません。

また関係者の間で、カスタマージャーニーマップについての意見が割れることは往々にしてあることです。チームメンバーが納得できるまでカスタマージャーニーマップの内容を詰めていくことで、事業指針、ビジネスモデルそのものを見直し改善するきっかけにもなるかもしれません。

 

STEP8. KPI設定

マッピングが完了したら、最後に各ステップにおけるKPIを設定します。KPI設定はカスタマージャーニーマップが正しく活用できているか確認するうえでも、必ず設定すべきものです。

設定したKPIと、成果を照らし合わせていくと、カスタマージャーニーマップのとおりにユーザーの態度変容が起こっているのかどうか、確認することができます。もし、ユーザーが期待通りの動きをしていなくても、ひとつの情報として整理しながら蓄積していくことで、カスタマージャーニーマップそのものの改善に繋げることもできます。

設定したKPIと、成果を照らし合わせていくと、カスタマージャーニーマップのとおりにユーザーの態度変容が起こっているのかどうか、確認することができます。もし、ユーザーが期待通りの動きをしていなくても、ひとつの情報として整理しながら蓄積していくことで、カスタマージャーニーマップそのものの改善に繋げることもできます。

 

カスタマージャーニーマップの具体例

カスタマージャーニーマップの作り方の手順について解説しました。それでは実際にどのように作るのか、ここではイメージしやすい例として、普段オフィスで触れる機会の多い、業務用のコピー機を題材に、カスタマージャーニーマップをご紹介します。ターゲット像を具体的な人物像に落とし込んだ「ペルソナ」も、参考までに簡単なものを記載しています。

カスタマージャーニーマップ作成の大枠の流れ

「山田太郎 / 50歳 / 管本部部長...」というように、ペルソナを明確にしておくことで、ユーザーの行動や思考を、より具体的かつ現実的に、カスタマージャーニーマップに落とし込むことができます。

また、カスタマージャーニーマップを作成する際には、ターゲットが自社と同じ業界であれば専門用語を使い、他業界であれば専門用語を避けてわかりやすい言葉や表現を用い、解説を付けることで、チーム内で共有できるようにしましょう。

 

カスタマージャーニーマップを作成する際の注意点

カスタマージャーニーマップを作成する際に、注意すべき4つのポイントをお伝えします。ここをおさえて作成することで、よく起こりがちな失敗を防ぎ、成果につなげることができるはずです。

カスタマージャーニーマップを作成する際の注意点

 

ユーザーの課題やニーズを徹底分析する

カスタマージャーニーマップを作成する際には、ユーザーの抱える課題やニーズをとことん深堀りしましょう。

カスタマージャーニーマップはあくまでも、企業がユーザー視点でニーズを理解するためのツールであり、企業側の一方的な希望に対して顧客の行動を変容させようとするものではありません。ユーザーの行動やニーズを正しく理解するためには、ユーザーの行動ログや実際のユーザーの声といった、客観的なデータを参考にします。

さらに、集めたデータをもとに、自社の顧客となるユーザーの典型的なタイプを洗い出し、いくつかのペルソナを作成します。これらのペルソナに優先順位を設け、ペルソナごとにカスタマージャーニーマップを作成することで、顧客の感情や消費行動を一致させることができ、カスタマージャーニーマップの効果を最大化することができるでしょう

 

細部にこだわりすぎない

カスタマージャーニーマップを作成するうえでは、細部に過度にこだわりすぎないこともポイントです。

さきほどもご説明したように、ユーザーニーズの徹底分析は必須項目です。一方で、ペルソナを細かく決め込むことで、ターゲットが細分化されることでひとつひとつのターゲットグループは小さくなり、それにともないそれぞれの施策の効果も小さくなってしまうため、手間だけが増えてしまうというデメリットも生じてきます。

カスタマージャーニーマップ自体は、網羅性よりも洞察を重視し、ジャーニーのゴールと重要なタッチポイントは抑えながらも、ある程度の余地を持たせることも大切です。

この見極めは、チームでカスタマージャーニーマップを練り直しながら、体得していくものです。一方で、マーケティングの知識・経験が乏しい企業の場合は、マーケティングの支援を委託できるパートナー企業を見つけることで、より効率的かつ成果に貢献するカスタマージャーニーマップを描くことができるでしょう。

 

KPIも必ず設定する

カスタマージャーニーマップは、作成して満足してしまうことも少なくありません。せっかく作ったカスタマージャーニーマップを有効活用するためには、適切なKPI(Key Performance Indicators)、つまりゴールに対する中間指標も忘れずに設定しましょう。

例えば、KGIを「新規顧客からの成約件数を、昨年の50件から今年は1.2倍の60件にする」と設定した場合の、KPIの例は以下のようになります。

  • Webサイトへの訪問者数を150%増加させる
  • LP(ランディングページ)からのリード獲得率を2%から5%に向上させる
  • 新規顧客獲得コストを50%低減させる

このようにKPIを設定することで、たとえば「LPからのCVが2%であるのに、広告をこのままのペースで打ち続けるのか?先にLPを改善した方が、費用対効果高く広告を運用できるのではないか」などと、より具体的に施策を振り返り改善することができます。また、カスタマージャーニーマップで想定している顧客体験と、実際の顧客体験が一致しているかを確認するうえでも重要な指標といえるでしょう。

 

作成後も、運用・改善のサイクルをまわす

カスタマージャーニーマップは、作成したあとで実際に運用し、定期的に改善のサイクルを回し続けることで効果を最大化することができます。

過去の出来事を例にすると、新型コロナウイルスの感染が拡大した際は、多くの企業がリモートワークやオンライン会議ツールの利用を増やしました。このような状況下においては、従来から対面で行われていた商談や販売活動も、オンライン商談やWebサイトといった別の接点に置き換わっていきました。こういった状況においても、カスタマージャーニーマップの改善が必要になります。

カスタマージャーニーマップはそもそも、ユーザーを態度変容に導くために作成するものです。実際に運用していくなかで、顧客のニーズや市場の環境が絶えず変化するため、それに合わせてカスタマージャーニーマップも柔軟に運用し改善していくようにしましょう。

 

カスタマージャーニーマップの活用法

カスタマージャーニーマップは、「顧客に次のステップに進んでもらう」ために活用されるものです。ただ、「実際にどのように使うかわからない」という方のために、マーケティングの施策としてよく利用される「メルマガ配信」「コンテンツマーケティング」「SNS運用」において、カスタマージャーニーマップの具体的な活用方法をご紹介します。

 

メルマガ配信

多くの企業が活用しているメルマガ配信。最近では「メルマガはもう古い」と考える方もいらっしゃるそうですが、決してそのようなことはありません。BtoBそしてBtoC問わず、有効なマーケティングの手段とされています。

メルマガ配信をおこなう際には、顧客のフェーズごとに必要となるコンテンツはなにか、カスタマージャーニーマップを使って把握しておきましょう。それぞれのフェーズの顧客に対して、どのように態度変容してもらいたいか、そのためにはどういったアプローチが必要かを整理できます。

たとえば自社のメルマガに登録し、開封まですすんだもののリンククリックにつながらないユーザーは、「情報収集段階」「まだそこまで製品やサービスについて理解が深まっておらず、購買意欲が低い状態」と考えられます。

こういったフェーズのユーザーを「リンククリック」まで態度変容させたい場合、製品やサービスの情報を伝えるだけでなく、

  • ユーザーと近い属性のユーザーの成果事例
  • ユーザーレビュー
  • 製品やサービスの使い方動画コンテンツへの誘導

といったユーザー視点で必要な情報、ついクリックして続きを見たくなるような内容を盛り込むことで、一歩先の行動につなげていきます。

関連記事:メルマガとは?効果的な作り方と配信方法・成功事例まで解説

 

また、メルマガ配信を含め、メールマーケティングの施策を行っていく上で便利なツールとして、MAツール(マーケティングオートメーションツール)というものがありますので、よろしければこちらも参考にしてみてください。

MAツール(マーケティングオートメーションツール)

関連記事:MAツールとは?基礎知識から機能・事例までわかりやすく解説

 

コンテンツマーケティング

コンテンツマーケティングとは、自社コンテンツを一方的に発信するのではなく、ユーザーが求めていることを先回りして情報発信することで、見込み顧客を獲得するマーケティング活動のこと。

カスタマージャーニーマップを活用することで、どのコンテンツを、ターゲットユーザーに対して、どのチャネルで発信していくかを明確にできます。フェーズごとに、ユーザーのニーズや行動を想定できるため、コンテンツを通して効果的に態度変容を促すことができるのです。

Webサイトであれば、初期のタッチポイントはブランドや製品に関する基本情報ページ、もしくはターゲットユーザーにニーズのあるお役立ち情報コラムなどを配信して、ユーザーの信頼を獲得していく段階です。購入検討段階では、具体的な製品やサービスの利点や特徴を掲載したページだけでなく、比較情報や成功事例などホワイトペーパーのダウンロードに誘導しましょう。

購入後は、製品の使い方に関するコンテンツ、ヘルプデスクなど、ユーザーが製品やサービスを最大限に活用するための情報を提供することで、エンゲージメントを高めていきます。

段階的なコンテンツマーケティングを実施するうえでは、カスタマージャーニーマップが指針となります。さらに、コンテンツの効果はツールなどを使って定期的に測定し、改善に活かすとよいです。

関連記事:コンテンツマーケティングとは?成功事例4選や手順、成果を出すためのコツを紹介

 

SNS運用

SNSを通じたマーケティングは、先にご紹介したメルマガ配信やコンテンツマーケティングとはやや毛色が異なり、そのソーシャルメディアを利用しているユーザー=新規顧客層にリーチできるのが最大のメリットといえます。

SNSマーケティングを行う際は、ペルソナ設定をしてからカスタマージャーニーマップを作成し、「ユーザーは何を求めているのか」「自社の製品やサービスをどうやって知ってもらえるか」の両面から、アカウントのコンセプトを設計していきます。

また、SNSマーケティングは他のマーケティング手法と異なり、SNS自体がUGC(User Generated Content、ユーザー生成コンテンツ)の重要なプラットフォームの1つとなっています。フォロワー獲得や、ユーザーに「いいね」や「シェア」といったアクションをとってもらえるように態度変容を促すには、どのような体験を提供するとよいかを、カスタマージャーニーマップを活用し整理しておく必要があります。

UGCは、一般のユーザーが自らの経験や意見、写真、ビデオなどを投稿するコンテンツであり、企業からの一方的な発信とは異質なものです。うまく活用すれば、企業はユーザーが生み出すコンテンツを通して製品やサービスのプロモーション、ブランドの認知拡大、ユーザーのエンゲージメント向上を促進することができます。

 

まとめ

カスタマージャーニーマップについて、まとめてご紹介しました。カスタマージャーニーマップを活用することで、ユーザー視点で自社の製品やサービス、ブランド価値をあらためて見直し、改善に活かすことができます。

またカスタマージャーニーマップがあれば、なんとなく打っているマーケティング施策から脱却し、根拠のある、そして成果の出る施策を打ち出せるはずです。さらにカスタマージャーニーマップに則って、顧客の消費行動に隠される心理を見抜くことで、新しいアイデアを生む土台としても活躍してくれるでしょう。

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監修者
クラウドサーカス株式会社 石本祥子

新卒でコンサルティング会社に営業職として入社。3年で営業所長代理を経験後、ベンチャー企業を経て、クラウドサーカス社にマーケティング職として入社。
営業とマーケティング、いずれの経験もあることを活かし、クラウドサーカス社が提供しているMAツール『BowNow』において、マーケティングと営業に関するメディアの監修を含む、Webマーケティングの全域を担当している。

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