マーケティングとは|意味や定義・戦略立案の流れやマーケティング手法14選紹介
マーケティングとは、「商品を効率的に売るための仕組みを作る活動」のことです。現代ビジネスにおいて、マーケティングは欠かせない存在となっています。
しかし、近年はネット社会になったことや顧客ニーズの多様化などにより、マーケティングを取り巻く環境が大きく変化しています。
この記事では、マーケティングの概要や戦略立案方法、人気のマーケティング手法、成功させるポイントなど、マーケティングにまつわる様々な情報を解説します。
これを読めば全てがわかる!
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目次
マーケティングとは
マーケティングとは、「商品を効率的に売るための仕組みを作る活動」のことです。この「活動」には、商品やサービスを開発・販売するだけでなく、顧客との長期的な関係を築き、企業の成長を支える様々な活動が含まれます。具体的には、以下のことが含まれます。マーケティングは単に商品を売るだけでなく、顧客との信頼関係を築き、企業の利益を最大化するための戦略なのです。
市場調査・分析: 顧客のニーズや市場環境を調査・分析し、商品やサービスの企画・開発に活かす 商品企画・開発: 顧客のニーズを満たす商品やサービスを企画・開発する 広告宣伝活動・プロモーション: 開発した商品やサービスを顧客に知ってもらうための活動を行う 販売促進: 顧客が商品やサービスを購入しやすい環境を作る 顧客管理: 顧客との関係性を築き、リピーターを増やす |
マーケティングの目的(ゴール)
マーケティングとは、単なる広告や販促活動ではありません。顧客のニーズを理解し、心に響く価値を提供することが、マーケティングの本質です。経営学者ピーター・ドラッカーは、「マーケティングとは販売を不要にするもの」と表現しました。つまり、顧客が自ら商品やサービスを求めてくるような状態を作り出すことが、マーケティングの最終的な目標といえます。
時代と共に変化するマーケティング
マーケティングは、時代に合わせて常に変化しています。特に、近年はインターネットやデジタル技術の発展により、マーケティングの方法は大きく変わりました。従来の「売る」ことに重点を置いた考え方から脱却し、顧客目線に立った価値提供を重視する思考へと変わってきています。
では簡単に、過去にどのようにマーケティング手法があり、それらがどう変化して現代の形になったのか、最近のマーケティング潮流まで、「近代マーケティングの父」と呼ばれるフィリップ・コトラー氏の著書『マーケティング4.0』を参考に解説します。
~1960年代ごろ(マーケティング1.0)
1960年代ごろまでは、マーケティング1.0の時代です。テレビやラジオなどのマスメディアが全盛を迎え、製品の質を重視する「製品主義」と呼ばれるマーケティングが主流でした。
この時代は、高度経済成長期真っ只中。需要が供給を上回る「売り手市場」だったため、企業は自社の製品をいかに多くの人に知ってもらうかに注力していました。
具体的には、テレビCMや新聞広告などのマスメディア広告を積極的に活用し、画一的な商品を大量生産・販売していました。
1960年代~1980年代(マーケティング2.0)
1960年代から1980年代にかけては、所得水準の向上やライフスタイルの多様化に伴い、顧客のニーズが重視されるようになります。消費者中心の「顧客志向」の時代です。
「消費者中心」と呼ばれるマーケティングが主流となり、企業は顧客一人ひとりのニーズを調査・分析し、それに合致した商品やサービスを開発・提供することに重点を置きました。
具体的には、市場調査やアンケート調査などの手法を用いて顧客ニーズを把握し、ターゲティング広告やCRM(顧客関係管理)などの手法を活用して顧客との関係性を構築しました。
1980年代~2000年代(マーケティング3.0)
1980年代から2000年代にかけては、パソコンやインターネットの普及により情報革命が起こりました。顧客は商品やサービスだけでなく、その商品やサービスが提供する価値やストーリーを重視するようになり、価値を重視する「価値主導マーケティング」が活発化します。
企業は、単に商品を売るだけでなく、顧客にどのような価値を提供できるかを考え、社会貢献や環境問題への取り組みなどを積極的にアピールするようになりました。
具体的には、CSR(企業の社会的責任)やSDGs(持続可能な開発目標)などの概念が注目され、企業は自社の理念やビジョンを明確に発信するようになりました。
2010年以降(マーケティング4.0)
2010年以降はスマートフォンやSNSが普及し、顧客は商品やサービスを通じて、理想の自分やなりたい自分を実現したいという「精神的欲求を満たすこと」を重視するようになりました。顧客の自己実現を支援する「自己実現」と呼ばれるマーケティングが主流の時代です。
企業は、顧客の自己実現を支援するような商品やサービスを開発・提供し、顧客とのエンゲージメントを高めることに注力しています。インフルエンサーマーケティングやコンテンツマーケティングなどの手法を活用し、顧客とのコミュニケーションを活性化しているのもマーケティング4.0の特徴です。
マーケティング活動の内容は?戦略立案の流れ
マーケティング活動は、市場調査、戦略設計、広告宣伝、効果検証などのステップを経て実施されます。闇雲に行うのではなく、効果的な分析と戦略立案に基づいて進めることが重要です。
市場調査(マーケティングリサーチ)
まず、自社の商品やサービスがどのような市場環境に置かれているかを把握するために、市場調査を行います。
顧客のニーズや購買行動、競合他社の状況などを分析し、自社の強みや弱みを明らかにしましょう。主な手法として、アンケート調査、インタビュー調査、顧客観察などがあります。フレームワークを活用して、詳細に分析を行うのもおすすめです。
PEST分析
PEST分析は、外部環境を理解するためのフレームワークです。政治(Political)、経済(Economic)、社会(Social)、技術(Technological)の4つの視点から、企業に影響を与える要因を分析します。これにより、市場の動向を把握し、戦略の方向性を定めます。
3C分析
3C分析は、顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3つの視点から市場を分析する手法です。顧客のニーズや行動、競合他社の強みや弱み、自社のリソースや能力を評価し、戦略を立てます。
SWOT分析
SWOT分析は、内部と外部の環境を評価する手法です。強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)の4つの要素を整理し、戦略の立案に役立てます。これにより、自社の現状を客観的に把握できます。
4P分析
4P分析は、マーケティングミックスを考えるためのフレームワークです。商品(Product)、価格(Price)、場所(Place)、プロモーション(Promotion)の4つの要素をバランスよく組み合わせ、効果的なマーケティング戦略を設計します。顧客視点でのマーケティングを考える際に役立つフレームワークです。
マーケティング戦略設計
市場調査で得られた情報に基づいて、具体的なマーケティング戦略を考えます。例えば、ターゲット顧客を明確にし、どのような価値を提供し、どのように顧客にアプローチしていくかを決定します。競合分析も重要な要素です。
戦略立案の流れ
マーケティング戦略を立案する流れは次の通りです。
① 環境分析 |
環境分析は「市場調査(マーケティングリサーチ)」と同様です。最初に、環境分析で自社を取り巻く環境を分析したら、市場を細分化して自社が参入すべき市場やターゲットを見つけます。次に、特に注力したいターゲット・市場を決定して、その市場での自社商品の方向性や立ち位置を決め、競合他社との差別化を図ります。
最後に、マーケティングミックスを用いて具体的なマーケティング施策を決定します。マーケティングミックスとは、製品、価格、流通、プロモーションの4つの要素(4P)を組み合わせて、ターゲット市場に効果的にアプローチする方法を計画することです。これが、マーケティング戦略立案の基本的な流れです。
広告宣伝活動
ターゲット顧客に商品やサービスを認知してもらうために、広告宣伝活動を行います。テレビCM、ネット広告、SNSキャンペーンなど、さまざまな媒体を活用して、効果的なメッセージを届けましょう。ここでは、ターゲットに合ったチャネルを選ぶことも重要です。
効果検証
最後に、実施したマーケティング活動の効果を検証し、必要に応じて改善を行います。これには、売上データの分析や顧客からのフィードバックの収集も含まれます。効果検証を通じて、どの施策が成功したのか、どこに改善の余地があるのかを把握して次に活かすことは、マーケティングで成果を得るための重要なポイントです。
マーケティングの種類と手法14選
一口にマーケティングと言っても、その種類と手法は多岐にわたります。ここでは、代表的なマーケティング手法である「マスマーケティング」と、「ダイレクトマーケティング」「インバウンドマーケティング」「ゲリラマーケティング」の手法について、わかりやすく解説します。
マスマーケティング
マスマーケティングとは、大多数の消費者に向けて一斉に広告を行う手法です。広範囲にリーチできるため、ブランドの認知度を高めるのに有効です。具体的な手法には、テレビ広告、ラジオ広告、新聞・雑誌広告、屋外広告があります。
テレビ広告
テレビ広告は、最も広範囲にリーチできるマスマーケティング手法の一つです。多くの視聴者に一度にメッセージを伝えることができます。商品やサービスを映像と音声で紹介するため、強いインパクトを与えられます。
ラジオ広告
ラジオ広告は、特定の地域やターゲット層に向けて効果的にメッセージを届ける手法です。ラジオは通勤時間やドライブ中に聞かれることが多く、リスナーと複数回の接触が期待できます。音声のみなので、制作費用が比較的低く抑えられるのも特徴です。
新聞・雑誌広告
新聞広告は、特定の地域や層に向けてリーチできる手法です。新聞は信頼性が高い媒体であり、詳細な情報を提供できるメリットがあります。一方、雑誌広告は、特定の興味や関心を持つ読者に向けて効果的にリーチできます。長期間保存されるため、持続的な効果が期待できます。
屋外広告
屋外広告は、通行人や車のドライバーに向けてメッセージを届ける手法です。看板やポスター、デジタルサイネージなどが含まれます。視覚的に訴えるため、記憶に残りやすく、多くの人々に見てもらえます。交通量の多い場所に設置することで、リーチを最大化できます。
ダイレクトマーケティング
ダイレクトマーケティングとは、個々の顧客に対して直接的にアプローチを行う手法です。具体的には、メール、ダイレクトメール、カタログ、電話、訪問販売などがあります。顧客一人ひとりのニーズに合わせたメッセージを届けることができるため、高い顧客満足度とコンバージョン率が期待できます。
テレアポ
テレアポは、電話を通して顧客と直接会話をするダイレクトマーケティング手法です。オペレーターのトーク力と商品知識が鍵を握るため、事前にしっかりと研修を行い、顧客のニーズを的確に捉えた提案をすることが重要。近年では、AIを活用した自動応答システムなども登場し、効率的なテレアポを実現しています。
メール
メールマーケティングは、顧客にメールを配信することで、商品やサービスの情報提供やキャンペーンのお知らせなどを行う手法です。顧客との長期的なコミュニケーションを図るのに有効で、開封率やクリック率を分析することで、効果測定も容易に行えます。近年では、顧客の属性や興味関心に合わせた個別配信など、より高度なテクニックも開発されています。
SNS
SNSマーケティングは、Facebook、Twitter、InstagramなどのSNSを活用して、商品やサービスの情報発信や顧客との交流を行う手法です。顧客との双方向的なコミュニケーションを図ることで、エンゲージメントを高め、ブランドイメージの向上にもつながります。近年では、ライブ配信やインフルエンサーマーケティングなども注目されています。
インターネット広告
インターネット広告は、Google検索広告、Yahoo!広告、ディスプレイ広告など、インターネット上で商品やサービスを宣伝する手法です。ターゲティングを絞り込むことで、より効率的に広告を配信できます。近年では、動画広告や音声広告なども登場し、様々なターゲットにリーチできるようになりました。
レコメンドエンジン
レコメンドエンジンは、顧客の過去の購買履歴や閲覧履歴などのデータを基に、最適な商品やサービスをレコメンド(提案)するAI技術です。顧客一人ひとりに最適な提案を行うことで、購買率の向上や顧客満足度の向上に貢献します。近年では、様々なECサイトや動画配信サービスなどで導入されています。
インバウンドマーケティング
インバウンドマーケティングは、顧客にとって価値のあるコンテンツを発信することで、顧客を惹きつけ、自社サイトへ誘導する手法です。顧客が自ら進んで情報を収集する行動を促すため、自然な購買を促進できます。
SEO
SEO(Search Engine Optimization)は、検索エンジン最適化のことです。ウェブサイトのコンテンツや構造を改善し、検索結果の上位に表示されるようにします。これにより、多くの人々が自然にサイトを訪れるようになります。
動画
動画は、視覚と聴覚を使ってメッセージを伝える強力な手法です。視覚と聴覚に訴えかけることで、より強い印象を与えることができ、顧客の理解度や記憶力も向上させられます。YouTubeやTikTok、SNSで共有することで、多くの人々にリーチできます。
ゲリラマーケティング
ゲリラマーケティングとは、常識にとらわれない斬新なアイデアで、短期間に集中的に顧客の注目を集める手法です。フラッシュモブ、ゲリラストア、奇抜な広告など、様々な手法があります。短期間で大きなインパクトを与えることができるため、新商品やサービスの認知度向上に効果的です。ただし、炎上などのリスクも伴うため、事前にしっかりと計画を立てることが重要です。
インフルエンサー
インフルエンサーマーケティングは、影響力のある人物(インフルエンサー)に商品やサービスを体験してもらい、SNSなどで紹介してもらう手法です。インフルエンサーのフォロワーに直接訴求することで、より効果的な宣伝活動を行えます。影響力のある発信者を選ぶことが重要です。
バズ
バズマーケティングは、消費者の口コミやSNSでの拡散によって、商品やサービスを一気に認知させる手法です。ユニークなキャンペーンやコンテンツを作成し、人々が自発的に共有したくなる状況を作ります。意図的にバズを起こすことは難しいですが、うまくいけば大きな効果が期待できます。
バイラル
バイラルは、ウイルスのように情報が急速に広がる現象のこと。魅力的なコンテンツを作成し、視聴者が他の人に広めることで、爆発的な拡散を狙います。コンテンツの品質が重要であり、消費者の心を掴むような内容にすることが重要です。
バイラルマーケティングでは、SNSや動画プラットフォームでのシェアが鍵となります。
人気のマーケティング手法
現代のマーケティングは、多種多様な手法が活用されています。その中でも、近年特に注目を集めているのは以下の7つです。
① インバウンドマーケティング |
これらの手法を効果的に組み合わせることで、より多くの顧客にリーチし、売上アップを目指すことができます。ただし闇雲に行っても良い効果は得られません。それぞれのメリットとデメリットを理解し、自社の商品やサービスに合った手法を選択することが重要です。
上記の7つの手法以外にも、様々なマーケティング手法が存在します。常に最新の情報を取り入れ、自社に最適な方法を見つけましょう。
マーケティング施策を成功させるポイント
マーケティング施策を成功させるためには、以下の4つのポイントを意識することが重要です。
顧客との相性を重視する
どんなに優れた商品やサービスでも、ターゲットとなる顧客に理解されなければ、意味がありません。まずは、自社の商品やサービスがどのような顧客に求められているのかを理解し、ターゲットとなる顧客を明確にすることが重要です。その上で、顧客の趣味趣向に合わせたマーケティング施策を立案・実行する必要があります。
顧客とのコミュニケーションを積極的に行い、顧客からのフィードバックを活かすことで、より顧客に寄り添ったマーケティング施策を展開可能です。
顧客のフォローに力を入れる
顧客との良好な関係を築くためには、購入後のフォローも重要です。商品やサービスの使用方法に関するサポートや、アフターサービスなどを充実させることで、顧客満足度を高め、リピーターを増やすことができます。
また、顧客からの意見や要望を積極的に聞き取り、商品やサービスの改善に活かすことで、顧客との信頼関係を深めることも可能です。
顧客データを活用する
顧客データを分析することで、顧客のニーズや行動パターンをより深く理解できます。分析結果をマーケティング施策に活かすことで、より効果的なターゲティングや訴求も可能です。顧客データを活用することで、顧客満足度を高めるための施策立案や、新たなビジネスチャンスを発見することもできます。
マーケティングツールを活用する
近年では、様々なマーケティングツールが開発されています。ツールを活用することで、マーケティング施策の効率化や効果測定が可能です。代表的なツールとしては、CRM(顧客関係管理)ツール、MA(マーケティングオートメーション)ツール、SEO対策ツール、分析ツールなどがあります。
特に、MAはマーケティング活動の効率化や自動化を支援するために開発されたツールです。顧客情報の管理、メール配信、Webサイトの分析、リードナーチャリングなど様々な施策に活用できます。
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まとめ
マーケティングは、時代と共に大きく変化しており、近年は情報氾濫や顧客ニーズの多様化により、ますます複雑化しています。顧客を理解し、ニーズを的確に捉えることが求められる現代において、マーケティングは企業にとって必須の戦略といえるでしょう。
マーケティングを行う際は、以下のポイントを意識してみてください。
・顧客との相性を重視する |
これらのポイントを意識することで、顧客満足度を効率的に高められます。自社に合ったマーケティング戦略を策定し、売上アップを目指しましょう。
これを読めば全てがわかる!
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BtoB企業の為のマーケティングハンドブックを作成しました。まずは知ってもらいたいデジタルマーケティングの基本知識と手法を68ページの大ボリュームでまとめております。
監修者
クラウドサーカス株式会社 石本祥子
新卒でコンサルティング会社に営業職として入社。3年で営業所長代理を経験後、ベンチャー企業を経て、クラウドサーカス社にマーケティング職として入社。
営業とマーケティング、いずれの経験もあることを活かし、クラウドサーカス社が提供しているMAツール『BowNow』において、マーケティングと営業に関するメディアの監修を含む、Webマーケティングの全域を担当している。