休眠顧客とは?4つの掘り起こし方法とポイントを徹底解説
休眠顧客とは、一度接点があったものの、現在はやりとりが止まっている顧客のことです。企業が成長を続けるためには、新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客との関係性を強化し続けることが重要です。しかし、どんな企業にも取引が途切れてしまった「休眠顧客」が存在します。休眠顧客と再びコミュニケーションを取れるようになれば、成約に繋げるきっかけを掴むこともできるでしょう。
本記事では、休眠顧客の概念や、掘り起こすための具体的な手順と重要なポイントについて詳しく解説します。関係性を再構築して、ビジネスのさらなる発展を目指しましょう。
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休眠顧客とは
休眠顧客とは、過去に問い合わせや商談などの接点があったものの、いまはやりとりしていない顧客のことを指します。「取引があった顧客」「商談まで進んだけれど失注したリード」「資料ダウンロードなどかつて一度でも接点があった顧客」というように、一定期間以上のやりとりがない場合は、すべて休眠顧客に含まれます。定義は企業によって異なりますが、BtoBビジネスでは3か月〜1年程度、接点のない顧客のことを示す場合が多いです。
なぜ休眠顧客の掘り起こしが必要なのか
休眠顧客の掘り起こしとは、休眠状態のやりとりを復活させるために、アプローチしていく取り組みです。
新規顧客を獲得するコストは、既存顧客を維持するコストの5倍かかる(1:5の法則)といわれており、新規獲得には多くの費用と時間がかかります。
一方で、休眠顧客は以前商品やサービスに関心があったため、購買意欲を高めやすいといえます。離反した原因がクレームや不満でない限り、新規顧客を開拓するよりも、効率よく受注に結びつけられるでしょう。
このように、新規顧客を獲得するより低コストで成果を得やすいため、休眠顧客の掘り起こしが重要視されているのです。
また、コロナ禍の影響で、対面営業からオンライン商談、セミナーからWeb開催のウェビナーへと接点が切り替わり、うまく意思疎通が取れないまま離れてしまったユーザーも多くいます。状況が落ち着いてきた現在は、そのときの休眠顧客を掘り起こすタイミングとも考えられています。
さらに、休眠顧客の掘り起こしは、企業のリソースを効率的に活用する方法でもあります。すでに顧客データや取引履歴があるため、マーケティング活動を効率よく展開できるでしょう。マーケティングコストを削減しながら、営業活動の生産性を向上できるため、掘り起こしへの取り組みに注力する企業が増えています。
休眠顧客を掘り起こす3つのステップ
では、実際に休眠顧客の掘り起こしを進めるには、どのような手順で行えばよいのでしょうか。ここからは、休眠顧客を掘り起こすための基本的な3つのステップについて紹介します。
STEP1. 休眠顧客になった理由を分析してセグメント
掘り起こしをはじめるには、なぜ休眠状態になってしまったのか、その理由を明確にすることが必要です。休眠理由を把握することで、適切なアプローチを行うための土台が築けます。
まずは、休眠顧客の購買履歴や問い合わせ内容、利用状況などのデータを収集して分析を行いましょう。このデータをもとに、顧客が取引を停止した時期や最後にやりとりした内容などを洗い出します。
商品・サービスの機能に不満があったのか、競合他社に乗り換えたのか、あるいは単純に予算やニーズの変化があったのかなど、その要因はさまざまです。顧客情報をもとに休眠の原因を考えましょう。
休眠の理由が明らかになったら、それにもとづいて顧客をセグメント化します。「機能やサービスに不満を持った顧客」「競合他社に乗り換えた顧客」「ニーズや予算が変わった顧客」などに分類することで、各グループに対する最適なアプローチが明確になります。
たとえば、窓口となる担当者とは良好な関係性だったにもかかわらず、検討期間が長く続き、休眠状態になっている場合は、上司や経営層に製品導入の意思がない可能性があります。上申の役に立ちそうな情報の提供や、上司が交代したタイミングで再度アプローチするといった掘り起こしを行えば、契約につながるかもしれません。
このように、離反原因をもとにセグメントを行うことで、具体的なアプローチが設計しやすくなります。
STEP2. 休眠理由にあわせたアプローチを考える
休眠理由が推測できたら、その原因にあわせたアプローチを考えましょう。ここでは、3つのよくある原因について紹介します。
不満を抱えていたり、クレーム発生が原因で離反
製品への不満が原因の場合、その不満がどこにあるのかを把握しましょう。「改善のためにご意見をお聞かせください」「わかりづらい点はございましたか」といったお伺いを立て、何に不満を感じていたのか確認しましょう。そのうえで、その原因を解消する情報を提供します。
たとえば、商品・サービスの理解不足の場合は、メリットや活用方法、おすすめの使い方などを訴求しましょう。サービスの活用で成果につながるとわかれば、再び検討確度が向上します。
ただし、当時抱いた不信感や不安が大きいと、その払拭に時間がかかります。場合によっては、修復が難しいケースもあるので、その点を見極めることが大切です。
製品やサービスについての忘却が原因で離反
営業が定期訪問できていなかったり、マーケティング担当が継続的に接点を持てなかったりすると、製品を忘れられてしまうことがあります。その場合は、「以前は〇〇についてご検討いただき、ありがとうございました。」といった、製品を思い出してもらうためのメッセージを送りましょう。
目的は思い出してもらうことなので、あいさつ文のなかに商品名を入れる程度で大丈夫です。再び使ってみようと思ってもらうために、活用事例を提供するのも有効でしょう。メールに写真を挿入して、視覚的にアピールするのも効果的です。
顧客状況の変化が原因で離反
顧客を取り巻く環境の変化や、検討する製品・サービスの変化といった、顧客状況が変わったことによる休眠の場合は、別の製品をすすめてみるのも良いでしょう。たとえば、加齢が原因の場合は、現状よりも高い年齢層をターゲットにしたほかの商品を提案します。
無料モニターやトライアルなどを案内して、どのようなサービスに関心があるかをチェックしましょう。
STEP3. 掘り起こし方法を検討し、最適なアプローチを実践
休眠理由が把握できたら、なるべく早いタイミングでアプローチを実践しましょう。ここまでの分析で得た顧客情報や休眠理由にもとづいて、具体的な方法を計画します。
たとえば、休眠理由にあわせてカスタマイズしたメール配信を行えば、顧客の関心を高められ、再度取引を促すことができます。また、営業による訪問やインサイドセールスによる電話でのフォローアップも有効です。顧客と直接コミュニケーションを取ることで、信頼関係を再構築し、具体的なニーズや課題を把握できるでしょう。
ウェビナーやセミナーへ招待して、顧客が最新の製品情報や業界トレンドにふれる機会を提供することで、再度の取引の機会を創出するのも効果的です。
このように、顧客の状況やニーズにあわせたアプローチを実践すれば、休眠顧客を再び活発にすることが可能です。具体的な行動を通じて、顧客との関係を再構築し、長期的なパートナーシップを築いていきましょう。
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休眠顧客の掘り起こしの4つの方法
ここからは、代表的な掘り起こし方法を4つ紹介します。
メール配信
メール配信は、低コストで手軽にはじめられるため、掘り起こしの手法としてよく利用されます。メール配信というと、メルマガをイメージする人も多いですが、大切なのは休眠顧客になった理由を分析して、その原因を解消するメールを配信することです。同じ内容を一斉配信するのではなく、個別に求める情報を届けましょう。
手法としては、指定したスケジュールに沿って段階的にメール配信する「ステップメール」や、見込み顧客を特定の条件で分類して送る「セグメントメール」が効果的です。メールは、開封率やクリック率など、配信後の行動も追えるので、顧客心理がどう変化しているのかも確認できます。
電話
電話による休眠顧客へのアプローチは、長年活用されている手法のひとつです。人員がそろっていれば、すぐに取り組める手軽さと、短時間でアプローチできる効率のよさが魅力です。
直接、休眠顧客と話ができるので、商材への不安や抱えている課題などを聞き出して、適切な情報を伝えたり、ほかの商品を案内したり、柔軟なコミュニケーションができます。
ただし、休眠顧客の中には、電話でのコミュニケーションを避けるユーザーも一定数存在するので、メールやチャットなどの手法と組み合わせながら、上手にアプローチを進めましょう。
ダイレクトメール(DM)
ダイレクトメール(DM)も電話同様に、昔から活用されてきた手法です。DMは、メールや郵送、FAXなどいくつかの方法があり、最近では企業の問い合わせフォームに送るフォームDMも利用されています。
カタログやパンフレットなど、実物を直接送ることができるので、メールよりも開封率が高いといわれています。デジタル化が進んでも、紙媒体を好むユーザーも多いため、ターゲットを絞ることで、多くの情報を届けられるでしょう。職場で回覧したり、保管して何度も見返してもらえたり、紙ならではのメリットもあります。
しかし、効果的なDMを作成するには時間とコストがかかります。制作費や郵送代、印刷代なども必要なので、予算とのバランスを見ながら精度を高めていきましょう。
MAツール
掘り起こしのプロセスを効率的かつ効果的に行うためには、MAツール(マーケティングオートメーションツール)の活用がおすすめです。MAツールとは、顧客管理、育成、選別、商談化まで一連のマーケティング活動を自動化もしくは効率化するツールです。顧客情報のリスト化やメール配信、行動分析などが容易になり、1人ひとりに適したコミュニケーションを行うことができます。
休眠顧客の掘り起こしを行うには、顧客の状況に適した情報提供が必要です。ですが、蓄積された顧客情報から過去のやりとりを分析し、手動でそれぞれに有益な情報を提供するのは、多くの時間を要するため現実的ではありません。
MAツールを活用すれば、顧客の確度や行動がすぐにわかるので、タイミングを逃さず、最適なアプローチが実現します。
休眠顧客の掘り起こしも簡単!シンプルで使いやすいMAツール『BowNow』
クラウドサーカス株式会社の開発・提供するMAツール「BowNow」は、MAツール初心者の方も使いこなせるシンプル設計が特徴です。メール配信やユーザーアクションの分析など、必要な機能だけを搭載しているので、直感的に使うことができます。
商談履歴など過去の情報も一元管理できるので、休眠顧客の状況もすぐに把握可能です。再度資料をダウンロードした、サイトに再訪問したなど、ユーザーの動きを可視化でき、検討のタイミングも逃しません。
そのほか、細かい条件で検索してアプローチリストを作成することも可能です。ターゲットとなる休眠顧客をリストアップして、メール配信をしたり、近況確認のための電話をしたり、掘り起こしの工程も簡単に展開できます。
詳しくはこちら:MAツール『BowNow(バウナウ)』とは
休眠顧客を掘り起こすためのポイント
次に、休眠顧客を掘り起こすためのコツについて解説します。ポイントを抑えて効果的なアプローチを実施しましょう。
長期間放置しすぎない
顧客を長期間放置しないことは、休眠顧客の掘り起こしを成功させるための大切なポイントです。長い時間、顧客との関係が途絶えたままだと、製品への関心が薄れてしまい、再び関係構築をすることが難しくなります。
早めにアプローチすることで、顧客の興味を再び引きつけるチャンスが増えます。そのためにも、休眠顧客を早期に発見して、定期的なコミュニケーションを続ける仕組みづくりを構築しましょう。
最後の取引から数か月以内にフォローアップのメールを送ったり、新製品やサービスの情報を提供したりしておくことで、顧客は企業に対する信頼感を持ち続け、再度、購買意欲を高めるのも容易になります。
また、休眠顧客はニーズや状況が変わっている可能性があるため、最新情報を提供して、現在の課題に対応できるコンテンツを提示することも大切です。
顧客情報を徹底管理する
休眠顧客の状況を把握するためにも、顧客情報をしっかりと管理することが重要です。顧客の購入履歴、問い合わせ内容、過去の商談状況などを正確に分析することで、効果的なアプローチが可能になります。
たとえば、顧客がどの製品に興味を持っていたのか、どのような課題を抱えていたのかを把握することで、個々にあわせた具体的な再提案やフォローアップが実現します。「顧客の連絡先や役職が更新されていない」「過去のヒアリング状況がわからない」などの状況がみられたら管理体制を見直しましょう。
顧客情報をしっかりと管理するためには、CRM(顧客関係管理)やSFA(営業支援システム)、MAツールを導入すると効率的です。社内データを一元管理できるので、進捗状況もリアルタイムで更新でき、部署間の情報共有もスムーズに行えます。過去のやりとりも必要なときにいつでもアクセス可能です。徹底した情報管理を行うことで、顧客のニーズに適切に応え、効果的な掘り起こしが実現します。
休眠顧客について理解を深める
「なぜ接点がなくなったのか」「なぜ利用しなくなったのか」という、休眠顧客の心理的理由を把握することは、掘り起こし作業をするうえで大事なポイントです。 製品への不満や予算面での制約、競合他社への移行など、さまざまな要因が考えられます。これらの理由を特定し、解決策を用意することで、顧客の関心を再び引きつけられるでしょう。
一方、休眠期間が長い場合は、自社製品への興味を失っている可能性が高いです。すでに競合他社の製品を利用しているかもしれないので、メールの一斉配信といった効率的な手法で継続的にフォローをすることは怠らない代わりに、重点的にアプローチするリストからは外すことも考えましょう。
適切な方法やタイミングでアプローチする
休眠顧客を掘り起こすには、顧客のニーズや状況に合わせたアプローチ方法を選びましょう。メール配信や電話、営業の訪問など、顧客が一番反応しやすい手段を選べば、顧客の関心を再び引きつけることができます。顧客との関係を再構築して、休眠状態から再び活発なコミュニケーションが実現するでしょう。
また、アプローチのタイミングも重要です。年度末や新製品のリリース時など、顧客が新しい商品・サービスの導入を検討する時期を狙うと、成果につながりやすくなります。過去の取引データを活用し、顧客が再購入しやすいタイミングを見極めることが重要です。
休眠顧客の掘り起こし成功事例2選
最後に、休眠顧客の掘り起こしを実現した成功事例を2つご紹介します。
メルマガ配信で、半年以上連絡がなかった休眠顧客から見積連絡!|株式会社ウェッジホーム
千葉県木更津市の建築会社、株式会社ウェッジホーム様では、Web広告を運用し、問い合わせや資料請求を受けていましたが、初回以降のやりとりは、途切れてしまうお客様が多いと感じていました。そこで「BowNow」を導入し、メルマガを送信したところ、半年以上連絡がなかった休眠顧客から再度見積もり依頼が届いたそうです。それからは、週1でメルマガ配信を行い、50%以上の開封率をキープされています。
想定していなかった休眠顧客からの問合せがあり、社内の意識が変化|スリードット株式会社
デジタルマーケティングを駆使したコンサルティングを展開されているスリードット株式会社様は、集客の柱としてナーチャリング(顧客の育成活動)を開始したいと考え、「BowNow」を導入されました。運用後、メール配信をスタートしたところ、想定していなかった休眠顧客からの問合せがあったそうです。その成果を受けて社内では、“このプロジェクトが重要なものなんだ!”という共通認識が生まれ、スピード感を持って施策に取り組むように、意識が変化したといいます。
インタビュー記事:導入してすぐに、想定していなかった休眠顧客からの問合せがあったことにより社内の意識が変化|スリードット株式会社
まとめ
休眠顧客の掘り起こしは、重要なマーケティング戦略のひとつです。再び顧客との信頼関係を活性化できれば、単なる一時的な売上の増加だけでなく、顧客満足度の向上やロイヤリティの強化も期待できます。以前よりも長期的なつながりが得られるでしょう。
掘り起こしには顧客理解が欠かせません。休眠状態へとつながった原因を解消するアプローチは、再び顧客として戻ってきてもらうための効果的な手段です。行動・商談履歴を分析して、再び興味を引き出すためのコンテンツを提供しましょう。
とはいえ、必要性を理解していても、休眠顧客まで手が回らないといった企業も多いと思います。その場合は、MAツールを活用して効率よく進めてみるのもひとつの方法です。休眠顧客の再活性化を実現して、企業の売上向上、ビジネスの成長へとつなげていきましょう。
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監修者
クラウドサーカス株式会社 石本祥子
新卒でコンサルティング会社に営業職として入社。3年で営業所長代理を経験後、ベンチャー企業を経て、クラウドサーカス社にマーケティング職として入社。
営業とマーケティング、いずれの経験もあることを活かし、クラウドサーカス社が提供しているMAツール『BowNow』において、マーケティングと営業に関するメディアの監修を含む、Webマーケティングの全域を担当している。