【図解で解説】ABMとは?アカウントベースドマーケティングを簡単にわかりやすく解説

ABM(アカウントベースドマーケティング)とは、自社における優良顧客に対して、個別のアプローチ方法を考え、LTVを最大化していく営業方法のことです。ABMでは、優良顧客の定義を明確化し、アプローチ企業の課題解決をしていくことで、効率良く売上や利益を伸ばしていきます。
本記事では、ABMとはいったいどのような営業手法なのか、その特徴や他のマーケティング手法との違い、この手法が求められる背景、ABMを支援してくれるツールについてわかりやすく解説していきます。この記事を読むことで、ABMによる営業手法の特徴や成果を伸ばす5つのポイントが明確になり、売上を改善できる可能性を高められますので、ぜひ参考にしてください。

狙った企業から、更に商談を増やす!
ABMを効率化するMAの活用ステップ3つ
ABM(アカウントベースドマーケティング)を効率化するMAの運用について、キーとなる考え方と運用方法を3つのステップで解説します。
目次
ABM(アカウントベースドマーケティング)とは?
ABM(アカウントベースドマーケティング)とは、自社にとっての優良顧客を具体的に定義し、それらと同じ特徴を有する企業に対して集中的にアプローチしていく営業手法のことです。ABMによる営業手法を確立できれば、売上への期待値の高い企業に経営資源を集約でき、営業やマーケティングの生産性を高めることができます。
これまでのマーケティング手法では、多様な手段で見込み顧客を集客し、育成しながらアプローチをしていくことが一般的でした。一方で、ABMは自社の優良顧客の定義と合致する企業に対して、個別のマーケティングを展開していきます。たとえば、ABMでは、次のような企業へアプローチをしていきます。
- 自社にとって取引金額の大きい企業
- 部門開拓や担当者開拓に注力しないとキーマンに出会えないような大企業
このような企業は、ABMによって効率良く売上や利益を増やすことができます。新規顧客の開拓はもちろん、既存顧客のLTVの最大化にも有効ですので、積極的に使っていきましょう。またABMには、同じ手法と認識されやすいマーケティング用語がいくつかあります。ABMへの理解を深めるためにも、それぞれのマーケティング用語との違いについても、正しく理解しておきましょう。

なぜABMがBtoBマーケティングで重要なのか?
BtoBの購買においては、多くの場合、複数の部署や役職者が関与し、時間をかけて慎重に検討されます。そのため、広範囲の見込み顧客に一律のアプローチをする、通常のマーケティング施策だけでは、それぞれのニーズや関心に合わせた情報提供が難しく、効果的な関係構築や商談化につながらないことがあります。ABMは、ターゲットアカウント内のキーパーソンを特定し、それぞれの役割や課題に合わせた情報提供を行うことで、複雑な購買プロセスを円滑に進めることができるため、近年BtoBマーケティングにおいても重要性が高まっています。
ABMの果たす役割
ABMには、主に3つの重要な役割があります。
精度の高いターゲティング
ABMの大きな特長のひとつが、ターゲティングの精度です。これまでのマーケティングでは、幅広い見込み顧客を集めることが目標とされてきました。しかし、ABMではあらかじめターゲットとなる企業を選び、絞り込んだ相手に集中的にアプローチを行います。これにより、ムダを抑えた効率的な施策が展開しやすくなります。
さらに、営業とマーケティングが同じゴールを共有しながら、連携して取り組める点もABMの魅力です。情報連携や役割の明確化が進むことで、有望なリードへの対応に注力しやすくなります。その結果、営業活動の質が高まり、成果にもつながりやすくなります。
アカウント(ターゲット企業)との関係強化
ABMでは、ターゲット企業ごとに最適なアプローチを設計します。画一的な施策ではなく、相手の関心や課題に寄り添った提案を届けることで、「自社のために用意された情報」として受け止められやすくなります。こうした積み重ねが信頼を築き、良好な関係の形成を後押しします。
加えて、Webコンテンツやメール、営業訪問など、オンラインとオフラインを組み合わせることで、接点を継続的に持つことが可能です。一方的に情報を送るのではなく、相手の状況に応じた柔軟な対応ができるため、長期的なつながりを育むうえでも有効です。結果として、顧客満足度の向上やリピートにつながる可能性が高まります。
ROIを最大化する
ABMは、選定した企業にリソースを集中させることで、ROI(投資対効果)の向上を目指します。あらかじめ対象を絞っておくため、広告費や営業活動のムダを抑えつつ、効果が見込める相手にしっかりアプローチすることができます。また、企業ごとに内容を最適化した提案を行うことで、商談の成立率も高まりやすくなります。また、ABMは、新規顧客だけではなく、既存顧客に対しても効果的です。クロスセルやアップセルの提案もしやすくなり、継続的な売上確保にもつながります。
ABMと従来のマーケティングの違い
ABMと従来のマーケティングには、どのような違いがあるのでしょうか。ここでは、「リードベースドマーケティング」「デマンドジェネレーション」との違いについて詳しく解説します。
ABMとリードベースドマーケティングの違い
ABMとリードベースドマーケティングでは、見込み顧客の定義や開拓方法に大きな違いがあります。そもそも、リードベースドマーケティングとは、不特定多数のリード(個人を特定できる見込み顧客)を対象とするマーケティング・営業手法のことです。一定の母数の見込み顧客に対して、マーケティングにおけるあらゆる手法を活用して幅広くアプローチします。一方でABMは、事前に対象の企業(アカウント)を決定しておき、集中的にアプローチしていくマーケティング・営業手法です。アプローチする企業の数も必然的に絞られます。対象の企業と定期的なコミュニケーションや提案を行うことで、着実に信頼を積み上げていくアプローチ手法です。
ABMとデマンドジェネレーションの違い
もうひとつ、ABMと混同されやすい用語に「デマンドジェネレーション」があります。 デマンドジェネレーションとは、見込み顧客の獲得や育成、抽出といったマーケティングにおける一連の活動全般のことを指します。対象となる見込み顧客も幅広く、主にマーケティング組織が主体となって取り組みます。一方、ABMでは自社の利益につながる企業を優良顧客と定義し、あくまで営業組織が主体となり、マーケティング組織とも連携しながら、対象に対してピンポイントにアプローチを行っていきます。
ABMに取り組む企業が増えている背景
営業手法としてABMが求められる背景としては、「営業とマーケティング、どちらかだけで売上を伸ばすことが難しいから」、「ITにより、ABM実践の環境が整ってきているから」、「LTVを最大化しやすいから」という3つの背景が大きく関係しています。次に、ABMが求められる3つの背景についてご説明します。
営業とマーケティング、どちらかだけで売上を伸ばすことが難しいから
日本の法人営業は、海外の法人営業と比べると、まだ「マーケティングを活用して売上を伸ばす」という考え方が根づいていません。営業組織とマーケティング組織の間でうまく連携をとることができず、「お互いが何をしようとしているのかわからない」「組織としてのコミュニケーションが成立していない」といった状況に陥っている会社もあります。
そのような中、近年ではインターネットやSNSの活用も広がり、顧客の情報収集の手段も多様化しています。かつ競合となる企業や、類似の製品・サービスも増えてきています。「営業活動に注力しさえすれば、製品やサービスを買ってもらえる時代」から「マーケティングも活用した質の高い情報提供を行うことで、よりお客様に知ってもらう・選んでもらう時代」へと変わりつつあるのです。
こういった時代の変化の中で、営業主体の日本企業にマーケティングを根付かせる手段としても、ABMへの期待が高まっています。ABMは、営業とマーケティングの両方を活用した双方向のコミュニケーションを可能とし、法人営業の成功率を高めることができると考えられているのです。
ITにより、ABM実践の環境が整ってきているから
日本では、数多くのIT支援ツールが増えており、見込み顧客の集客やデータ分析などを簡単にできるようになりました。たとえば、次のようなIT支援ツールは、ABM実践において欠かせないものとなっています。
- セールスフォースオートメーション(SFA)
- マーケティングオートメーション(MA)
- 顧客管理システム(CRM)
これまで、自社にとっての価値ある企業の見極めや、選定先となった企業へアプローチするには、大きな時間とコストを要するため、ABMは「頭ではわかっているけれど、実践はしづらい営業手法」と思われていました。しかし、数多くのIT支援ツールの登場によって、ありとあらゆる情報をシステム上で扱えるようになり、ABMの実践によって生じる壁はほとんどなくなっています。その結果、「AMBをやってみよう」という声が増えているということなのです。
LTVを最大化しやすいから
ABMなら企業価値の高い顧客にピンポイントでアプローチしやすくLTVを最大化しやすいです。
自社と同様の商品やサービスを扱う企業が多い市場環境では、新規顧客を増やし続けるよりも、その会社にとって企業価値の高い顧客の満足度を高め、売上を伸ばす営業手法の方が利益を効率良く得られます。少ない時間と労力でLTVの最大化を実現しやすい点もABMの求められる背景のひとつです。
ABM実践のメリットとデメリット
次に、ABM実践におけるメリットとデメリットについてご説明します。
ABMのメリット
ABMには、大きく次の4つのメリットがあります。ABMでは、最初から営業先を限定するため、受注までのアプローチに無駄がありません。対象の顧客に合わせたコミュニケーションを行うことから、顧客の変化をタイムリーに把握しやすく、ニーズに合った情報提供も行いやすため、効率良くPDCAを回すことができます。
また、会社内に多様な組織が存在していたとしても、アプローチ先の企業情報を正しく共有できるため、自社の経営資本を無駄にすることなく、LTVの最大化に集中できます。
- アプローチに無駄がなくなる
- PDCAを回しやすい
- 多様な部署がある環境下でも情報連携がしやすい
- 自社の経営資本を集中できる
ABMのデメリット
一方で、ABMには、次のようなデメリットがあります。通常、ABMはアプローチする企業に対して、クロスセル・アップセルによってLTVの最大化を目指していきます。そのため、自社で販売できる商品やサービス数が少ないとなかなか利益が伸びていきません。また、アプローチ先の企業規模が小さい場合も経営資本の投下に対する利益の回収が難しくなります。
- 販売する商品やサービスが少ないと利益が伸びない
- アプローチ先の企業規模が小さいと利益が伸びない
ABMで成果を出すため、アカウント選定のポイント
ABMを成功へ導くには、「アカウント選定」が非常に重要です。自社にとって価値あるアカウントを見極めるには、複数の視点から慎重に判断する必要があります。ここでは、5つの選定ポイントについてご紹介します。
アカウントが抱える課題に対し、自社が解決策を提供できること
ABMでは、アカウントごとの課題やニーズに対して、自社製品がどれだけ的確な解決策を示せるかが重要です。たとえ企業規模が大きく魅力的に見えても、自社が貢献できる余地がなければ、信頼関係を築くことは難しくなります。
まずは、ターゲット企業の経営課題や業務上の悩みをしっかりと調査・分析しましょう。そのうえで「自社の商品・サービスがどのように役立つか」を明確にし、適切なアプローチを検討します。相手の課題に沿った提案ができれば、商談への発展や継続的な関係構築が期待できます。
売上だけでなく、利益を最大化できること
ABMでは、売上だけでなく収益性の観点からアカウントを評価することも大切です。取引額が大きくても、サポート対応や価格交渉が多い場合は、結果として利益が減ってしまうことがあります。
売上規模に加え、継続的な取引の可能性やサポートコストの軽さなど、利益に直結する要素にも目を向けましょう。たとえば、対応工数が少なく、安定した契約が見込める企業は収益性の面で魅力的です。このような視点から優先順位をつけることで、限られたリソースをより効果的に使えます。
アカウントとさらに関係性を強化できること
ターゲットを選ぶ際には、「今後より強い関係を築ける可能性があるか」も検討材料となります。すでに接点がある企業の中には、信頼関係を強化しやすい相手も存在します。既存の取引をベースに新たな提案を行えば、クロスセルやアップセルの機会が広がります。
また、自社への理解がある場合、導入のハードルが下がり、結果として効率的なアプローチが可能になるでしょう。こうした企業を見極め、戦略的にアプローチすることが、成果の拡大につながります。
LTVを最大化できること
アカウントを選ぶ際には、短期的な契約額だけでなく、長期的な収益につながるかどうかにも注目しましょう。LTV(顧客生涯価値)の高い企業との関係を築くことで、安定した成長を目指せます。たとえば、継続的な利用が見込める企業や、導入範囲の拡大余地がある企業は、LTVの向上が期待できます。企業の将来性や自社製品への依存度、ロイヤルティの高さなども、判断基準として重要です。こうした視点でアカウントを見極めてリソースを集中させれば、持続的な収益と顧客満足の両立を実現できます。
ターゲット市場や業界に影響を与えられること
業界内で認知度や影響力の高い企業を早期に取り込むことで、ABMの成果をより広げやすくなります。とくに、先進的な取り組みを行っている企業や、知名度の高い企業に対して成果を出せれば、その実績は他の企業にとっても大きな参考材料となるでしょう。たとえば、「同業のあの会社が採用しているなら自社も検討しよう」という流れが生まれやすくなります。注目度の高い企業との取引は、ブランドの信頼向上や波及効果を生み、さらなる商談のきっかけにもつながります。
ABMの課題と対処法
ABMは、BtoBマーケティングにおける有効なアプローチですが、導入や運用にはいくつかの課題もあります。ここでは、代表的な課題とその対応策について解説します。
データの管理
ABMでは、ターゲット企業の情報を正確に扱う必要があります。業種や企業規模、直面している課題、行動履歴など、多くのデータを整理できていなければ、的確なアプローチは難しくなります。また、情報を手作業で管理していると、抜けや重複が生じやすく、施策全体の質が下がるリスクもあります。
このような課題を解決するには、早い段階で専用ツールを導入するのが効果的です。CRMやMAツールを活用して、情報を一元管理することで、チーム内の連携もスムーズになります。結果的に、戦略全体の精度を高めることにもつながります。
リソースの配分
ABMでは、企業ごとに個別対応が求められるため、人手や時間の負担が大きくなりがちです。どのアカウントに、どれだけリソースを投入するかの判断は簡単ではありません。同じ対応をすべての企業に行うと効率が悪くなり、一方で特定のアカウントに偏りすぎると、他の案件への対応が不十分になる恐れもあります。
こうした状況を防ぐには、優先度に応じた段階的なアプローチが有効です。とくに成果につながりやすい「重点アカウント」を早期に選定し、体制を整えることで、限られたリソースをより効果的に活用できるようになります。
営業とマーケティングの連携
ABMの成功には、営業とマーケティングの連携が欠かせません。しかし、多くの企業では両部門が異なる目標やKPI(重要業績評価指標)を設定しており、情報共有が不十分なケースも多いです。どちらか一方だけで施策を進めた結果、動きがかみ合わず、商談のチャンスを逃してしまうこともあります。
これを防ぐためには、ABMの立ち上げ時点から両部門で方向性を共有することが重要です。ターゲットアカウントの選定や施策の方針を共有しておけば、連携しやすい環境を作ることができます。また、進捗や課題を定期的に共有する場を設けることで、チーム全体の一体感も生まれやすくなります。
長期的な追客が必要
ABMは、短期的な成果を求めるのではなく、信頼を築きながら関係性を深めていくアプローチです。そのため、結果が見えるまで時間がかかるケースも珍しくなく、途中でモチベーションが低下してしまうことも考えられます。とくに、大手企業を対象とする場合は、関係者が多く、検討期間が長期化しやすい傾向があります。
こうした課題に向き合うためには、最終目標だけでなく、中間目標を設定しておくことが有効です。たとえば、Webサイトのアクセス数やセミナーへの参加といった、小さな成功体験を積み重ねることで、チームの意欲を維持しながらプロジェクトを前進させやすくなります。
効果測定が難しい
ABMでは企業ごとに施策を展開するため、効果の可視化が難しい場面があります。たとえば、資料請求やクリック数だけでは、アカウントの温度感を十分に読み取れないこともあります。関係性の進展や信頼の積み重ねといった要素は、数値に反映されにくいため注意が必要です。
このような課題には、定量的な指標だけでなく、定性的な視点を取り入れることが大切です。たとえば、「対象アカウントからのアクセス数」「メール開封率」「商談化の割合」「アカウント単位の売上」など、複数の観点を組み合わせて評価することで、より実態に近い効果測定が可能になります。あらかじめKPIを設定しておけば、施策の振り返りや改善もスムーズに進められます。
ABMを実践する手順4ステップ
ABMを成功させるには、さまざまな壁を越えていく必要があります。そこで、ABMによって営業・マーケティングにおける生産性を高めるためのポイントをご紹介します。ABMにおいて成果を伸ばす具体的なポイントは、次のとおりです。それぞれのポイントについて具体的に説明していきます。

STEP1. ターゲットとなる顧客を定義する
ABMで成果を伸ばすには、現状の顧客分析が欠かせません。自社で優良顧客と定義している会社には、どのような特徴があるのか明らかにする必要があります。
実際に顧客分析をする際は、営業組織とマーケティング組織で共通認識が得られるように、顧客データを信頼性の高いものへと確立し、客観的に定義していく必要があります。具体的には、次のような要素で分析を行っていきます。基本的には、会社の業種や業態、拠点となる会社の規模などの要素で分析を実施し、優良顧客について明確な定義を行っていきます。
- 会社の業種
- 会社の業態
- 拠点となる地域
- 売上高
- 従業員の数
- その他の考えられる要素
STEP2. アプローチする企業と、営業担当者を決める
次に、アプローチ先となる企業の特定と営業方法を立案し、【ポイント1】で定義した優良顧客像に合致する会社をリストアップしていきます。そして、自社製品やサービスの成約に向けて、企業ごとにアプローチに必要な情報を取得して、企業ごとに営業担当者を振り分けます。
しかし、アプローチに必要な情報を企業として有していないということもあるでしょう。その場合は、Webサイトやセミナー、展示会などを開いて、ホワイトペーパーを提供し、アプローチ先の企業の情報取得をしていくことをおすすめします。すでにアプローチ先の企業情報を有している場合は、メールマガジンの配信やセミナー、インサイドセールスによる営業開拓によって継続的な接点を構築し、案件を創出していきます。
STEP3. 個別の企業に合わせたアプローチ方法を決定
次に、企業に合わせてアプローチ方法を決定していきます。企業や個人の行動履歴や属性に基づいて、ベストな手法とタイミングで必要な情報やメッセージを届けます。たとえば、アプローチに必要な情報を取得しようと思えば、企業の反応率が高いと思われるホワイトペーパーの提供や類似の状況で聞かれる課題感や成功事例の共有が欠かせません。
また、案件を創出していくには、自社の強みを正しく把握し、アプローチ企業の関心に応じて課題解決につながる言及をすることが効果的です。
STEP4. 検証と改善で効果を最大化する
次に、アプローチ企業について情報を追跡し、検証と改良によってその効果を定量化していきます。どのようなアプローチを実施することで、どれだけ案件化できたのか、それがどの程度の受注につながったのか、すべてを数字で管理していきます。
アプローチ企業の情報取得から受注までは、マーケティング組織や営業組織(インサイドセールスやフィールドセールス)などの多様な組織が関係してくるため、組織間で進捗や成果状況を報告し、認識を統合することでABMの効果を高めることができます。

狙った企業から、更に商談を増やす!
ABMを効率化するMAの活用ステップ3つ
この資料では、以下のことを紹介しています。 ✔ MA活用の落とし穴 ✔ ABM(アカウントベースドマーケティング)とは ✔ MAを活用し、効率的なABMを実践する3ステップ
ABMを支援するツール
ABMでは、次の3つのタイミングに応じて効果的なツールを使っていきます。それぞれのタイミングで役立つABMの支援ツールを次章でご説明します。
- 顧客開拓と育成のタイミング
- 商談のタイミング
- 契約後のタイミング
顧客開拓と育成のタイミング
ABMにおいて新規開拓と顧客育成のタイミングでは、ABMとMAの2つのツールを使っていきます。
ABMツール
ABMツールとは、企業情報の収集やアプローチ先の顧客選定、営業手法の効果検証などをサポートしてくれるABM特化のマーケティング支援ツールのことです。ABMツールは、新規顧客の開拓や育成を得意としており、受注率の高い営業の実現を目的に運用されます。実際に、ABMツールを使うことで、次のことを実現できます。
- Webサイト上で取得した企業情報の自動処理
- 特定条件に合致する企業情報のリサーチ
- アプローチリスト選定によるインサイドセールスの効率化
- さまざまな部署に存在するデータの統合と横断的な検索の実現
MAツール
MAツールとは、顧客に対する一連のマーケティングアプローチにおいて、顧客情報の管理や、顧客に向けた情報発信を効率化するツールのことです。MAツールは、新規の顧客開拓~商談までの流れを効率化し、商談数の最大化を目的に運用されます。実際に、MAツールを使うことで、次のことを実現できます。
- リードの一元管理
- メルマガ配信における情報提供の自動化および効率化
- フォームの作成
- ホットリードの可視化と通知
- 分析情報のレポーティング
- SFAやCRMとの連携 など
このように見込み顧客を集客し、商談に向けての意欲を高め、商談数を最大化していきます。「それぞれのツールで機能に似ているところがあって、2つのツールの違いがよく分からない」と思う方は、ABMツールの運用目的が受注率の高い営業の実現であるのに対して、MAツールは商談数の最大化が運用目的だと思っておくとイメージしやすいかもしれません。

商談のタイミング
自社の商品やサービスに対して期待値が高まって企業を商談化させる場合は、SFA(Sales Force Automation)の支援が非常に役立ちます。SFAとは、営業支援システムのことで、営業組織におけるセールスメンバーの行動管理や商談の進捗状況について数字で管理できます。
そして、受注情報についても管理可能となっており、営業アプローチの効率化はもちろん、プロジェクトマネージャーからインサイドセールスとフィールドセールスへのフィードバックを支援してくれます。実際に、SFAツールを使うことで、次のことを実現できます。
- 顧客情報や営業の進捗状況の一元管理と社内共有
- セールスメンバーの架電数とアポイント数の管理
- 商談における具体的な実施内容
- 商談データの分析
- 契約に向けてのメール送信
SFA上には、営業に関するあらゆる情報を管理できます。属人性の高いノウハウを言語化し標準化することで、セールスメンバーの技術差をなくし、営業レベルを高めていきます。
契約後のタイミング
契約となった顧客に対しては、CRMツールを使って優良な関係性を維持し、アップセルやクロスセルを通じてLTVの最大化を目指していきます。CRMツールとは、顧客の関係管理を支援してくれるツールのことです。実際に、CRMツールを使うことで、次のことを実現できます。
- 顧客情報の管理
- 顧客のデータ分析
- キャンペーン情報の管理
- アンケートを使った満足度のリサーチ
- セミナー情報の管理
- ポイントカードの利用情報の管理
CRMツールを使うと顧客情報を一元管理しやすくなり、顧客の個別状況をすぐに把握できるようになります。たとえば、新規顧客や優良顧客、既存顧客、解約の可能性の高い顧客など、グループに分けた管理が可能となります。これにより、顧客の状況や要望に応じた商品やサービスが提供できるようになり、優良な関係を維持しやすくなります。
ABMの実践を後押しする!営業もマーケターも使いやすいMAツール『BowNow』

BowNowは、現在14,000社以上に導入されている国内シェアNo.1※のMAツールです。少人数のマーケ組織や、専任のマーケターが在籍していない営業部門でも運用できるよう、「簡単で使いやすい機能」「シンプルな操作性」にこだわり開発されています。また、導入後のカスタマーサクセスも充実しており、ツールの設定に不慣れな企業も安心して導入できることはもちろん、「売上・商談を増やす」ことにフォーカスしたMAの活用方法などについてもアドバイスを受けられるようになっています。
※出典:株式会社DataSign「DataSign Webサービス調査レポート 2024.06」
詳しくはこちら:MAツール『BowNow』とは

また、MAツールは、ユーザーの「Web上における行動データ」と「メールアドレス」をCookieで紐づけることができ、これらを活用することで「どの顧客がどのような情報に興味を持っているのか」「自社のどういった製品を検討していそうなのか」を推測できるようになっています。この仕組みを活用し、BowNowにはターゲット企業の社員の見込み度を自動で可視化してくれる独自機能『ABMテンプレート』が搭載されています。
ABMテンプレートは、一定の条件に合致した顧客を「いま商談すべき、アツい見込み顧客」として自動で見える化することができ、かつ条件に合致したタイミングでお知らせが届くように設計されています。これにより優先度高く接触すべき見込み顧客に対して営業部門やマーケティング部門側から連絡をとりやすくなり、売上や商談を増やす機会を能動的につくることができるようになります。以下は、ABMテンプレートの活用例です。各ステータスごとに、青色がマーケティング組織が実行するタスクで、ピンク色が営業組織が実行するタスクとなっています。


詳しくはこちら:ABMテンプレートとは
ABMテンプレートの活用で成果を出している企業事例2選
MAツールBowNowの「ABMテンプレート」を活用し、成果を出している企業の事例をご紹介します。
MA導入で問い合わせ数が2倍に!受注率も9%から30%に上昇|アーティサン株式会社

アーティサン株式会社は、Azure・SharePoint・Power PlatformといったMicrosoftの技術を中心にしたITコンサルティングや設計・構築支援を行っている会社です。もともと、Webからの問い合わせや他企業様からの紹介で案件を獲得するインバウンド営業を主体としていましたが、当時は問い合わせの件数が少なくなっており、安定的に案件を獲得することが難しい状況が続いていました。
そこで、マーケティングを強化して売上を獲得するためにBowNowを導入。「ホワイトペーパーの制作」と「メール配信」、「ホームページ内の導線の見直し」の3点に取り組みながら、「ABMテンプレートを活用した顧客のステータス分け」にも挑戦。顕在化した顧客に対し、架電によるアプローチを実施しています。このような取り組みを続ける中で、BowNowの導入前は月5件だった問い合わせの数が、2倍の10件にまで増加しました。案件数も増え、受注率も導入前の9%から30%にUPしているため、当初の目的を達成しながらMAを運用することができています。
ABMテンプレートでキャリア支援プログラムの参加者状況を見える化|一般財団法人エン人材教育財団

エン人材教育財団様は、就業を希望する若者や、仕事を通じた成長をめざす人に対し、中立な立場で成長を支援する団体です。大学生向けのキャリア支援プログラムを開催しており、2,000~3,000名のリストをExcelで管理し、案内メールやリマインドメールをすべて手作業で送っていたため、それらの業務を効率化する目的でツールを検討していました。
当初は、MAツールを使いこなせるのか不安に感じていたため、メール配信ツールの導入を検討していましたが、わからないことがあればすぐにフォローしてくださる支援体制などを知り、MAツールであるBowNowを導入してみることにしました。
BowNowを導入後は、参加者のリストをBowNow内に取り込み一元管理しており、またABMテンプレートを活用することで参加者のステータスを見える化できるようにもなりました。一般的な企業とは違うかもしれませんが、エン人材教育財団様はABMテンプレートの縦軸を「学年」、横軸を「参加ステータス(キャンセル・1回参加・2回参加・修了など)」に設定し、更にそrをタグで「地域(大阪・東京)」といったように分けることで、各参加者の状況に合った情報をメールで効率的に送れるようにしています。また、メールトラッキングや分析を行うことで、参加者からの需要が高いテーマの傾向も把握できるようにもなりました。
まとめ 顧客データを正しく管理・分析し、ABMで成果を出そう
本記事では、ABMとはいったいどのような営業手法なのか、その特徴や成果を伸ばすためのポイントについて解説しました。ABMの実践は、自社にとっての優良企業とはどのような企業なのかを明確に定義し、顧客データを正しく管理・分析することから始まります。
これらのデータ管理や分析には、ABMツールやMAツール、SFAツールなどのIT支援ツールの利用が欠かせません。まずは、ABMで成果を伸ばす5つのポイントを参考に現状の顧客分析を行って、アプローチ先の企業を選定することから始めてみてはどうでしょうか。
『狙った企業から、更に商談を増やす!ABMを効率化するMAの活用ステップ3つ』をダウンロードする
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この資料でこんなことがわかります!・MA活用の落とし穴 ・ABM(アカウントベースドマーケティング)とは ・MAを活用し、効率的なABMを実践する3ステップ
監修者
クラウドサーカス株式会社 石本祥子

新卒でコンサルティング会社に営業職として入社。3年で営業所長代理を経験後、ベンチャー企業を経て、クラウドサーカス社にマーケティング職として入社。
営業とマーケティング、いずれの経験もあることを活かし、クラウドサーカス社が提供しているMAツール『BowNow』において、マーケティングと営業に関するメディアの監修を含む、Webマーケティングの全域を担当している。