CPA(顧客獲得単価)とは?設定方法やメリット、改善するコツなどをわかりやすく解説

広告の費用対効果を正しく判断するうえで欠かせないのが、「CPA(顧客獲得単価)」という指標です。CPAを把握することで、広告施策の費用対効果や利益率の妥当性を評価でき、戦略や予算配分の見直しにも役立ちます。
本記事では、CPAの基本的な意味や計算方法に加え、適切な活用シーンや他の指標との違い、改善に向けた具体的なポイントをわかりやすく解説します。広告効果を最大化するために活用できるMAツールについても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

3,500ダウンロード突破!
『BtoBマーケティング知識大全』
BtoB企業のマーケティングに必要な知識・ノウハウをこの一冊にまとめています。
まずは知っておきたい基礎知識から、BtoBマーケティングの全体プロセス、戦略の立て方から具体的な手法まで、全70ページの大ボリュームで徹底解説。
目次
CPAとは?
まずはCPAの概要と計算方法について解説します。
CPAの概要
CPA(Cost Per Acquisition/顧客獲得単価)とは、1件のコンバージョンを獲得するためにかかった広告費を示す指標です。コンバージョンの定義は業種や目的により異なり、購入・登録・問い合わせなどが該当します。たとえば広告費10万円で10件の成果があればCPAは1万円です。
CPAを把握することで、広告の費用対効果や利益率の適正を判断でき、広告戦略や予算配分の見直しにも活用できます。ビジネスの健全な成長に欠かせない重要な指標です。

CPAの計算方法
CPA(顧客獲得単価)は、「広告費用 ÷ コンバージョン数」で算出します。
たとえば、月80万円の広告費で160件の資料請求(コンバージョン)を獲得した場合、CPAは5,000円(80万円÷160件)です。これに対し、同じ広告費で320件を獲得できた場合、CPAは2,500円となり、後者のほうが獲得効率に優れているといえます。
この場合、一人当たりにかける広告費が少ない後者の方が、獲得効率が優れているといえます。このようにCPAを比較することで、どの施策がより費用対効果に優れているかを判断することが可能です。
CPAが適切なケース・不適切なケース
CPAは広告効果を測るうえで有用な指標ですが、すべてのビジネスに当てはまるとは限りません。自社の状況に応じて、CPAが適しているかどうかを見極めることが重要です。ここでは、CPAが適切なケースとそうでないケースについて解説します。
CPAが適切なケース
CPAが適切なケースは、コンバージョン1件あたりの価値がほぼ一定である、といえる場合です。たとえば、販売している商品が一種類で価格が安定している場合や、無料相談の申込みやイベントの事前予約など、コンバージョン時点では直接的な売上につながらないケースが該当します。
こうした状況では、1件の成果を得るためにどれだけの広告費をかけたかを明確に把握でき、施策ごとの効果を比較・改善しやすくなります。
CPAが不適切なケース
CPAは便利な指標ですが、コンバージョン1件あたりの価値が一定でない場合には適していません。たとえば、価格帯がバラバラな複数の商品を扱っている場合や、セールやキャンペーンを頻繁に実施している場合は、CPAだけで評価すると利益貢献度の高い商品が見落とされるおそれがあります。
また、短期契約と長期契約を併用しているサービスでも、獲得効率だけを重視すると本来優先すべき長期顧客を逃す可能性があります。こうしたケースでは、売上に着目したROASなど、別の指標と併用することが重要です。

3,500ダウンロード突破!『BtoBマーケティング知識大全』
この資料では、以下のことを紹介しています。 ✔ BtoBマーケティングにおける、戦略やKPIの考え方 ✔ デマンドジェネレーションとはなにか ✔ リード獲得の施策にどういったものがあるのか✔ 顧客育成やMAツールの基本
混同されやすい指標との違い
CPAと混同されやすい指標には、CPO・CPR・ROAS・CPC・CPMなどがあります。これらはそれぞれ目的や評価基準が異なるため、使い分けが重要です。広告運用の目的に応じて、適切な指標を選択することで、より正確な効果測定と最適な施策判断が可能になります。
指標 | 意味 | 算出方法 |
---|---|---|
CPA | 1件の成果(コンバージョン)を獲得するための広告費用 | CPA = 広告費用 ÷ コンバージョン数 |
CPO | 1件の注文を獲得するための広告費用 | CPO = 広告費用 ÷ 注文数 |
CPR | 1件の反応(例:会員登録や資料請求)を得るための広告費用 | CPR = 広告費用 ÷ レスポンス数 |
ROAS | 広告費に対して得られた売上の割合 | ROAS(%)= 売上 ÷ 広告費用 × 100 |
CPC | 広告1クリックあたりの費用 | CPC = 広告費用 ÷ クリック数 |
CPM | 広告1,000回表示あたりの費用 | CPM = 広告費用 ÷ 表示回数 × 1,000 |
CPAを活用するメリット
CPAについて解説してきましたが、活用することで具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?主な2つのメリットについて解説します。
費用対効果を客観的に評価できる
CPAを指標として活用する最大の利点のひとつは、広告施策の費用対効果を数値で明確に把握できる点です。たとえば、「いくらの費用を投じて1件のコンバージョンを得たのか」が一目でわかるため、施策の成果を感覚や主観に頼らず、客観的に評価できます。
売上や広告費の合計だけでは見えにくいパフォーマンスの良し悪しも、CPAを用いることで、より細かく、実態に即した判断が可能になります。今後の広告戦略を最適化するうえでも有効です。
改善点を見つけられる
CPAの数値を継続的に確認することで、マーケティング施策における課題を発見しやすくなります。たとえば、CPAが想定よりも高い場合は、広告のターゲティング精度が低い、ランディングページの訴求力が弱い、あるいはオファーの内容が市場に合っていないといった、具体的な改善ポイントが浮かび上がってきます。
こうした課題をもとに施策を見直すことで、より費用対効果の高い広告運用が実現可能です。CPAは単なる数値ではなく、改善へのヒントを与えてくれる重要な役割を果たします。
CPAの設定方法
広告運用においては、あらかじめCPAの目標値を設定しておくことで、費用対効果の高い施策につなげやすくなります。なかでも重要なのが、「限界CPA」と「目標CPA」という2つの指標です。ここでは、それぞれの意味と設定の考え方についてわかりやすく解説します。
限界CPA
限界CPAとは、1件のコンバージョンを獲得するために許容できる広告費の上限額のことです。この数値を超えると利益が出ず赤字になるリスクがあります。以下の計算式のように、商品の販売価格から原価や経費を差し引いた利益の範囲内で設定されます。
|
たとえば、商品価格が1万5,000円で利益率が20%の場合、限界CPAは3,000円です。限界CPAを理解することで、広告費用の適正な目標値を定め、無駄なコストを避けながら効率的な運用が可能になります。
目標CPA
目標CPA(Cost Per Acquisition)は、1件のコンバージョンを獲得するために理想的とされる広告費の目標値です。広告運用において、この数値を基準に予算を配分することで、無理なく利益を確保しながら安定した成果を目指すことができます。
目標CPAは、限界CPA(これ以上かけると赤字になる上限値)を出発点として、利益確保や広告戦略に応じた調整を行って算出します。計算式は以下の通りです。
|
たとえば、ある商品で限界CPAが4万円と設定されている場合、広告費の割合を40%にすると、目標CPAは1万6,000円になります。これは、「1件の顧客獲得に対して、1万6,000円以内に広告費をおさめることで、利益を確保したい」という明確な基準になります。
このように目標CPAを定めておくことで、広告運用の判断軸ができ、費用対効果の改善にもつながります。設定の際には、利益率や必要経費だけでなく、業界の相場や競合状況なども考慮することが重要です。
CPAを改善するコツ
ここまでCPAの基本や重要性について解説してきましたが、実際にどのように改善していけばよいのでしょうか。ここでは、CPAの最適化に役立つ3つのポイントをご紹介します。
コンバージョン率(CVR)を上げる
広告からの流入があっても、コンバージョンにつながらなければCPAは改善されません。そこで重要なのが、CVR(コンバージョン率)の向上です。CVRを高めれば、同じ広告費でもより多くの成果を得ることができ、CPAの引き下げにつながります。具体的には以下のような施策が効果的です。
|
クリック単価(CPC)を下げる
クリック単価(CPC)とは、広告が1回クリックされるたびに発生するコストのことです。CPCを抑えることで、同じ予算でもより多くのユーザーにアプローチでき、結果的にCPAの改善につながります。無駄なコストを減らし、効率よく成果を出すためにも、CPCの見直しは重要な施策です。
|
広告の基本「5W3H」を見直す
CPAを改善しようとすると、ついクリック単価やコンバージョン率といった数値に目が行きがちですが、そもそも広告が「誰に、何を、どう届けるか」が明確になっていないと、根本的な成果は上がりません。
そこで見直したいのが、広告戦略の基本である「5W3H」です。この考え方に立ち返ることで、ターゲット設定や配信タイミング、訴求内容など、広告全体の方向性を最適化し、結果的にCPAの改善にもつながります。
|

3,500ダウンロード突破!『BtoBマーケティング知識大全』
この資料では、以下のことを紹介しています。 ✔ BtoBマーケティングにおける、戦略やKPIの考え方 ✔ デマンドジェネレーションとはなにか ✔ リード獲得の施策にどういったものがあるのか✔ 顧客育成やMAツールの基本
CPA設定時の注意点
CPAを活用するには、以下で紹介する注意点を意識しながら、適切に設定することが大切です。
CPAはあくまでも指標の一つ
CPAは広告運用における重要な指標のひとつですが、あくまで「手段」であり「目的」ではありません。CPAを下げることに注力しすぎると、広告費を必要以上に削減してしまい、結果としてクリック数やコンバージョンの機会を減らしてしまう恐れがあります。
たとえCPAが低くても、全体の売上や利益が減ってしまっては本末転倒です。CPAはあくまでも指標の一つであることを理解し、利益やLTV(顧客生涯価値)なども含めた複数の指標を組み合わせて判断することが求められます。
他の指標を併せて活用する
CPAは重要な指標の一つですが、ユーザーの行動が多様化している今、CPAだけでは広告施策の効果を正しく評価しきれない場合があります。たとえば、最終的にディスプレイ広告でコンバージョンしたユーザーが、過去に検索広告やSNS、オウンドメディアなど複数の接点を経ていたとしたら、どの施策が本当に効果的だったのかをCPA単独では判断できません。
こうした背景から、CPAとあわせて複数の指標を確認し、ユーザーの行動全体を捉えることが、より精度の高い分析と改善につながります。
広告で獲得したリードから売上を最大限獲得するなら、MAツールの活用がおすすめ
ここまで、広告運用において重要な指標の一つであるCPAについて解説しました。広告運用は、低いCPAで多くのCVを獲得すれば終わりではありません。そのあとの、商談化や売上獲得にまで繋げることが重要です。広告で獲得したリードから、さらに成果を出すのであれば、MAツールの活用が非常に有効です。
MAツールとは
MA(マーケティングオートメーション)ツールとは、見込み客を獲得・育成・抽出する業務を効率化、もしくは自動化するソフトウェアです。顧客の興味や行動に合わせて、適切な情報を適切なタイミングやチャネルで届ける施策は、多くの労力と時間が必要となります。MAツールを活用することで、こうしたマーケティングの運用を効率化し、限られたリソースでも成果を最大化させることができます。

MAツールでできること
MAツールを使うことで、広告で獲得したリードの管理や育成(リードナーチャリング)が効率的にできるため、見込み顧客の質を高めやすくなります。
また、リードの行動データを細かく分析できる機能が搭載されており、どういった訴求や施策が有効であるのか見極めやすくなるため、結果的に無駄な広告費用を削減できたり、目標CPAに近づけることが可能になります。
シンプルな操作性で、初めてでも安心のMAツール『BowNow』とは

MAツールを導入するなら、国産MAツール「BowNow」の活用がおすすめです。広告で獲得したリードの管理や、行動履歴の可視化などを簡単に行うことができます。BowNowの最大の特長は、シンプルで使いやすい操作性にあります。リード活用やナーチャリングをこれから強化する企業や、専門知識が不足している企業でも、スムーズに活用を始めることができます。
無料プランも提供されているため、予算に限りのある中小企業や、まずはMAツールを試してみたい企業にとっても導入しやすいサービスです。
詳しくはこちら:MAツール『BowNow(バウナウ)』とは
まとめ
本記事では、CPAの基本的な意味や計算方法に加えて、効果的な活用シーンや改善に向けた具体的なアプローチについて解説しました。
自社の状況に応じてCPAの有効性を見極め、適切に活用することで、広告戦略の最適化や利益率の向上につながります。さらに、CVRやCPCといった関連指標とあわせて分析することで、広告運用の精度を高めることが可能です。また、MAツールなどのITツールを活用することで、CPAの可視化や改善をより効率的に進めることができます。ぜひ検討してみてください。
▼関連記事一覧
『【3,500ダウンロード突破!】BtoBマーケティング知識大全』をダウンロードする
以下のステップに沿ってフォーム入力することで、資料ダウンロードいただけます。

この資料でこんなことがわかります!・BtoBマーケティングにおける、戦略やKPIの考え方 ・デマンドジェネレーションとはなにか ・リード獲得の施策にどういったものがあるのか・顧客育成やMAツールの基本
監修者
クラウドサーカス株式会社 石本祥子

新卒でコンサルティング会社に営業職として入社。3年で営業所長代理を経験後、ベンチャー企業を経て、クラウドサーカス社にマーケティング職として入社。
営業とマーケティング、いずれの経験もあることを活かし、クラウドサーカス社が提供しているMAツール『BowNow』において、マーケティングと営業に関するメディアの監修を含む、Webマーケティングの全域を担当している。