1. TOP
  2. media
  3. コラム
  4. PEST分析とは?やり方や具体例などをわかりやすく徹底解説

PEST分析とは?やり方や具体例などをわかりやすく徹底解説

(公開:2024/09/30)
PEST分析とは?やり方や具体例などをわかりやすく徹底解説

PEST分析とは、自社を取り巻く外部環境を4つの要因「Politics(政治)」「Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」に分類し、自社に影響を与えるであろう事柄を予測するための分析手法です。

商品・サービスを効率的に販売して利益を出すためには、適切なマーケティング戦略の策定が重要です。PEST分析を行うことで、自社を取り巻く環境や自社の状況を客観的に正しく理解できるため、客観的・論理的な戦略立案が実現でき、効率的に成果を出せます。

本記事では、PEST分析の基礎知識から、4つの要因の詳細、分析の具体的なやり方などを解説します。最後には具体例も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

この記事の無料特典
事業にすぐ活かせるオリジナルチャート付き!マーケティングフレームワーク18選

事業にすぐ活かせるオリジナルチャート付き!
マーケティングフレームワーク18選

事業戦略や、マーケティング戦略・営業戦略に役立つフレームワークを全18種類、厳選し紹介しています。いまどのフレークワークを活用するべきなのか、質問に答えるだけですぐにわかる『オリジナルチャート付き』です。

無料ダウンロード

 

PEST分析とは

PEST分析とは、自社を取り巻く外部環境を4つの要因「Politics(政治)」「Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」に分類し、自社に影響を与えるであろう事柄を予測するための分析手法です。

企業が主に事業戦略を策定する際に、外部からの影響を理解し、その影響に対処するための戦略を考案するために活用されます。

新しい市場への参入や既存市場での競争優位を確保するためのデータを集めて外部環境を的確に把握し、柔軟な対応策を講じることは、企業が事業を続けるためには欠かせません。その役割を果たすPEST分析の重要性は非常に高く、多くの企業で活用されています。

PEST分析とは

PEST分析は「マクロ環境要因」

PEST分析は、企業を取り巻く外部環境を分析する手法です。その手法は、長期的なスパンで分析する「マクロ環境分析」と、短期的なスパンで分析する「ミクロ環境分析」に分かれ、PEST分析は前者の分析に適しています。

マクロ環境要因とは、企業の業績や戦略に影響を与える大規模な外部環境の要因で、企業が直接コントロールできない要素を指します。具体的には、政治的動向、経済情勢、社会的変化、技術の進展、人口統計、流行などの要素が含まれ、5年間、10年間と、長期的なスパンで環境要因を捉えるのが特徴です。

企業が持続的な競争優位を維持するための事業戦略を策定する際に、これらの要因は非常に大きな影響を及ぼします。

 

PEST分析の役割

PEST分析の主な2つの役割を解説します。

戦略・施策の方向性を明確にする

PEST分析の主要な役割の一つは、企業が取るべき戦略や施策の方向性を明確にすることです。外部環境の変化に敏感に反応し、それに対応する戦略を練るためには、まず現状を正確に把握する必要があります。外部要因がどのように企業の事業に影響を与えるのかを分析・理解することで、企業は最も効果的な戦略の策定やマーケティング施策の基盤を築くことが可能になります。

まずはマクロ環境要因をPEST分析で行って方向性を明確にした上で、3C分析などでミクロ環境を分析し、戦略や施策の策定につなげていくという流れが一般的です。3C分析などのマーケティング分析におけるフレームワークについて、下記記事で詳しく解説しています。こちらも併せてご覧ください。

関連記事:マーケティング分析とは?目的別のフレームワーク10選と手法、役立つツールを解説

 

将来の動向を予測する

PEST分析は、将来の動向を予測するための有力な手段でもあります。「将来どのようなリスク、もしくはチャンスが訪れる可能性があるのか」を予測可能です。

分析を通して予測することにより、企業は潜在的なリスクを事前に察知し、それに対処するための戦略を策定できます。市場におけるチャンスを見逃さずに捉え、競合他社に先んじた戦略を展開する際にも有用です。PEST分析は企業の持続的な成長を支える重要な要素となります。

 

PEST分析の4要因とは

PEST分析は「Politics(政治)」「Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」の頭文字から呼ばれており、各要素によって構成されています。それぞれの要素についてみていきましょう。

Politics:政治的要因

政治的要因とは、政治・法律・税制などが企業活動に与える影響を指します。政治的要因は企業の経営環境に直接的な影響を与えるため、PEST分析の中でも特に重要な要素です。

分析結果によっては自社の戦略を変更しなければならないなどの「脅威」として捉えられる場合もありますが、新規販路開拓などの「ビジネスチャンス」が見つかる可能性もあります。現行の政治的環境を理解し、予期される変動に備えて適切な対応を取りましょう。

 

Economy:経済的要因

経済的要因は、企業の業績や消費動向に影響を与えうる経済成長率や為替相場、インフレ・デフレの進行、金利などの要素を指します。たとえば、経済が成長期にある場合、企業は拡大戦略を取りやすくなりますが、逆に不況期にはコスト削減やリスク管理が重要になります。

経済的な環境が企業の収益性や市場機会にどのような影響を与えるかを理解することで、発生しうるリスクを最小限に抑えることが可能です。

 

Society:社会的要因

社会的要因とは、人口動向などの定量的な要因に加え、文化や生活、価値観の変化などの定性的な要素まで、広く生活に影響を与える要素を指します。

社会的要因を正確に分析することで、流行の把握やライフスタイル変化などを予測でき、企業は消費者ニーズによりマッチした製品・サービスの開発・提供を行えるようになります。

 

Technology:技術的要因

技術的要因は、テクノロジーの進化や新技術の登場など、企業や業界に影響を与えうる要因を指します。デジタル化の進展やAIの導入、バイオテクノロジーの発展など、技術の進展は企業が新しい市場機会を捉えるきっかけとなる一方で、既存のビジネスモデルを陳腐化させるリスクも伴います。

企業が競争力を維持し続けるためには、最新の技術トレンドを把握し、それに適応するための準備を怠らないことが大切です。

 

PEST分析のやり方

PEST分析の方法を6つのステップに分けて解説します。

PEST分析のやり方6ステップ

STEP1. 情報を収集する

PEST分析を行う第一歩は、外部環境に関する情報を収集することです。情報源としては、政府の報告書、業界レポート、ニュース記事、学術論文、マーケティング会社の調査レポートなどが利用できます。収集した情報は、後に行う分析の精度を左右するため、信頼性が高く、最新のデータを使用することが重要です。

また、環境要因の対象を何に設定するかも決めておきましょう。自社の顧客を増やすために訴求するのであれば対象は業界だけに留まりますが、業務効率化や利益拡大を目指すのであれば対象を広げる必要があります。このステップで情報収集を丁寧に行うことで、後のの分析がより正確で有意義なものとなります。

 

STEP2. PESTの4要因に分類する

情報収集を終えたら、次にその情報をPESTの4つの要因に分類します。収集したデータを「政治的要因、経済的要因、社会的要因、技術的要因」に分けることで、それぞれの領域での影響を個別に評価しやすくなります。

分類作業を通じて、各要因が企業の事業にどのように関連しているかが明確になり、戦略策定のための基礎が築かれます。

 

STEP3. 「事実」と「解釈」に分類する

次に、4つの要因に分類した情報を「事実」と「解釈」に分けます。「事実」は具体的なデータや実際の出来事を指し、「解釈」はその事実が企業にどのような影響を与えるかの評価を含みます。

区分することで客観的なデータと主観的な見解を混同せず、より正確な分析を行うことが可能になります。PEST分析では「事実」のみを扱うのが望ましいとされており、誤って解釈を扱うと分析が正確に行えないので注意しましょう。事実に基づいた冷静な分析は、戦略の信頼性を高めるのに役立ちます。

 

STEP4. 「機会」と「脅威」に分類する

前のステップで「事実」に分類した情報を、「機会」と「脅威」に分けます。「機会」とは外部環境の変化が企業にとって有利に働く要素で、「脅威」は逆にリスクとなる要素を指します。

企業によって、情報がどちらに分類できるかは大きく異なります。「脅威」と捉えられる要因も、自社にとっては「機会」となる場合や、その逆のケースもありうるので、あくまでも「自社に与える影響」という視点から分類することが重要です。脅威と捉えられる情報の中にも機会が潜んでいる可能性もあるので、多面的且つ広い視野で振り分けることをおすすめします。

 

STEP5. 「短期」と「長期」に分類する

「機会」と「脅威」に分類した情報は、さらにそれぞれの事実に与える影響を「短期」と「長期」の時間軸で振り分けましょう。短期的な要因は迅速に対処すべき事項であり、長期的な要因は持続的な計画を必要とします。現状の課題と未来への備えをバランスよく考慮する手助けとなり、経営資源の効率的な配分が可能となります。メンバー間での認識統一や業務の効率化にも効果的です。

 

STEP6. 分析結果を戦略・施策に落とし込む

最後に、分析結果を戦略や具体的な施策に落とし込みます。具体的には、脅威を把握してリスクを避けつつ、機会を明らかにして事業の成長を目指すように落とし込むことが重要です。

特に優先度が高いのは「緊急性が高い」及び「短期」の情報です。具体的には、期間の定まっているキャンペーンやプロモーション施策など、短期的に対応が必要なものを優先して取り入れ、その上で長期の情報を施策に落とし込んでいきましょう。

事業にすぐ活かせるオリジナルチャート付き!マーケティングフレームワーク18選

事業にすぐ活かせるオリジナルチャート付き!
マーケティングフレームワーク18選

この資料では、以下のことを紹介しています。 ✔ マーケティングフレークワークの活用メリット ✔ オリジナルチャートでわかる!いま活用すべきフレームワーク ✔ マーケティングフレーム18種の解説

無料ダウンロード

 

PEST分析を行うコツと注意点

PEST分析を行う際のコツや気をつけるべき注意点を3つ紹介します。

短期分析には適していない

PEST分析は、中長期的な視点での環境評価を目的としているため、短期的な問題解決にはあまり適していません。短期間の経営課題(次月の営業計画など)に対しては、SWOT分析や5フォース分析など、より具体的で直近の課題に対応する分析手法が有効です。

PEST分析の本質は、外部環境の変化に対する戦略的な対応を図ることにありますので、短期的な市場の変動に対して迅速に対応するには、他の分析手法との併用が推奨されます。SWOT分析や5フォース分析などのフレームワークについては、下記記事で詳しく解説しています。こちらも併せてご覧ください。

関連記事:マーケティングフレームワーク14選!使い方や選ぶポイントをまとめて解説

 

関連記事:競合分析とは?よく使うフレームワーク9選や分析手順をわかりやすく解説

 

内部の環境分析も併せて実施する

PEST分析は外部環境の評価に重点を置いているため、内部環境の評価と組み合わせて実施することで、より効果的な事業戦略が策定できます。内部環境の評価は、企業の強みや弱み、資源の活用状況などを把握するための手段であり、SWOT分析がこれに該当します。

外部環境と内部環境の双方を評価することで、より総合的かつ現実的な戦略を策定できるため、両者を併せて戦略策定に取り組むことをおすすめします。

 

目的を明確にして取り組む

PEST分析を効果的に実施するためには、分析の目的を明確にすることが重要です。目的が曖昧のまま進めてしまうと方向性を失い、結果として実用性の低い分析になってしまいます。例えば、新規事業の展開を目的とするのか、既存事業の改善を目指すのかによって、注目すべき外部要因も異なります。

情報をうまく扱えないと、手段が目的化してしまうリスクもあるため、より実効性のある戦略を導き出すために、目的を明確にした上で取り組みましょう。

 

【業界・事業別】PEST分析の具体例

業界・事業別に、PEST分析を活用した具体例を解説します。

自動車業界

自動車業界において、強く影響を受ける要因には、国内の規制・税制だけでなく、環境基準などの世界的な政治要因なども含まれます。他にも、以下のような情報が事業に大きく影響を与えます。

以下のような多岐にわたる外部環境の要因を把握する必要がありますが、企業によって緊急性や優先順位は異なるため、自社に合った分類を行うことが大切です。さらに各要素を「事実」と「解釈」に分けて掘り下げていきましょう。

 

  1. Politics(政治的要因):環境規制の強化や自動運転技術に対する法整備
  2. Economy(経済的要因):燃料価格の変動や消費者の購買力の変化
  3. Society(社会的要因):都市化の進展や若者の車離れ
  4. Technology(技術的要因):自動運転技術の進化、新興IoT企業参入による業界構造の変化、電動自動車の登場

 

倉庫管理システム事業

倉庫管理システム事業におけるPEST分析では、以下のような要素を分析することで、より効率的で革新的なソリューションを提供するための施策を検討できます。

コロナ禍の影響で消費者ニーズなどに大きな変化があり、今後も需要が高まることが予想される一方、人員削減や従業員の安全確保などの課題が考えられます。その中で今後、技術的要因に注目したシステム管理(作業の無人化)の必要がより一層高まると考えられるため、それに応じた戦略が求められます。

 

  1. Politics(政治的要因):物流に関連する規制や労働法の変更
  2. Economy(経済的要因):Eコマースの拡大による需要増加、物流コストの変動、人員削減
  3. Society(社会的要因):消費者の購買行動の変化、効率的な配送ニーズの高まり、在宅での業務の不足
  4. Technology(技術的要因):AIやロボティクスを活用した自動化の進展、無人化サービスの提供

 

OA機器製造事業

製造業におけるPEST分析では、以下の要因を踏まえて分析を行うことで、競争力を高めるための技術導入や市場戦略の見直しなどの戦略策定が可能になります。

たとえば目的を「全国の企業に利便性の高い製品を届けること」に、目標を「全国シェア率1位」に定めます。この場合、コロナ禍による影響で働き方やニーズに変化があり、オフィス内で使用する機器の需要より、在宅で利用できるソフトウェアの需要が増加すると予測できます。問題点や会社の方針などを考慮した上で、さらに深掘りしていきます。

 

  1. Politics(政治的要因):貿易摩擦や関税政策の影響、コロナ禍によるリモートワークの推進
  2. Economy(経済的要因):原材料価格や為替レートの変動、コロナ禍による部品製造の価格高騰
  3. Society(社会的要因):エコ製品への需要の高まりや人材不足、リモートワークの増加、一定数の企業はリモート不可
  4. Technology(技術的要因):製造プロセスの自動化やデジタルツインの導入、SaaSなどのWebツールの登場

 

まとめ

本記事では、PEST分析の基礎知識から、4つの要因の詳細、分析の具体的なやり方などを網羅的に解説しました。

政治、経済、社会、技術の4つの要因を分析することで、企業は外部からの影響を正確に把握でき、効果的な戦略立案に役立てられます。長期的な視点で企業の方向性を明確にするだけでなく、新しい機会や潜在的な脅威に備えることもできるため、競争優位の確保にも効果的です。

精度の高いPEST分析を行うには、MA(マーケティングオートメーション)ツールを活用してみるのも良いでしょう。顧客に関する情報管理はもちろん、マーケティング活動における施策の自動化・効率化や、蓄積したデータを分析に活用することも可能です。

MA(マーケティングオートメーション)ツールについて、下記記事で詳しく解説しているので、ぜひ併せてご覧ください。

関連記事:MAツールとは?基礎知識から機能・事例までわかりやすく解説

 

『事業にすぐ活かせるオリジナルチャート付き!マーケティングフレームワーク18選』をダウンロードする

以下のステップに沿ってフォーム入力することで、資料ダウンロードいただけます。

事業にすぐ活かせるオリジナルチャート付き!マーケティングフレームワーク18選

この資料でこんなことがわかります!・マーケティングフレークワークの活用メリット ・オリジナルチャートでわかる!いま活用すべきフレームワーク ・マーケティングフレーム18種の解説

監修者
クラウドサーカス株式会社 石本祥子

新卒でコンサルティング会社に営業職として入社。3年で営業所長代理を経験後、ベンチャー企業を経て、クラウドサーカス社にマーケティング職として入社。
営業とマーケティング、いずれの経験もあることを活かし、クラウドサーカス社が提供しているMAツール『BowNow』において、マーケティングと営業に関するメディアの監修を含む、Webマーケティングの全域を担当している。

contact

BowNowのサービス概要資料や、
MAツール活用に
役立つ資料を
無料で
ダウンロードできます

サービス資料をダウンロードする

BowNowに関するお問い合わせ、
無料相談は
お気軽に
ご連絡ください

お問い合わせ
アカウント発行