MAツールとメール配信システムの違いとは|目的や課題別の選び方
MA(マーケティングオートメーション)ツールとメール配信システムについて、その存在は知っているものの、両者の違いについて明確に知っている方は少ないのではないでしょうか?メール配信システムは「メール配信やメールマーケティングに特化している」のに対し、MAツールは、「メールマーケティングも含むマーケティング活動全体の効率化を行う」役割を担っています。どちらを導入するべきかは、企業の状況や解決したい課題によって異なります。
本記事では、機能や役割、導入目的などにおけるMAツールとメール配信システムとの違いについて解説します。最終章では、「MAツールを導入すべき企業」と「メール配信システムを導入すべき企業」の特徴も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
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目次
MAツールとメール配信システムの違い
MAツールとメール配信システムの違いについて、それぞれの概要を紹介したうえで解説します。
MA(マーケティングオートメーション)ツールとは
マーケティングオートメーション(MA)とは、「顧客開拓におけるマーケティング活動を可視化し自動化する」ことで、それを実行してくれるソフトウェアをマーケティングオートメーションツール(以下、MAツール)といいます。
MAツールは、さまざまなチャネルが獲得したリード(見込み顧客)を育成して受注確度を高め、ホットリードになったタイミングで営業部門に渡すまでの流れを自動化・仕組み化します。マーケティング活動を効率化できる多様な機能が搭載されているのが特徴です。
メール配信システムとは
メール配信システムとは、通常のメールの配信や、メルマガの一斉配信といったメールマーケティングに特化したシステムのことです。設定した時間にメールを自動配信する機能や、メールの開封率などの効果測定機能など、メール配信に関する様々な機能が搭載されており、メールを通した新着情報お知らせや集客、顧客との関係構築などを効率的に行うことができます。
MAツールとメール配信システムの違い
MAツールとメール配信システムの違いについて、役割と機能面から解説します。
役割における違い
MAツールは「メールマーケティングを含むマーケティング活動全体の効率化を行う」のに対し、メール配信システムは「メール配信やメールマーケティングに特化している」点が、役割における大きな違いです。
MAツールにも基本的にメール配信機能が搭載されていますが、他にも多くの機能が搭載されています。リードナーチャリングやWebマーケティングの精度を上げることが目的であり、MAツールにおけるメール配信は、多数あるマーケティング施策の一つに過ぎません。
一方でメール配信システムは、あくまでも効率的なメール配信や、メールマーケティングに特化しているため、「リードに対して効率的にメルマガ配信をしたい」ということだけが目的であれば、うまく役割を果たしてくれるでしょう。
機能面における違い
MAツールはメールマーケティング機能に加え、リード管理やスコアリング、シナリオ設計やフォームの作成など、マーケティング活動全体の効率化を実現するためのあらゆる機能が搭載されています。一方、メール配信システムは、HTMLメール機能やステップメール機能、開封率やクリック率の測定機能など、メールマーケティングに関する機能のみが搭載されています。
MAツールは、Web上のログデータの取得もできるため、メール配信システムよりも詳細にリードの行動を把握することができ、より適切なアプローチを行うことができます。
「メルマガ内のURLをクリックしたリードに架電したい」など、リードの行動に合わせた施策を実施したい場合はメール配信システムだけでは難しいため、MAツールの活用がおすすめです。MAツール、もしくはメール配信システムの導入を検討する際は、まず自社の導入目的を明確にした上で、最適なツールを選定するようにしましょう。
MAツールとメール配信システムの導入目的
MAツールとメール配信システムは、どのような目的があるときに導入すると良いのでしょうか?それぞれの導入目的について解説します。
MAツールの導入目的
MAツールの主な導入目的を6つ紹介します。
リードの獲得
MAツールには、リード獲得を効率化できるリードジェネレーションに関する機能が搭載されています。そのため、リード獲得を強化したい場合はMAツールの導入がおすすめです。
フォームやランディングページの作成機能が搭載されているMAツールもあり、リードとの接点を創出することができます。リードの情報を収集し、属性や行動によってリードをセグメントしアプローチすることで、適切なマーケティングの実施と、自社の見込み顧客の発見につながります。
リードの一元管理
マーケティング活動では、メールだけではなく展示会やセミナー、Webサイトを経由した資料請求や問合せ、SNSや広告など、様々なチャネルを通してリードを獲得します。そのリードの管理をする際に便利になるのがMAツールです。
チャネルごとに別々でリードを管理すると、作業工程が複雑になるうえ、人為的なミスが増える可能性があります。リード情報をMAツールで一元化することで業務を効率化でき、より効果的なマーケティング活動を行うことができます。CRM(顧客関係管理)やSFA(営業支援システム)と連携し、さらなる業務効率化を図るのもおすすめです。
検討度の高いリードの発見
自社の製品やサービスに対して検討度が高いリードを発見し、営業活動の精度を高めたい場合にはMAツールの活用が適しています。MAツールには、リードの属性や行動に点数を設定しておき、一定の点数を超えたタイミングで可視化や通知を行う、スコアリングという機能が搭載されているものがあります。しかし、スコアリングは設定難易度の高い機能と言われています。
初めてMAツールを活用する際は、スコアリングの設定が不要で、事前に設定されているテンプレートをもとに、検討度が高まったタイミングで該当のリードがダッシュボードで可視化され、自動で通知されるといった機能が備わっているものもありますので、そちらも検討してみることをおすすめします。
適切な優先順位をつけてリードにアプローチできるため、営業部門にリードをパスしたときに、成果につながりやすくなります。
マーケティング活動の精度向上
「マーケティング活動を通してより成果を出したい」「マーケティングに取り組んではいるが、伸び悩んでいる」といった課題がある場合にも、MAツールの導入をおすすめします。
MAツールは、メールマーケティングはもちろん、マーケティング活動全体における精度の向上や、成果の最大化にも繋げることができます。より詳細なデータを集め、それを元に施策を打つことで、顧客とのより良い信頼関係の構築や、ユーザーのファン化なども見込めるでしょう。MAツールは営業部門とのシームレスな連携にも有効なので、社内全体の効率化にも効果が期待できます。
メール配信システムの導入目的
メール配信システムの主な導入目的を2つ紹介します。基本的にメール配信システムで実施できることは、MAツールでも実施できるため、メールマーケティングの機能のみを必要とする場合に、メール配信システムの導入が適しています。
告知や宣伝を目的にしたメルマガの一斉配信
メルマガを効率的に一斉配信したい場合にはメール配信システムの活用がおすすめです。大量のメールでも迅速に配信できるほか、配信日時をあらかじめ指定して、自動的に配信することも可能なので、業務の効率化も図れます。戦略的なメールマーケティングの実現に有用です。MAツールの活用には、ある程度のリードの数が必要であるため、「メールを効率的に配信したい」「一斉配信さえできればよい(成果を最大化させることを目的としない)」といった場合には、メール配信システムの活用をおすすめします。
顧客エンゲージメントの向上
継続的なメルマガ配信は、顧客との良好な関係構築にも効果があるため、顧客エンゲージメントを向上させたい場合にもメール配信システムを活用することをおすすめします。リードの属性で絞り込みを行い、見込み顧客にとって需要の高い情報を提供することで、ファンマーケティングにも活用できます。
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MAツールとメール配信システムで実現できること
MAツールとメール配信システムで、それぞれ実現できることについて解説します。
MAツールで実現できること4つ
MAツールでは様々なことを実現できますが、以下では代表的な4つのポイントを紹介します。
業務の自動化・効率化
MAツールを導入することで形式的な業務を自動化することができ、マーケティング活動の業務効率化を実現できます。
たとえば、メルマガの配信業務やスコアリングなど、マーケティング施策におけるルーティーン作業を自動化することが可能です。それによって空いた時間をコア業務やクリエイティブ作業に充てることができ、より効率的且つ効果的なマーケティング活動が行えるようになります。人材やリソース不足などの解消にもつながるでしょう。
休眠顧客へのアプローチ
休眠顧客とは、かつては取引やコミュニケーションがあったものの、現在あるいは一定期間、取引がない顧客を指します。MAツールを活用して、休眠顧客へアプローチすることが可能です。
特にBtoBマーケティングの場合、新規のリード獲得に注力するよりも、休眠顧客にアプローチして掘り起こす方が、高い費用対効果を見込めるケースも多くあります。自社に対する理解が低い新規リードよりも、既に理解や取引がある休眠顧客の方が、商談や契約の成立に進める可能性が高いためです。
ただ、社内に散在している休眠顧客データをまとめるのには多くの手間がかかり、同じリードの情報が重複してしまう可能性もあります。MAツールを活用すれば、同一人物の可能性が高いリードを「名寄せ」として表示することができるので、重複やミスを防ぎ、効率的に休眠顧客へアプローチできます。
営業との密な連携
成果を上げるためには、マーケティング部門と営業部門がスムーズに連携を取ることが重要ですが、うまく連携が取れていない企業も多いです。このような課題も、MAツールで解消することができます。
MAツールは、CRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)と連携できるものが多く、確度の高いリードをMAツールからCRMやSFAへシームレスに引き渡すことが可能です。両部門間での壁を取り払うことで、生産性は飛躍的に向上します。ツールを活用してリード情報を一元管理することで、社内全体のデータ管理や運用の精度も上がります。
多種多様なマーケティング施策の実施
MAツールには、様々なマーケティング施策を実施するための豊富な機能が備わっています。そのため、個別のシステムを複数用意する必要がなく、MAツール一つで多種多様な施策を実施することが可能です。
例えば、メルマガ配信、フォームやランディングページの作成、条件に合わせたリードの絞り込み、効果検証や分析など、できることは非常に多くあります。アクセス数やWebでの行動履歴を可視化・分析することもできるため、継続的な改善ができ、マーケティング施策の精度向上にもつながります。
メール配信システムで実現できること
メール配信システムで実現できることを2つ紹介します。
メールマーケティングの精度向上
メール配信システムでは、メール配信だけに特化しているため、メールマーケティングの精度向上を実現できます。メール以外でのアプローチは行えませんが、メール配信施策だけで十分な場合は、コストも抑えられるため、メール配信システムの導入がおすすめです。ステップメール配信、HTMLメール作成、ABテスト配信、開封率などの効果測定など、メール配信に関するあらゆる機能が搭載されています。
コストを抑えられる
MAツールに比べて、メール配信システムは機能がシンプルなため、比較的低価格で利用することができます。多くの予算が割けない場合にはメール配信システムの導入を検討しても良いでしょう。メールマーケティングに特化しているので、複雑な設定が少なく、誰でも直感的に利用しやすいという特徴もあります。
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MAツールとメール配信システム、どちらを導入すべき?
MAツールとメール配信システムの違いについて解説しましたが、どちらを導入すべきか迷われる方も多いのではないでしょうか。本章では、「MAツールを導入すべき企業」と「メール配信システムを導入すべき企業」について解説します。導入を検討する際にはぜひ参考にしてください。
MAツールを導入すべき企業
以下の特徴に当てはまる企業は、MAツールの導入を検討すると良いでしょう。
- 既にまとまった数のリードリストを保有している
- メール配信での成果が得られていないと感じている
- マーケティング活動における業務を自動化したい
- リードに関するあらゆるデータ(Web行動履歴、行動属性など)を一元管理したい
- メールマーケティング以外の施策を実施したい
- リードへのアプローチの精度を高めたい
- 商談につながる確度の高いリードを創出したい
- 営業部門との連携に課題を感じている
メール配信システムに比べ、MAツールには多くの機能が搭載されているため、マーケティング活動の幅を広げたい企業や、メール配信での成果が伸び悩んでいる企業は、MAツール導入をおすすめします。MAツールでは開封率などのメール配信の結果だけでなく、Web上での様々な行動履歴を把握できるので、リードのニーズを多角的に分析することが可能です。それぞれのリードへの最適なアプローチにもつながり、成果を得られやすくなります。
マーケティング活動におけるデータベースとしての役割も果たし、一つのツールで総合的な施策を実施できるので、業務における工数削減や効率化に加え、複数のツールを利用する煩雑さの解消にもつながります。
メール配信システムを導入すべき企業
以下の特徴に当てはまる企業は、メール配信システムの導入をおすすめします。
- メールマーケティングだけを行いたい
- マーケティング活動に多くのリソースを割けない
- 保有しているリードリストが少ない
- 認知度向上のために、メール配信で迅速に情報を発信したい
搭載されている機能がシンプルなメール配信システムは、コストも比較的低めで、月額数千円から利用することができます。機能が限られている分、マーケティング初心者でも利用しやすいので、初めてマーケティング施策に取り組む企業に適しています。
ただ、前述の通り、目的によってはMAツールの活用が適している場合もありますので、あらかじめ自社の状況や、ツールやシステムを利用する目的を明らかにした上で選定することをおすすめします。
まとめ
本記事では、MAツールとメール配信ツールとの違いについて、様々な視点から解説しました。
リードの母数が少ない場合や、リソースを割けない場合はまずメール配信システムの導入からはじめ、徐々にステップアップしていくと良いでしょう。ただ今後マーケティング活動を発展させていくのであれば、スモールスタートで始められるMAツールも登場していますので、初めからお試しにMAツールを利用してみるのも一つの手です。手厚いサポート体制や、コンサルティングなどのサービスが整備されているものも多いので、まずは気軽に問い合わせてみることをおすすめします。
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この資料でこんなことがわかります!・マーケティングオートメーション(MA)とは ・MAが必要とされる3大理由 ・MAの導入で得られる4つの効果
監修者
クラウドサーカス株式会社 石本祥子
新卒でコンサルティング会社に営業職として入社。3年で営業所長代理を経験後、ベンチャー企業を経て、クラウドサーカス社にマーケティング職として入社。
営業とマーケティング、いずれの経験もあることを活かし、クラウドサーカス社が提供しているMAツール『BowNow』において、マーケティングと営業に関するメディアの監修を含む、Webマーケティングの全域を担当している。