顧客管理をエクセルで実践する方法とは?4つのステップや知っておきたい便利な機能6選を紹介

顧客管理を効率化する手法として「エクセルを使う」方法があります。普段から利用している人も多く、手軽にはじめられるエクセルは、顧客情報を整理し、営業活動をスムーズにするための強力なツールです。「まずは自社のやり方で試してみたい」と考える企業にとって、エクセルは柔軟にカスタマイズできる点が魅力です。自由度が高く、運用方法に合わせたデータベースを作成できます。
本記事では、エクセルを使った顧客管理の具体的なステップと、作業を効率化する便利な機能をわかりやすく解説します。エクセルの特性を活かした顧客管理に挑戦してみましょう。

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目次
エクセルで顧客管理をはじめる4つのステップ
エクセルで顧客管理を行う方法を、4つのステップに分けて解説します。
ステップ1:管理項目を明確にする
まずは、どのような情報を記録し、何を把握したいのかを整理するために管理項目を決めます。BtoB企業の場合は、法人に関する情報を中心に設定し、BtoC企業では個人顧客の情報が軸になります。
どちらの場合でも、管理項目が多すぎると入力が煩雑になり、少なすぎると必要なデータが不足します。何を分析し、どんな行動に活かしたいのかを考えながら、バランスの取れた管理項目を設定しましょう。以下は主な管理項目です。
BtoB
カテゴリー | 主な項目 |
---|---|
基本情報 |
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担当者情報 |
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商談・契約情報 |
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履歴情報 |
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BtoC
カテゴリー | 主な項目 |
---|---|
基本情報 |
|
購買履歴・行動情報 |
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マーケティング関連情報 |
|
その他 |
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ステップ2:顧客データを入力する
管理項目が決まったら、次は顧客情報をエクセルに入力します。正確で一貫したデータ入力が、後の分析や活用の土台となります。項目は横方向(列)に並べて、各顧客のデータは縦方向(行)に追加していきます。また、表記揺れを防ぐため、都道府県名や日付の書き方など入力ルールを決めることも大切です。「プルダウンリスト」などエクセルの機能を活用し、入力ミスを防ぎましょう。
ステップ3:行や列の幅などを調整する
顧客情報を入力したら、見やすい表に整えていきます。項目名が途中で切れたり、データが読みにくくならないように、セルの幅を調整しましょう。エクセルの「列の幅の自動調整」機能を使うと便利です。
また、各項目がどのデータに対応しているかを視覚的にわかりやすくするために、セルに罫線を引きます。装飾は過剰にせず、シンプルな線を選ぶことがポイントです。データの読みやすさが向上し、作業効率も高まります。
ステップ4:テーブル機能を活用する
エクセルの「テーブル機能」を使えば、顧客情報を効率的に管理できます。フィルター機能や並び替え機能が自動で追加され、必要な情報がすぐに見つかるようになります。これにより、ただの一覧表だったエクセルが、簡易的なデータベースとして機能します。
テーブル化の手順は以下のとおりです。
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エクセルで顧客管理を効率化する便利な機能6選
ここからは、エクセルで顧客管理をするうえで、覚えておきたい便利な機能を6つ紹介します。
1.ウインドウ枠の固定:データを見やすくする
エクセルで顧客管理をする際、大量のデータをスクロールしていくと、管理項目が隠れてしまい「どの列が何の情報かわからない」という状態に陥ることがあります。そんな時に役立つのが「ウインドウ枠の固定」機能です。この機能を使えば、スクロールしても項目名が常に表示され、どのデータが何を示しているのかひと目で確認できます。
【設定方法】
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2.重複チェック:データの正確性を保つ
顧客管理では、同じ顧客情報が重複してしまうとデータの正確性が損なわれます。「重複チェック」機能を使うことで、データの重複を素早く発見し、整理できます。
【設定方法】
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これで、重複したデータがハイライトされ、簡単に確認できます。

3.検索機能:必要な情報がすぐに見つかる
顧客情報が膨大になった場合でも、検索機能を活用すれば、必要なデータにすぐアクセスできます。
【設定方法】
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さらに、「オプション」をクリックすれば、完全一致の検索や細かな条件設定も可能です。

4.ピボットテーブル:データを分析する
ピボットテーブルは、データ集計・分析に役立つ機能です。大量の顧客データから知りたい項目の集計表を作成できます。たとえば、新規顧客と既存顧客の売上を分けて確認したり、地域別・業種別の顧客データを比較したりすることも簡単です。手作業で計算する必要がなく、データを視覚的に把握できます。
【設定方法】
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5.フォーム:入力作業を簡単にする
フォーム機能を使えば、顧客データの入力を効率化できます。セルを1つずつ移動しながら打ち込むと、入力漏れやミスが起きやすくなりますが、フォーム機能を使うことで、顧客情報を1件ごとに確認しながら入力できます。
【設定方法】
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6.フィルター:条件に合ったデータを抽出する
フィルター機能を使えば、膨大な顧客データから必要な情報だけを抽出できます。データベース化した表の列見出しにあるプルダウンをクリックすると、昇順・降順の並べ替えや、「テキストフィルター」で条件を指定してデータを絞り込むことが可能です。
たとえば、「東京都在住の顧客」や「契約金額が10万円以上の顧客」など、条件に合致するデータだけを表示できます。複雑な条件設定も簡単に行えるので、見たい情報をすぐに確認でき、顧客管理がスムーズになります。
【設定方法】
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エクセルで顧客管理を成功させるポイント
エクセルで顧客管理を行うには、いくつかのコツがあります。ここでは、成功させるためのポイントを解説します。
データの空白セルを作らない
空白のセルがあると、フィルターや並び替え機能が正しく作動せず、データを正確に抽出できません。また、空白が多いとデータが欠けているように見え、誤った分析を行うリスクも高まります。情報が不明な場合は「記載なし」「確認中」「ー(ハイフン)」などのデフォルト値を入力し、空白を避ける工夫をしましょう。
セルを結合しない
エクセルで顧客管理をする際は、セルの結合は避けましょう。セルを結合すると、並び替えが正しく機能せず、データの検索や抽出がしにくくなります。
見た目を整える場合は、「中央揃え」機能など文字の配置で調整しましょう。データ構造をシンプルに保つことで、必要な情報をスムーズに抽出できます。
縦方向にそろえてデータ管理する
エクセルでは、データは縦方向に並べましょう。縦方向にそろえることで、並び替えや検索、条件抽出などがスムーズに行えます。データを追加する際も見やすく、重複確認も効率的にできます。顧客情報を横方向に並べると、フィルターやピボットテーブルなどの機能が正しく使えないことがあり、作業効率が下がってしまいます。
管理項目を増やしすぎない
管理項目は、必要最低限に絞ることが大切です。項目が多すぎると入力作業が煩雑になり、誤入力のリスクも高まります。データの確認作業にも時間がかかってしまいます。
たとえば、メールマーケティングを目的とする顧客管理なら、「名前」「メールアドレス」「登録日」などの必須項目に絞るとよいでしょう。後から項目を追加できるため、最初から過剰な管理項目を設定する必要はありません。
データ入力・管理のマニュアルを作成する
データ入力や管理方法をマニュアル化することも重要です。データ項目の意味や入力ルール、更新頻度などを明確にすることで、チーム内での認識のズレを防ぎます。たとえば、「ふりがなはカタカナで記入する」「住所は都道府県から入力する」など、ルールは細かく設定することがポイントです。
ルールが決定したら、詳細をまとめたシートを作成しましょう。マニュアルがあれば、担当者が変わっても一貫したデータ管理ができ、ミスの削減や作業効率の向上にもつながります。
タイトルの下に空白を1行入れる
エクセルで顧客リストを作成する際は、タイトルと表の間に1行の空白を入れましょう。タイトルを表のすぐ上に記載すると、エクセルが表をデータベースとして認識しないことがあります。
1行分の間隔を空けることで、フィルター機能や並び替え機能が正しく動作します。
関数を使わずにシンプルなデータにする
エクセルの顧客管理では、データはなるべくシンプルに保つことが重要です。関数やマクロを多用すると、複雑な計算は可能になりますが、担当者によっては理解が難しく、属人化の原因になります。
関数のエラーが発生した場合、スキルのある人しか修正できない状態では、業務が滞る可能性もあります。誰でも簡単にデータを管理できるように、基本的な数式や手動入力を中心に構成しましょう。
データの編集者を決める
データを複数人が編集できる状態にしておくと、誤入力やデータ消失のリスクが高まります。編集者を1〜2名に限定し、ほかのメンバーは閲覧のみとすることで、データの整合性が保てるでしょう。
さらに、編集履歴を記録すれば、誰がどの部分を更新したのかを確認でき、万が一のミスにも迅速に対応できます。また、エクセルデータは簡単にコピーできるため、最新ファイルがどれかわからなくならないよう、保管場所を決めておくことも大切です。

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エクセルで顧客管理を行うメリット・デメリット
ここからは、エクセルで顧客管理を行う際のメリット・デメリットをご紹介します。
メリット
代表的なメリットとして、以下の3つが挙げられます。
コストを抑えて運用できる
エクセルは「Microsoft365」を導入していれば、追加費用なしで利用できるため、顧客管理を低コストではじめられる企業も多いでしょう。データベースを作成して社内共有するだけで、すぐに運用がスタートできます。また、Microsoft365は比較的安価なランニングコストで利用できます。基本的な顧客管理に必要な機能も備わっているため、コストを抑えつつ運用できるのが魅力です。
エクセルスキルがあれば教育コストがかからない
多くの社員が業務やプライベートでエクセルを使い慣れており、基本操作を理解しています。そのため、新たに研修を設ける必要がなく、教育にかかる時間や費用を最小限に抑えられます。
導入直後から顧客情報の管理を効率的に進められるので、研修やセミナーの時間を省略できる点もメリットといえるでしょう。
自社の目的にあわせたカスタマイズが可能
エクセルなら、必要に応じてデータベースを簡単にカスタマイズできます。新しい項目を追加したい場合は、列を増やすだけで対応可能です。
たとえば、商談管理では営業ステップやヒアリング内容の項目を、顧客関係の維持では、接触頻度や興味関心の項目を設けるなど、自社のニーズに合わせた柔軟な設計ができます。業務の変化にも素早く対応でき、使い勝手のよい顧客リストが作れるでしょう。
デメリット
一方、デメリットは以下の3つが挙げられます。
情報漏洩リスクへの対応
顧客情報を扱う上で、セキュリティ対策は必須です。エクセルではファイルごとにパスワードを設定する必要があり、その作業に手間がかかります。専用の顧客管理ツールなら、ログインIDとパスワード設定をするだけで済みますが、エクセルではファイルを開くたびにパスワード入力が求められます。
また、誤ってエクセルデータをメールで送信したり、USBに保存して持ち歩いたりするなど、情報漏洩のリスクも高いため、運用ルールの徹底が必要です。
リアルタイムでの情報共有が難しい
エクセルはリアルタイムの共有が苦手です。メールやチャット、共有フォルダでファイルをやりとりするため、データを更新しても以前送ったファイルには反映されません。複数人での同時編集も難しく、誰かが編集している間は他のメンバーは待機する必要があります。その結果、チームでの情報共有がスムーズにいかず、最新情報をタイムリーに把握できないことがあります。
マーケティングへのデータ活用に限界がある
エクセルは、データを管理するには便利ですが、マーケティングへの活用には限界があります。高度な分析や自動化もできますが、マクロやVBAといった専門知識が必要です。そのため、誰でも気軽に活用できるわけではありません。
また、データ量が増えると動きが重くなり、動作が遅くなるといった問題も出てきます。効率的な運用を目指すなら、エクセルはデータベースとして活用し、マーケティング分析は専用ツールと併用するのが現実的でしょう。
外出先からのアクセスが困難
エクセルはパソコンでの使用が基本となるため、スマートフォンでの操作は快適とはいえません。移動中や外出先で顧客情報を確認する作業には不向きです。
外出先から情報にアクセスしにくいことで、タイムリーな対応ができず、商談の機会を逃す可能性もあります。モバイル環境での活用を重視するなら、専用ツールの導入検討が必要となるでしょう。
エクセル以外の顧客管理に役立つツール
エクセル以外の顧客管理ツールとしては、CRM、SFA、MAツールが挙げられます。

CRM(顧客関係管理)
CRMとは、顧客との長期的な関係構築に役立つシステムです。顧客情報を一元管理し、部署間での情報共有をスムーズに行えるのが特徴です。エクセルでは対応が難しい外出先からのアクセスや、複数人での同時編集も可能になります。
顧客データベースとして機能するだけでなく、顧客対応の履歴や次回アクションの設定など、継続的な関係維持もサポートします。エクセルのデータ入力のようなシンプルさを活かしつつ、CRMを活用することで顧客満足度の向上につながる統合的な管理を実現できます。リピート率向上や、顧客単価の最大化を目指す企業に最適なツールです。
SFA(営業支援システム)
SFAとは、営業部門における顧客・案件・商談管理といった一連の業務を効率化するシステムです。主な機能として、営業担当者の行動管理や、商談の進捗状況の可視化などがあります。
エクセルでは難しい商談結果の分析も可能となり、データに基づいた営業戦略の立案を支援します。モバイル端末を利用して、外出先でもリアルタイムで情報更新ができるため、営業効率が大幅に向上します。
MA(マーケティングオートメーション)
MAツールは、見込み顧客の獲得から育成、商談化までのプロセスを効率化するツールです。エクセルで管理していた顧客リストをさらに活用し、メールマガジンの配信やWebサイトでの行動分析などを自動化できます。
顧客の反応データを収集・分析することで、効果的なアプローチ方法を見出せるのが強みです。エクセルでは実現できなかったマーケティング施策の自動化により、担当者は顧客の関心を高めたり、ホットリードを精査したり、成果につながる業務に集中できます。
エクセルの顧客データを取り込めるMAツールも多く、段階的な導入も可能です。マーケティング活動のPDCAサイクルを加速させ、ビジネス成長を後押しします。

成果につながる顧客管理を行うならMAツール「BowNow」

『BowNow(バウナウ)』は、現在14,000社以上が導入している、国内シェアNo.1※のMAツールです。名刺やフォーム入力などで獲得した顧客情報をデータベースに蓄積・管理できることはもちろん、顧客情報を活用したメルマガ配信や、顧客がWebサイト訪問したときの行動ログなども管理・分析できます。
顧客情報のデータ管理に加えて、10,000社以上にMAを提供してきた経験をもとに開発した「ABMテンプレート」により、複雑な設定をしなくても見込み顧客との接点を増やせます。ニーズに合わせてセミナー案内を送ったり、Webサイトへのアクセスを促したり、検討度が高まったタイミングを逃さず、商談につながるアプローチが可能です。
無料ではじめられるフリープランもご用意していますので、エクセルのデータベースと併用しながら導入を検討できます。MAをはじめたい企業や、MAツールの運用に不安を感じている会社は、ぜひ一度試してみてください。
※出典:株式会社DataSign「DataSign Webサービス調査レポート 2025.6」
詳しくはこちら:MAツール『BowNow』公式サイト
まとめ
エクセルを活用した顧客管理は、コストを抑えつつ、自社の運用方法に合わせたデータベースを作成できる点が大きな強みです。入力ルールを定めたり、便利な機能を活用したりすることで、より効率的に情報を整理できます。
ただし、リアルタイムの共有やデータ活用には限界もあります。エクセルでの管理が煩雑になってきた場合は、CRMやMAツールなどの導入を検討するのもひとつの方法です。
「BowNow」では、顧客管理をはじめ、ニーズに合わせたメール配信やコンテンツ提供が可能になります。なかなか手が回らないマーケティング戦略も実現できます。まずは、エクセルやツールを活用して顧客管理をスタートさせ、マーケティング戦略の土台を固めていきましょう。
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この資料でこんなことがわかります!・マーケティングオートメーション(MA)とは ・MAが必要とされる3大理由 ・MAの導入で得られる4つの効果
監修者
クラウドサーカス株式会社 石本祥子

新卒でコンサルティング会社に営業職として入社。3年で営業所長代理を経験後、ベンチャー企業を経て、クラウドサーカス社にマーケティング職として入社。
営業とマーケティング、いずれの経験もあることを活かし、クラウドサーカス社が提供しているMAツール『BowNow』において、マーケティングと営業に関するメディアの監修を含む、Webマーケティングの全域を担当している。