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セールスイネーブルメントとは?おすすめの本やツール、事例をまとめて紹介

(公開:2025/01/22)
セールスイネーブルメントとは?おすすめの本やツール、事例をまとめて紹介

セールスイネーブルメントは、売れる営業チームを作るための仕組みを教育機会やコンテンツ、ツールなどを導入することにより、構築していく一連の取り組みです。近年、顧客ニーズの多様化や働き方改革が進む中で、セールスイネーブルメントの重要性が一層高まっています。多くの企業が、売上拡大や新規顧客の獲得を目指して、営業チームの組織改革に取り組んでいます。

本記事では、セールスイネーブルメントの基本からメリット、実施方法、導入事例までをわかりやすく解説します。

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セールスイネーブルメントとは?

まずは、セールスイネーブルメントの基礎知識として、その意味や代表的な取り組みについて紹介します。

セールスイネーブルメントとは

セールスイネーブルメントの定義

セールスイネーブルメント(Sales Enablement)とは、継続して成果を上げられる営業チームを作る取り組みのことです。営業一人ひとりが、安定した業績を上げられるように支援するもので、簡単にいえば「売れる営業にするための仕組みづくり」ともいえます。

主な施策には、営業担当者のスキルアップ、質の高いコンテンツの提供、デジタルツールの活用、営業プロセスの改善などが挙げられます。セールスイネーブルメントの導入で、データやツールをうまく活用できれば、いままでの個人の経験に頼る営業から、チーム全体が安定して成果を出せる組織づくりが実現します。

 

セールスイネーブルメントの主な取り組み

セールスイネーブルメントには、どのような取り組みがあるのでしょうか。代表的な施策について紹介します。

 

コンテンツの作成・共有

セールスイネーブルメントでは、営業活動に有効なコンテンツを整備していきます。商談で利用するプレゼン資料や提案書、商品説明資料を作成し、誰でもアクセスできるようにします。質の高いコンテンツを準備することで、営業担当者は顧客のニーズに合った資料を迅速に提供できるようになり、商談の成約率が向上します。また、チーム全体で資料を共有しておけば、情報発信の一貫性が保たれ、営業組織の成果向上につながるでしょう。

 

SFAやCRM、MAツールの導入

MAとSFAとCRMの違い

SFA(営業支援システム)、CRM(顧客関係管理)、MA(マーケティングオートメーション)ツールを導入して、セールスイネーブルメントに必要なデータを収集します。

ツールを導入することで、営業データや顧客情報が一元管理でき、どの施策がどのくらいの効果を発揮しているのか可視化できます。データに基づいた戦略的な営業活動が可能になり、PDCAサイクルの精度も向上します。顧客ニーズもみえてくるため、最適な対応ができ、成約率の向上が期待できるでしょう。

関連記事:MAツールとは?基礎知識から機能・事例までわかりやすく解説

 

関連記事:MAとCRMとSFAの違いは?どれを選ぶべき?特徴・導入コストを徹底解説

 

営業人材の育成

営業担当者のスキルを向上させることも、セールスイネーブルメントの重要な取り組みです。トップセールスの成功事例や、顧客対応のノウハウを共有し、ほかのメンバーが参考にできる環境を整えます。定期的なトレーニングや研修、ロールプレイングを通じてスキルを高めたり、営業活動における担当者の行動をデータで残すことで、各担当者の改善ポイントを具体的に把握できます。

 

営業スキルの定量化

データを収集することで、営業活動を数値で評価できるようになり、社員一人ひとりの強みや改善点が明確になります。スキルの可視化により、成長の方向性を具体的に示せるため、営業担当者は効率よくスキルアップに取り組めます。自身の成長を実感しやすくなり、目標に向けたモチベーションも高まります。営業組織全体のレベル向上にもつながるでしょう。

 

セールスイネーブルメントが重要視されている理由

営業組織を成長させるために、セールスイネーブルメントに取り組む企業が増えています。ここでは、注目される背景について解説します。

セールスイネーブルメントの市場拡大

セールスイネーブルメントの市場規模は年々拡大しています。海外の調査によると、2020年には22億ドルだった市場は、2030年には119億ドルに達すると予測されています。国内でも、オンライン商談システムの市場規模が2020年から26億円に急増し、今後も増加が見込まれています。

この背景には、市場競争が激化する中で、営業力の強化が経営課題として重視されていることがあります。とくに大手企業を中心に、SFAやMAツールといったデジタルの導入が進み、データを活用した営業活動が求められています。

 

▼オンライン商談システム市場規模推移および予測(2019~2025年度)

オンライン商談システム市場規模推移および予測(2019~2025年度)

出典:ITR Market View:SFA/統合型マーケティング支援市場2022

 

顧客ニーズの多様化

現代の顧客ニーズは、インターネットの普及や購買行動の変化により、ますます多様化しています。そのため、従来のような一方的なPRでは、成果を上げることが難しく、顧客に合わせた提案が必要になっています。

セールスイネーブルメントは、顧客データを一元管理し、マーケティングと営業部門の連携を強化することで、個別のニーズに合ったアプローチを可能にします。顧客の声を把握し、仮説を立てたうえでのコミュニケーションが、成果を上げる営業組織を築くうえで非常に重要です。

 

働き方改革などによる営業活動の変化

働き方改革により、営業現場も大きな変化を迎えています。労働時間の短縮により、商談準備の時間を確保するのが難しくなり、リモートワークの普及で、オンラインで商談を行うケースも増えています。セールスイネーブルメントは、効率的な営業活動を実現するために有効な手法です。コンテンツの作成やデータ分析を通して、短時間で最大限の成果を上げられる体制を整えます。

 

セールスイネーブルメントの4つのメリット

ここからは、セールスイネーブルメントの4つのメリットについて解説します。

1. 営業力の向上

セールスイネーブルメントを導入することで、営業力の強化を期待することができます。たとえば、コンテンツを整理して必要な情報を簡単に見つけられるようにすることで、顧客からの問い合わせに即座に対応できます。顧客満足度が向上し、受注率アップも見込めるでしょう。営業担当者の業務効率も改善します。また、営業プロセスの標準化によって属人的な活動を減らし、組織全体で均一なパフォーマンスが発揮できます。スキルの差を埋めながら、チーム全体の営業力を底上げできるでしょう。

 

2. 人材育成のプロセスを構築

セールスイネーブルメントにより、効率的な人材育成のシステムを構築することができます。継続的なトレーニングシステムを整備し、営業メンバーに基本的なプロセスやスキルを提供します。たとえば、CRMやSFAを活用し、営業活動を可視化することで、的確なフィードバックやサポートが可能になります。トレーニングを継続することによって、社員一人ひとりのスキルを向上させることができ、新入社員の早期戦力化にもつながります。

 

3. データ分析で安定的な成果を創出

データ分析によって、安定的に成果を上げる仕組みを整えることができます。どの施策やコンテンツが効果的かを評価し、その分析をもとに営業戦略を最適化することで、データに裏付けされた客観的な判断が可能です。また、成果を定量的に測定することで、改善ポイントをすばやく特定できます。施策ごとの貢献度も明確になり、持続的な成長を実現できます。

 

4. 営業とマーケティングの連携

セールスイネーブルメントは、営業とマーケティング部門の連携を強化する重要な役割を果たします。たとえば、最適なタイミングでリードにアプローチすることで、成約率の向上につながります。マーケティングで分析した顧客データを営業に引き渡すことで、ニーズや購買行動が明確になり、効率的な戦略が可能です。両部門で情報を共有することで、ターゲットの全体像も把握しやすくなり、顧客に寄り添った提案ができるようになるでしょう。

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セールスイネーブルメント実施までの5ステップ

ここからは、セールスイネーブルメントを成功に導くための5つのステップを解説します。

セールスイネーブルメント実施までの5ステップ

STEP1. ツールを活用したデータ分析

まず、データを効果的に活用できる体制を整えます。CRMやSFA、MAなどのデジタルツールを導入し、営業プロセスや顧客情報を一元管理することで、現場の状況をリアルタイムで把握できるようにしましょう。

たとえば、受注率や顧客の購買傾向を分析することで、効果的な営業戦略を立案することができます。データ分析の結果を現場と共有すれば、次に必要なアクションも明確になります。データを活用した営業活動は、成果を安定させる重要な要素です。

 

MAツール『BowNow』で顧客の行動データを効率的に収集

MAツール『BowNow』で顧客の行動データを効率的に収集

本コラムを運営するクラウドサーカス社が提供している、MAツール『BowNow(バウナウ)』では、自社サイトを訪れているユーザーの情報を分析して、データベースに自動で収集します。いつ・どのコンテンツに・だれが・どのくらいアクセスしているのかがわかるので、何に興味を持っているユーザーなのかを分析し、営業のアプローチに役立てることができます。

また、「使いやすさ」にこだわったシンプルな設計のため、MA初心者でも直感的に操作することができ、成果の創出に最短で進むことができます。現在、14,000社以上に導入されており、国内MAツールのシェアではNo.1※を誇ります。

※出典:株式会社DataSign「DataSign Webサービス調査レポート 2025.1」

詳しくはこちら:MAツール『BowNow(バウナウ)』 公式サイト

 

STEP2. 担当者を配置して体制を整える

次に、専任または兼任の担当者を配置します。営業現場と経営層をつなぐ役割として、データの収集・分析や施策の計画・実行をリードします。また、営業ツールや研修プログラムの利用状況をチェックし、改善案を提案する役割も担います。適材適所の人材を選ぶことで、セールスイネーブルメントの効果を組織全体に早く浸透させられるでしょう。

 

STEP3. 現状の営業施策を見直す

セールスイネーブルメントを導入する際には、現状を把握することも重要です。いま行われている営業施策をしっかりと見直しましょう。

過去の取り組みで成果が出ている手法や、改善が必要な施策を明確にし、ムダな作業や非効率なプロセスを洗い出します。たとえば、成約率が低い原因を分析し、資料や提案内容を見直すことで、営業効率が大幅に向上する場合もあります。施策を的確に評価することは、次の戦略を成功させる土台作りにつながります。

関連記事:本当は教えたくない!営業戦略~マーケティング施策、アプローチ体制まで見直せる確認項目一覧(チェックシート付)

 

STEP4. 営業ノウハウをチームで共有する

営業活動は、個人の経験やスキルに依存しがちで、属人化が多くの企業の課題となっています。そのため、セールスイネーブルメントで、効果的な営業手法や成功事例をデータ化し、チーム全体で共有することが大切です。

トップセールスの提案書や商談プロセスを、チーム全員が利用できるようにすれば、個人差が減り、全体の営業力を底上げできます。再現可能な仕組みを作ることが、組織の安定的な成長につながるでしょう。

 

STEP5. 営業成果の評価・検証

セールスイネーブルメントの実施後は、取り組みの成果を評価し、次の施策に活かすための検証を行いましょう。具体的には、施策前後の指標を比較し、PDCAサイクルで継続的に改善します。評価にはデータだけでなく、現場のフィードバックも活用することが大切です。営業プロセスを標準化して評価・検証することで、高いスキルの営業チームが構築できるでしょう。

 

セールスイネーブルメントの導入事例

実際に、企業ではどのようなセールスイネーブルメントの取り組みを行っているのでしょうか。ここでは、成功事例として「NTTコミュニケーションズ株式会社」「Sansan株式会社」の取り組みについて紹介します。

NTTコミュニケーションズ株式会社

NTTコミュニケーションズ株式会社は、2017年よりセールスイネーブルメントを導入し、データ活用を通じた営業プロセスの改善や人材育成を推進しています。

同社におけるセールスイネーブルメントの重要性は、営業と人事・育成、収益などのデータを一元化し、組織全体で横断的に活用する点にあるとしています。これにより、データに基づいた営業戦略や、育成トレーニングの計画が可能となり、営業力の強化につながっています。また、サイトの閲覧履歴やサービスの利用状況の分析を行い、顧客ごとの課題やニーズを営業に提示。担当者は、より的確なアプローチが可能になり、生産性が向上したといいます。

さらに、SFAと商談データを連携させて、トレーニング動画や必要なコンテンツをレコメンドする仕組みも導入。こうしたツールの活用によって、営業活動がより効率的に進むようサポートしています。データの一元管理と分析に基づく営業戦略と教育体制の強化により、営業力の持続的な強化が実現し、組織全体で生産性を高めています。

 

Sansan株式会社

法人向け名刺管理サービスを提供するSansan株式会社は、2018年からセールスイネーブルメントの組織を立ち上げました。採用、案件管理、教育、評価制度など、営業の根幹に関わる部分まで改革を進め、営業プロセスを見直してきました。

当時は、大企業向けの営業スタイルに課題を抱えていたそうです。中小企業をメインターゲットとしていたため、顧客数が増えるにつれて、営業チームが持つノウハウやリソースの不足が問題になっていました。

そこで現状を分析し、営業戦略、オペレーション、トレーニング、人材管理の4分野に課題を分類。とくに人員不足に対応するため、採用からオンボーディングの強化まで幅広く改善しました。評価基準を明確化し、面接官のトレーニングを実施することで、即戦力の営業メンバーを育成しました。

セールスイネーブルメントの導入後、PDCAサイクルを回し続けた結果、採用力が約3倍に向上。営業プロセスも見直し、基準を明確化したことで、営業活動のボトルネックが特定でき、具体的な研修プログラムも整備されました。このように、Sansan株式会社はセールスイネーブルメントの導入を通じて、営業組織の効率化と生産性向上を達成しています。

 

セールスイネーブルメントの書籍

最後に、セールスイネーブルメントをより深く知るためのおすすめの書籍を紹介します。

セールス・イネーブルメント 世界最先端の営業組織の作り方

セールス・イネーブルメント 世界最先端の営業組織の作り方

セールスイネーブルメントの第一人者として知られる山下貴宏氏が、セールスフォース・ドットコムでの経験をもとに、営業組織の構築方法を具体的に説明しています。「新人営業を即戦力にするには?」「どうすればマーケティングと効果的な連携がとれるのか?」など、営業に関するよくある課題を解決してくれます。

育成フローの整備から効果測定まで、効果的なアプローチを学べる内容となっており、営業組織の「仕組み作り」に関心のある方におすすめです。

参照元:Amazon『セールス・イネーブルメント 世界最先端の営業組織の作り方』

 

トップセールスだけに頼らない組織を作る 実践セールス・イネーブルメント

トップセールスだけに頼らない組織を作る 実践セールス・イネーブルメント

本書では、営業組織の持続的な成長を目指す企業に向けて、セールスイネーブルメントによる組織強化の基本から実戦までを解説しています。営業力にばらつきがある、特定のトップセールスに依存しているといった課題を解消したい組織のリーダーに最適です。

育成手法や成果の測定方法など、営業組織全体で成果を安定化させるヒントが詰まっており、成功事例も多数紹介されています。他社の取り組みについても、詳しく知ることができる内容になっています。

参照元:Amazon『トップセールスだけに頼らない組織を作る 実践セールス・イネーブルメント データを活用した必勝パターンの設計から、育成施策・ナレッジ活用、効果検証まで』

 

まとめ

セールスイネーブルメントは、営業力の強化やデータに基づいた戦略を可能にする、現代の営業組織に欠かせない手法です。営業担当者のスキルを評価して、育成プロセスを一貫して進められるだけでなく、営業とマーケティングの連携も深まります。ツールを活用したデータ分析やノウハウの共有により、より安定した成果を期待できるでしょう。

最近では、MAツールやSFA、CRMなどサポートに役立つデジタルツールも数多く登場しています。営業の新たな成長を促進するためにも、セールスイネーブルメントを導入し、強固な営業体制を築いていきましょう。

 

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監修者
クラウドサーカス株式会社 石本祥子

新卒でコンサルティング会社に営業職として入社。3年で営業所長代理を経験後、ベンチャー企業を経て、クラウドサーカス社にマーケティング職として入社。
営業とマーケティング、いずれの経験もあることを活かし、クラウドサーカス社が提供しているMAツール『BowNow』において、マーケティングと営業に関するメディアの監修を含む、Webマーケティングの全域を担当している。

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