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MAツールの導入・活用におけるよくある失敗と気を付けるべきポイント

2022/06/25 (公開:2021/03/09)
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MAツールの導入・活用におけるよくある失敗と気を付けるべきポイント

リモートワークや、営業のデジタル化などが推進され、近年導入が進んでいるMAツール。しかし、導入してみたものの「うまく活用できていない」「想像していたより手間がかかる」「自動化(オートメーション化)できない」など、運用に悩む声は多く聞かれます。
そこで今回の記事では、MAツールの導入・活用におけるよくある失敗を踏まえ、気を付けるべきポイントをご紹介します。

MAツールの導入を検討している方、どのMAツールを導入するか迷っている方、MAツール導入初期の運用でお困りの方は、ぜひ参考にしてください。

MA(マーケティングオートメーション)ツールとは

はじめに、MAツールの基本的な概要について、おさらいしておきましょう。
MAは、マーケティングオートメーション(Marketing Automation)の略です。MAツールとは、マーケティングの活動のひとつである「デマンドジェネレーション」の施策を自動化するツールとして活用されています。

デマンドジェネレーションとは、顧客をつくるために行うマーケティング活動全般を指す言葉で、その中には、(1)リードジェネレーション(見込み客獲得)、(2)リードナーチャリング(見込み客育成)、(3)リードクォリフィケーション(見込み客の絞込み)の3つのフェーズが内包されています。

例えば、ホームページや展示会で獲得した見込み客(リード)に対して、メールマガジンやセミナーなどでさらなる育成活動を行い、ある規準に沿って購入意欲の高いリード(ホットリード)を絞り込む…というような、一連の活動をデマンドジェネレーションと言います。


参考記事:MA(マーケティングオートメーションツール)とは?

MAツール運用でよくある失敗

上記の説明からもわかるように、デマンドジェネレーションにおける集客→育成→選別の過程には、さまざまな施策の選択肢があり、その「成功パターン」は企業や業種・業界、商材によって千差万別です。海外ベンダー等から販売される高度なMAツールが指す「自動化」の本来の意味は、たくさんの施策の選択肢のなかから、成功パターン・成功ルートがある程度見えていることを前提としたうえで、そのタスクを自動化することです。

しかし、弊社がこれまで企業を支援してきた経験では、この前提ができている日本企業はまだ少なく、むしろ大半の企業は「成功パターンが見えるほど、マーケティングに本気で時間やお金をかけていない」のが実情です。

そのためMAツールを選定するに当たっては、高度なMAツールを使いこなせるのか等、導入する時点の状況に応じた機能・要素を見極める必要があります。以下でご紹介する、つまずきやすいポイントを参考に、自社の状況と比較してみてください。

●マーケティングリソースが少ない

デマンドジェネレーションの施策を行ううえで、もっとも大きなボトルネックはリソースが少ないことです。これは、マーケティング業務を行う担当者がいない、もしくは少ない状態を指します。

とくにBtoBマーケティングは、オンライン施策だけでなく、展示会やセミナーなどのオフラインの活動もマーケティング部署が担当することが多いため、本来はチャネルごとに専属の担当がいるのが理想です。しかし、実際の現場では、そのような理想的な人員を確保できる企業は少なく、営業やWEB担当等と兼任している方が多いのが実情です。

マーケティングのリソース不足が引き起こす顕著な問題は「コンテンツの量と質が落ちる」ことです。人手が足りず、コンテンツを用意できないと、とくに中長期的な視点が必要な育成活動(ナーチャリング)のための施策が滞っていきます。

●MA運用のPDCAが回っていない

運用のPDCAが回っていないという課題には、(1)MA自体を操作できない(操作が難しい)、(2)実運用開始までのステップが長いという2つの問題が混在しています。

(1)MA自体を操作できない(操作が難しい)

MAの操作には、WEBサイトやWEB広告の作成や分析とは別にMAツール自体を操作するノウハウが必要です。
これは「ノウハウを保有している人材を採用する」「理解している会社にコンサルしてもらう」「社内にMA担当を設けて人材を教育する」のいずれかの方法で解決することが多いです。

しかし、採用・教育しても担当者に業務が属人化してしまうため、 退職リスクがつきまとうことになります。また、コンサル会社は必ずしも「自走できるように支援」している会社ばかりではありません。 「コンサル契約が終わったら何もできなくなった」「メールの一斉送信はできるが、設定変更はできない」という声は非常によく聞く話です。

(2)実運用開始までのステップが長い

弊社が行った調査では、約60%の会社がMA導入(契約開始)後から、実際に運用を開始するまでに4カ月以上の時間を要していることがわかりました。

実運用開始までのステップが長い

実際、MAの設定は下記のようなフェーズを経て運用が開始されることが一般的です。

上記のフローは最低限必要なものですが、完了するのに多くの時間と人的リソースを要します。

かつ、もっとも本質的な課題は「これほど時間と労力をかけて作った体制やルール・方針を運用開始後に変えづらいこと」だと言えます。
時間をかけて考え、部署間で調整して決めたルールを、実運用開始直後に変えることは容易ではありません。
しかし、運用の半年も前に決めたルールが、実際に顧客の心を動かすことができるかも大きな疑問です。つまり、MAツールの運用開始までのステップの複雑さと、複雑ゆえの変えづらさが、PDCAサイクルが回らない状態を引き起こす要因になっています。

●マーケティング施策の優先順位が間違っている

前述のように、本来MAツールが支援する「自動化」とは、マーケティング施策をある程度行い、自社の成功パターンがいくつか見えている段階でのタスクの自動化です。

しかし、「十分な量のリードを保有していない」「必要最低限のコンテンツや、見込み客の検討レベルを高めるコンテンツが揃っていない」「過去にリードナーチャリングを計画的に実行し、成果につなげてきた経験がない」企業が、なぜか自動化から開始してしまうというのはよく聞く失敗談です。

MAツールの花形機能のひとつでもある「スコアリング」「シナリオ設計」はいずれも上記が満たされているユーザーが、うまくいっているマーケティング施策をより短い時間で実行するためのものです。

自社にとって効果的なマーケティング施策が何か(顧客の心を動かすコンテンツは何か)を理解していないうちから自動化を試みてもまったく意味がありませんし、そのルールや設定を決めるために「議論する時間」や「設定に使う時間」があるのであれば、足りないコンテンツを作成することに時間を使った方が有益な企業は非常に多い印象です。

つまり、大半のMAユーザーが時間対効果の低い施策に多くのリソースを投下してしまっていると言えます。 前項のように、マーケティングにかけるリソースが不足しているなか、もっとも難易度が高く時間対効果が低い「自動化関連」の施策に時間を取られるのは本末転倒です。自社に必要な施策をしっかりと理解したうえで、最初に取り組むべき施策や用意すべきものを考える必要があります。 弊社のこれまでの経験では大半のユーザーはコンテンツが圧倒的に不足していることが多いです。

●成果(ROI)が出る前に止めてしまう

リードナーチャリングを促進する目的で、MAツールを導入する企業は少なくありません。

しかし、良質なリードナーチャリング活動をおこなうためには、多くの人員が必要であり、成果が明確に現れるまでに時間も長くかかります。一例として、専任で4名の担当を整備し、成果が出るのに最低半年から2年ほどかかることもあります。

そうすると、多額の導入費用や運用費用(ツールの月額使用料+コンサルティング費用)がかかるなか、しだいに経営層が成果に寛容でなくなってきます。その結果、正しい施策に時間やお金を使えないだけでなく、成果やかけた費用の回収が終わる前にMAの運用をやめてしまうということが起きてしまいます。

つまり、ROI(投資対効果)が低いと判断されやすくなってしまうという問題です。MAの運用コストは、月額約20万円以上かかっている人が65%いるというアンケート結果が出ている通り、費用が高くなる傾向にあります。

成果(ROI)が出る前に止めてしまう

投資の観点でみると、導入目的がリードナーチャリングである場合、長期的な成果となることも認識したうえでのツールの選定が必要となります。

MAの導入・活用において気を付けるべきポイント

では、上記のようなMAツール運用のよくある課題を踏まえたうえで、どのように対処する必要があるのでしょうか。

●自社の目的を明確にする

もっとも基本的であり、重要なことは、自社がMAツールを導入する目的を明確に定義することです。

これまで述べてきたように、MAツールは導入するだけでマーケティング活動が魔法のように自動化できるシステムではなく、各社のマーケティング活動の目的とそれに対する適切な施策を前提としたうえで、その業務を支援したり、負荷を軽減したりするものです。

そのため、自社がMAツールを使って実現したいことと、優先順位を明確に定めておかなければ、せっかくツールを導入してもその効果を最大限得ることはできません。自社の施策の目的や優先順位を考えるうえでは、下記のようなポイントを踏まえて精査するのがいいでしょう。

上記のようなポイントを踏まえたうえで、例えば「新規リードの拡大」または「既存リードからの案件創出」のどちらの優先度が高いかなどを考え、活動の目的を設定します。

●運用フローを策定する

運用フローは、目的が明確に定まってはじめて策定するものです。

デマンドジェネレーションの活動は、マーケティング部門以外にも、営業やインサイドセールスなどさまざまな部門が関わるため、各部門との調整には時間がかかります。しかし大切なのは、はじめから時間をかけて完成された運用フローを作ろうとするのではなく、速やかに仮説を作り、運用の段階や結果を反映しながら、フローを更新していくことです。

そのためには、関係する各部門の担当者が定期的に議論をする場を設けることと、運用の状況に応じて柔軟な設定や条件抽出ができるツールを選択しておくことが重要です。

●適切なツールを選定する

MAツールは、さまざまなベンダーからリリースされており、スコアリングやシナリオ設計などによる高度な自動化を得意とするものもあれば、シンプルな機能と続けやすい価格に特化した入門段階に適したものもあります。

これまで述べてきたように、MAツール導入の目的と、自社の状況(リソース・予算・ノウハウの有無など)によって、選ぶべきツールが異なることを理解し、適切なツールを選定することが、運用を軌道に乗せる大きなカギです。各社のツールの特徴を踏まえたうえで、無理なく使いこなせるものを選択するのがよいでしょう。

まとめ

この記事では、MAツールを導入・運用するうえでのよくある課題と、それらの課題を解決したり、未然に防いだりするために気を付けるべきポイントをご紹介しました。

MAツールは、多岐に渡るデマンドジェネレーションの施策の効果を高め、より効率的に行うためのシステムです。運用段階でどのような課題が生じるかを想像しながら、自社の用途にあったツールを選択し、その機能や効果を最大限活かせるようにしてください。



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