MA(マーケティングオートメーション)ツールの選び方
日本でもMA(マーケティングオートメーション)ツールが浸透し、導入・活用する企業様が増えてきました。
ただ、すべての企業が活用し切れているとはいえません。導入してはみたものの、失敗だったと感じていらっしゃる企業もあるのではないでしょうか。
MAに限った話ではありませんが、ツールの導入に際しては自社の目的や業務フローなどに合ったものを選ぶことが大切です。本コラムでは、これからMAを始めて導入される企業様や、リプレイスを検討されている企業様向けに、最適な選び方をご紹介いたします。
これを読めば全てがわかる!
世界一わかりやすいマーケティングオートメーションとは?
商談数最大化のため、導入する企業が増えているマーケティングオートメーション。本書では、MAが必要な理由からその導入効果までわかりやすく解説しています。
目次
MA(マーケティングオートメーション)ツールの選び方
MA(マーケティングオートメーション)ツールについての基本情報と、ツール選定のポイントについてご説明します。
MA(マーケティングオートメーション)ツールとは
MA(マーケティングオートメーション)ツールとは、顧客開拓フェーズでのマーケティング活動を可視化・自動化してくれるツールです。
見込客の連絡先などの基本的な情報のほか、Webサイトやメールなどデジタルチャネル上での行動を蓄積し、メール送信などのコミュニケーションアクションを登録しておくことで、一定の条件を満たすと自動でアプローチしてくれます。
MAを活用することで、見込客の興味が高まったタイミングで最適な情報を届けることができるようになります。
MA運用はツール選びが重要
MA(マーケティングオートメーション)ツールの運用を成功させる第一歩として、ツール選びが重要です。
MAには、海外製か国産か、さらに機能の違いなど、さまざまなツールがあり、特長や料金も異なります。
導入後、MAをもっとも使用することになるセールス部門やマーケティング部門のITリテラシーや、自社の人的・金銭的リソースに合ったツールを選ぶことが大切になってきます。
マーケティングオーメーションを導入検討する前に
では、具体的にどのようにMA(マーケティングオートメーション)ツールを選んで行けば良いのでしょうか?
ここでは、「①目的を決める」「②目標値を決める」「③ターゲットを考える」「④組織体制を考える」の4つのステップに沿ってご紹介いたします。
①目的を決める
MAと一口にいっても、基本機能は近しいものの、ツールによって実現できる内容はさまざまです。単に多機能なツールだからと選んでも、結局は使いこなせず宝の持ち腐れになってしまうケースもあります。
まずは、MA導入によって何を実現したいのか、どんな課題を解決したいのか、目的を明確にしましょう。
たとえば、展示会などで集めた名刺が放置されているので見込客の掘り起こしをしたい、あらかじめ決めておいた見込客のカスタマージャーニーに沿ってステップメールを送りたい、といった具合です。
これらの目的を実現するために必要な機能があるかどうかが第一のチェックポイントです。
②目標値を決める
①で決めた目的をブレイクダウンして、具体的な数値での目標を定めましょう。目標を決めておくことで、導入後の効果測定を行いやすくなります。
MA活用のよくあるKGI例・KPI例は以下の通りです。
MA(マーケティングオートメーション)ツールのよくあるKGI例
- マーケティング活動から創出された売上の比率
- パスした案件の案件化率
- パスした案件の受注率
- CPA(コンバージョン獲得単価)
- CPO(顧客獲得単価)
MA(マーケティングオートメーション)ツールのよくあるKPI例
- 保有リード数
- マーケティング活動のROI
- マーケティング活動のROAS
- マーケティング部門から創出した受注の平均単価やLTV
- メールの開封率・URLクリック率
③ターゲットを考える
自社商材のターゲット層やペルソナについて、改めて考えてみましょう。
たとえば、若年層がメインターゲットであれば、LINEなどSNSとの連携機能が必要でしょう。
逆に、想定しているペルソナがあまりSNSを使わないタイプであったり、ビジネスパーソンがメインだったりすれば、メールだけが使えれば良いかもしれません。
ターゲット層によって、MAに必要な機能は異なってきます。
④組織体制を考える
最後に、導入後のMA運用体制について検討し、見合ったツールを選ぶことです。
たとえば、機能が多く複雑なMAの場合、初期設定にも知識が求められ、設定期間も長期にわたります。一方で、シンプルなツールであれば設定が簡単ですぐに使い始められますが、その分、機能に制約が出てきます。
これらは導入目的に関連する部分でもありますが、初期設定作業や運用に携わるメンバーの人数、ITリテラシーにより、現実的に運用できるツールがある程度まで決まってきます。
MAツールの選び方
次は、MAツールの具体的な選定ポイントについて解説していきます。
BtoB向けかBtoC向けか
MAツールを「BtoB向け」「BtoC向け」どちらで運用するかは、重要な選定ポイントです。どちらか一方に特化したもの、両方にバランスよく対応できるものなど、ツールの特性はそれぞれ微妙に異なります。
「BtoB向け」の主なMA
運用目的は、リードを選り分けて、見込み度合いの高いリストを営業部へ引き渡すことになります。この場合、リードの行動データをもとに高精度でスコアリングができるツールがおすすめです。またSFA(営業支援ツール)やCRM(顧客管理ツール)と連携できるものも、汎用性が高いでしょう。
「BtoC向け」では、顧客それぞれのニーズや購買履歴に応じた「One to Oneマーケティング」が必要です。BtoB向けMAツールでのメインチャネルとなるのはメールですが、BtoC向けに運用するのであれば、SNSやLINEなどのマルチチャネルに対応したツールを選ぶことで、マーケティング活動の幅も広がります。
自社のMA運用目的とそのターゲットに対して、適切なツールを選定しましょう。
関連記事: BtoBとBtoCにおけるMA(マーケティングオートメーション)ツール活用の違い
自社に必要な機能が揃っているか
自社課題をMAツールのどの機能が解決してくれるのか、具体的に見定めることも重要です。どのような目的でMAを導入するのか、自社に必要な機能が揃っているか、あらためて確認しましょう。
たとえば、「リードを育成して検討度合いをあげたい」といった場合には、シナリオ機能に特化したツールがおすすめです。シナリオ機能を使えば、一定条件を満たしたリードに対して自動的にメール送付を行えたり、最適なアプローチができたりと、リード育成を効率化できます。
以下は、MA導入においてよくある課題と、それを解決してくれる機能の一例です。
- 問い合わせフォームの管理:フォーム作成・自動返信・データ蓄積
- 他部署との連携:タスク管理・カレンダー共有・CRMやSFAとの連携
- リードの発掘と育成:スコアリング・セグメント・セグメントメール送信
- データの収集と分析:トラッキング(メール開封率やCV率など)・レポート
「いざ導入してみたら使いたい機能がない…」といったことのないよう事前にしっかりと確認し、必要であれば部署間でもすり合わせを行いましょう。
自社で使いこなすことができるか
MAツール導入にあたっては、だれが運用するのか、リソースはどのくらいあるのか、自社の現状をあきらかにしておきましょう。
たとえば、シンプルな機能のツールを選んでみたものの、「行いたいマーケティング施策を実施できず、費用対効果を感じられなかった…」ということも。
逆に、人数が少なかったり、専門知識のあるメンバーがいなかったりする場合、「高機能・多機能のツールを導入したけれど、うまく使いこなせなかった…」とコストを無駄にしてしまうケースも少なくありません。
自社内の運用メンバーとスキル、割ける予算や時間を見える化して、適切なツールを選びましょう。過不足なく使いこなせるMAツールを選ぶことで成果につながります。
ユーザビリティの高さ
MAツールは、コツコツ継続して運用できてこそ成果を出せるもの。MAツールの運用を軌道に乗せるためには、日々かんたんに操作でき、わかりやすい画面設計のツールを選びましょう。
とくにMAツールは、マーケティング部門だけでなく、セールス部門をはじめとする他部署でも活用できるようにすることで、効果を最大化できます。
多部署をまたいで有効活用するためには、いくら高機能でも、複雑な操作性のツールは控えておくのが無難です。ツールの使い方がむずかしいと、その都度社内研修をしなくてはならなかったり、わかりにくくて結局あまり浸透しなかったりと、導入効果を発揮しきれないかもしれません。
自社内でMAツール運用にたずさわるメンバーのスキル・ITリテラシーなども考慮し、自社のフェーズに合った使いやすいツールを選びましょう。
サポート体制
弊社が2021年10月に実施した「マーケティングオートメーション意識調査」で、導入したMAツールを完璧に使いこなせていると回答したのは21%にとどまりました。全体で一番多くを占めたのは「メール配信程度の運用」と答えた58%で、約8割の方がMAを使いこなせていない状況ともいえます。
画像
MAツールは、適切なサポートが受けられないと「機能を使いこなせない」「効果を実感できない」などといった理由から、解約にいたってしまうこともあります。
しかし逆に、サポートをうまく活用できれば、自社内に専門知識をもつ人員がいなくても、MAツール導入によって期待以上の成果をあげられることも。
とくに割けるリソースが限られている場合は、ベンダーが提供しているサポート内容はしっかりと確認しておきたいポイントです。カスタマーサクセス部門があり、しっかりと伴走支援してくれるツールであればなお安心です。
せっかくMAツールを導入するのであれば、サポートをフル活用して確実に成果を出していきましょう。
価格は適切か
MAツールには、無料でトライできるものから、月に数十万円かかるものまで、さまざまな価格帯のツールが存在します。
ツール導入後、操作に慣れ、MAツール運用を業務フローに組み込むまでは、作業効率が下がることもあります。しかし運用を軌道に乗せることができれば、多くの業務を自動化・効率化できるようになり、結果的にコスト削減につながるはずです。
どのくらいの価格のツールが適切かは、現時点での予算やランニングコストだけでなく、導入によって得られる費用対効果も含め、中長期的な視点で検討しましょう。実際に導入してどのくらいの効果が得られるか不安という場合は、サポート体制の整ったツールを選んで、導入前〜導入後にかけてアドバイスを仰ぐのもひとつの手段です。
関連記事: 【最新版】MAツールの導入費用っていくらかかるの?
タイプ別に自社に合ったツールを考える
前章でMAの導入目的を明確にすることの重要性に触れましたが、目的をあぶり出す作業に難航する企業も出てくるかもしれません。
ここでは企業を3タイプに分け、それぞれに合ったツールをご紹介いたします。
画像が入ります。
パターン①:初級マーケター&営業向け
マーケティング部門を立ち上げたばかりでまだノウハウがなかったり、そもそもマーケティング部門がなく営業部門がマーケティングを兼ねていたりといった企業様の場合、まずは現状の保有情報資産だけで成果が出るような、機能がシンプルなツールがおすすめです。
パターン②:シナリオ重視型
ある程度のコンテンツの作成と管理が可能で、マーケティングオートメーション単体でナーチャリング活動を強化したいという企業様には、シナリオ重視型のMAがおすすめです。
シナリオ機能とは、MAの複数機能を連動させることにより、一定条件を満たしたリードに対してメール送付などのアクションを自動的に行うものです。
たとえば、FAQページを閲覧したユーザーへ、翌日、導入事を掲載したメールを送信し、開封された場合はその翌日にキャンペーン情報(メール)を送信するといった具合です。
パターン③:多機能&CRM完全連携型
すでにマーケティング部門が機能していてナーチャリング活動に取り組んでおり、SFAとの完全連携や、より高い次元での個別対応の自動化を推進して活動の生産性を高めたいという企業様には、多機能でSFAやCRMとの完全連携型のMAがおすすめです。
MAタイプ別チェックシート
上記でご紹介した3タイプのうち、自社がどれに当たるかわからないという方のために、チェックシートをご用意しました。
このチェックシートでは、MAを3つのタイプに分け、自社にとって適切なタイプがどれかを診断できます。また、他社ツールのポジショニングも簡単に解説していますので、MAツール選定にお役立てください。
※画像のCTA追加をし、わかりやすくのところ
https://bow-now.jp/documents/MA_type/
画像が入ります。
まとめ
マーケティング部門やセールス部門の業務効率化や生産性アップを叶えてくれるMAですが、自社に合ったツールを選ぶことが前提となります。
自社に合わないツールを選んでしまうと、費用対効果が出なかったり使いこなせなかったりして、「MAツールは効果がない」という結論に至る危険性もあります。
そうなれば、課題を感じながら新しい施策を取り入れるのに腰が重くなり、問題が悪化する…という悪循環が起こりかねません。
まずは自社の状況を客観的に分析して最適なツールを選定しましょう。無料で使えるツールもあるので、試してみることから始めるのも良いかもしれません。
これを読めば全てがわかる!
世界一わかりやすいマーケティングオートメーションとは?
商談数最大化のため、導入する企業が増えているマーケティングオートメーション。本書では、MAが必要な理由からその導入効果までわかりやすく解説しています。
監修者
クラウドサーカス株式会社 石本祥子
新卒でコンサルティング会社に営業職として入社。3年で営業所長代理を経験後、ベンチャー企業を経て、クラウドサーカス社にマーケティング職として入社。
営業とマーケティング、いずれの経験もあることを活かし、クラウドサーカス社が提供しているMAツール『BowNow』において、マーケティングと営業に関するメディアの監修を含む、Webマーケティングの全域を担当している。