BtoBマーケティングとは?基本の戦略と成功事例の共通点を解説
BtoB(Business to Business)マーケティングとは、企業間の取引においてマーケティングを活用し、顧客の獲得や顧客との良好な関係づくりを行うことを指します。
本記事では、BtoBマーケティングの基礎知識から進め方、成功事例などについてわかりやすく解説します。「そもそもBtoBマーケティングってなに?」「BtoBマーケティングに着手したいけど、やり方がわからない」「BtoBマーケティングの成功事例を知りたい」といった方におすすめです。ぜひ最後までご覧ください。
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BtoBマーケティングとは
BtoB(Business to Business)マーケティングとは、企業間の取引においてマーケティングを活用して新規顧客を獲得したり、顧客と良好な関係を構築することを指します。
これまで、BtoBにおける新規営業では、テレアポといったプッシュ型の営業手法を用いる企業が多数派でしたが、近年は従来の営業手法や対面営業のみを重視するスタイルから、「マーケティング」とそれらを組み合わせる統合型のスタイルへと変化しつつあります。その背景には、コロナ禍をきっかけにBtoB企業で推進されたデジタル化や、BtoB企業が製品やサービスを購入する際の「情報収集経路」が大きく変化していることにあります。
トライベック・ブランド戦略研究所社の調査によると、BtoB企業が製品やサービスを購入する際に最も利用する情報源は、「Webサイト(65.1%)」であるということがわかっています。このことからも企業は、Webサイトで情報収集を行う顧客に対しても、自社の存在を認知してもらい、選んでもらえるようより努めていく必要が出てきています。新たなアプローチの手法に取り組むにあたり、BtoBマーケティングに取り組む企業が増えているのです。
また、BtoBマーケティングは、顧客が購買に至るまでの行動データを取得しやすい手法が多く存在し、データをもとに顧客目線に立った提案やアプローチを行うことができます。これにより、商談獲得から受注までのプロセスを効率化でき、営業担当者も受注に近い見込み顧客への営業活動に集中できるようになるといった点でも、活用が進んでいます。
そもそもマーケティングとは
マーケティングとは、一言で表すと「製品やサービスが売れる仕組みをつくること」です。 また、「現代マーケティングの父」であるフィリップ・コトラーは、マーケティングを以下のように定義しています。
顧客のニーズに応えて、利益を上げること |
少し嚙み砕いて説明すると「自社が攻略するマーケットを定め、そのマーケットにおける顧客のニーズを把握し、そのニーズを満たす製品やサービスを用意し、最適なチャネルで宣伝・販売すること」を指します。
BtoBのビジネスにおいては、基本的に営業が製品やサービスを「販売」することで、売上目標の達成を目指しますが、顧客のニーズや情報収集経路が多様化する現代においては、平行してマーケティングにも取り組むことで、売上や利益を効率的に伸ばすことができ、かつ競合よりもスピーディーにシェアを拡大することができます。
BtoCマーケティングとの違いは?
BtoBマーケティングが企業間の取引を対象としている一方で、企業と一般消費者の間で成立する取引に関するマーケティングをBtoC(Business to Consumer)マーケティングといいます。両者の違いについて、以下の表にまとめていますので参考にしてみてください。
BtoB | BtoC | |
---|---|---|
ターゲット種別 | 企業 | 一般消費者 |
ターゲット数 | 少ない(限定的) | 多い(幅広い) |
価格設定 | 案件ごとに見積り | 企業側が決定 |
取引金額 | 高額 | 少額(例外あり) |
意思決定プロセス | 企業の経営層や担当者 | 個人 |
購入の検討期間 | 長期間 | 短期間 |
主なマーケティング施策 | 長期間 | 短期間 |
BtoBはBtoCと比べて、「ターゲットの母数が限定的であること」や「1企業あたりの取引金額が高額であること」「意思決定に至るまで長い期間を要すること」といった違いがあります。
適切なタイミングでアプローチを行い、購買活動を促進するという点で、両者は共通していますが、成約に至るまでのプロセスは大きく異なるため、ターゲットのニーズや特徴を踏まえたうえで戦略を練る必要があります。
BtoBマーケティングの基本的な流れ
ここではBtoBマーケティングの基本的なプロセスについて解説します。
デマンドジェネレーションとは、BtoBマーケティングにおいて受注確度の高い見込み顧客を獲得または育成し、営業部門に渡すまでの一連のマーケティング活動全般を指します。
具体的にはテレアポ、セミナー、展示会、SEO、リスティング、外部メディアへの出稿など、さまざまな施策を通して獲得したリードに対して、それぞれの購買意欲にあわせたフォロー(メルマガ配信やDMの送付、セミナーの開催、ホワイトペーパーの配布など)で購買意欲を高め、営業がアプローチすべき見込み顧客、すなわちホットリードへと育てていきます。
関連記事:デマンドジェネレーションとは
デマンド(demand)とは日本語で「欲求」や「需要」と訳され、消費者が「こういう商品・サービスがあったらいいな」という欲求、あるいはその商品やサービスに対する需要のことです。このデマンドを呼び起こすデマンドジェネレーションは、主にBtoBで行われており、現代のBtoBマーケティングにおいて欠かせない活動のひとつになっています。デマンドジェネレーションは、以下の3つのプロセスで構成されます。次の章で、それぞれについて解説します。
リードジェネレーション(創出) :見込み顧客の獲得 リードナーチャリング(育成) :見込み客の関心や購買意欲を高める リードクオリフィケーション(選別):受注確度の高い見込み顧客の絞り込み |
リードジェネレーション(見込み顧客の創出)
リードジェネレーションとは、見込み客を獲得するための活動のことです。Webサイトの問い合わせや資料請求、展示会やセミナーで交換した名刺といったものが当てはまります。自社のターゲットに合った施策を選び、実行することにより、より受注確度の高い見込み顧客を獲得することができます。
リードナーチャリング(見込み顧客の育成)
獲得したリードの中には、購入をほぼ決めている「今すぐ客」と、まだ自社商品やサービスを理解しておらず検討度の低い「そのうち客」が存在しています。後者の見込み顧客の検討度を高めていく活動が、リードナーチャリングです。主な内容としては、メルマガやオウンドメディア、SNSやセミナーといった媒体を活用した情報発信があげられます。
リードクオリフィケーション(見込み顧客の選別)
リードナーチャリングで育成した見込み顧客のうち、購買意欲の高い見込み顧客(以下、ホットリード)を選別する活動をリードクオリフィケーションと呼びます。
見込み客の選別は、見込み顧客の属性や興味・関心、行動に応じて点数(スコア)を付与し、そのスコアを基準として見込み客の成熟度(購買意欲)を判断するスコアリングという方法や、見込み顧客の属性や特定の行動をトリガーにセグメントを行いダッシュボード上に可視化するといった方法があります。
商談・受注
抽出されたホットリードは営業担当者に引き渡され、製品やサービスの提案やクロージングが行われます。ホットリードは購買意欲が高いため、商談の進むスピードが早く、受注につながりやすい傾向にあります。
クロスセル・アップセル(追加受注)
クロスセルとは、顧客が検討または購入している製品やサービスとは別の関連商品を提案する営業手法です。アップセルは顧客が検討または購入している商品よりも、価格などのグレードの高い商品を勧める営業手法を指します。
いずれも顧客に対して単価アップをはかる手法で、企業の売上拡大に加えて、「よりよい製品・サービスを提案してもらった」という顧客満足度の向上や、LTVの最大化といった効果が期待できます。
BtoBビジネスは扱う商材の専門性が高いことから、一度築いた関係性は長期にわたって維持されることが多いです。そのため企業間での信頼関係が重視される傾向にあります。関係性が良好であると、追加受注や利用している商品・サービスのアップグレードを検討してもらえる可能性が高く、効率的に顧客単価を引き上げることができます。
継続利用
BtoBビジネスにおいては、新規顧客の獲得以上に既存顧客との関係性の維持や、ロイヤルカスタマー化を狙った施策が重要です。顧客との継続的なコミュニケーションを通して強固な関係性を築くことで契約を継続し、更にアップセル・クロスセル(追加受注)の機会を創出することで、LTVの向上を目指します。
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BtoBマーケティングの戦略の立て方と進め方3ステップ
BtoBマーケティングは、次の3つのステップに沿って進めていきます。
STEP1. 市場環境分析
BtoBマーケティングで成果を出すためには、自社や自社を取り巻く環境(市場や顧客や競合)について深く理解をしておく必要があります。市場環境分析で得た情報の精度が、自社のマーケティング戦略の精度に直結すると考え、取り組むとよいでしょう。ここでは、市場環境分析に役立つフレームワークを2つ紹介します。
3C分析
3C分析とは、「顧客(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」という3つを軸に市場環境を分析するフレームワークです。
SWOT分析
SWOT分析とは、3C分析によって得た事実や情報をもとに、自社の内部における「強み(Strength)」と「弱み(Weakness)」、逆に自社の外部の環境における「機会(Opportunity)」と「脅威(Threat)」を整理するフレームワークです。これらの4つの要素を掛け合わせることで、マーケティング戦略の方向性を模索していきます。
STEP2. 戦略の立案
STEP1の市場環境分析で得たことをもとに、いよいよ自社のマーケティング戦略を考えていきます。ここでは、STP分析というフレームワークをもとに、自社が狙うべき市場やターゲットを具体的に決めていきます。
STEP3. 施策の実行と改善
STEP2で、自社が狙うべき市場やターゲットを定めることができたら、4P分析というフレームワークを用いて、「自社の製品やサービス(Product)」「価格(Price)」「流通(Place)」「販促・プロモーション(Promotion)」を適切に組み合わせて、自社の売上と利益を最大化できるマーケティング施策を考えていきます。
具体的な施策は、次章のようなものがあります。自社の戦略との適性を考えながら、選定していきましょう。
BtoBマーケティングで取り組むべき!おすすめの施策15選
BtoBマーケティングを実践する際に、よく利用されるおすすめの施策を、デマンドジェネレーションのフェーズごとに17こ、ご紹介します。
リードジェネレーションの施策8選
まずは、見込み顧客を創出するフェーズである「リードジェネレーション」において、おすすめの施策を全部で10選、解説します。
リスティング広告
GoogleやYahoo!といった検索エンジンの検索結果画面に表示されるテキスト型広告のことです。顧客が検索したキーワードに連動して広告が表示される仕組みになっているため、購買意欲の高い顕在層にアプローチすることが可能です。
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告とは、Webサイトやアプリの広告枠に表示される広告のことで、「バナー画像+テキスト」で表示されることが多いため、「バナー広告」と呼ばれることもあります。広告を見てほしいユーザーの属性を指定して配信することができ、かつテキストを含めたビジュアルでユーザーに訴求することができるため、自社の製品やサービスにまだ興味を持っていないユーザーにもリーチすることができます。最近では、バナー画像ではなく、動画とテキストを組み合わせたディスプレイ広告も登場しています。
SNS広告
主にFacebookや、Instagram、X(旧Twitter)といったSNS上の広告枠に表示される広告です。各SNSを利用しているユーザーにアプローチすることができます。ターゲットによって、成果の出やすいSNS広告が異なるので、導入検討時に注意が必要です。以下に各SNS広告の特徴を簡単にまとめています。
- Facebook:ビジネス上のコミュニケーションにも活用されることが多いため、BtoB企業に所属するユーザーへのアプローチにも有効。若年層だけでなく、40~50代といった年齢層のユーザーも多く利用している。
- Instagram:特に10~20代といった若年層や、女性へのアプローチに有効。
- X(旧Twitter):10~20代の若年層へのアプローチに有効。特にIT業界に就業しているユーザーは、利用率が高い傾向にある。
SEO
SEOとは「Search Engine Optimization」の略称で、日本語にすると「検索エンジン最適化」といいます。基本的には、自社が運営するWebサイトに訪問してくれるユーザーを増やすために行う施策です。
Webサイトに訪問してくれるユーザーを増やすためには、「このWebサイトは、ユーザーにとって特に役に立つ内容を掲載している」と、検索エンジンに評価してもらう必要があり、そのためにあらゆる施策を打ちます。例えば、検索キーワードに合った記事コンテンツを作成・公開し、狙ったキーワードを検索しているユーザーにピンポイントに情報を届けるといったものです。
マス広告
マス広告は、自社の製品やサービスを、より多くの顧客に認知してもらいたいときに有効な施策です。ただし、アプローチできる層が広い分、投資額も高額になることが多く、製品やサービスのマーケットシェアをより確立させたいタイミング(いまこそ勢いをつけて、シェアを確立すべきと考えられるタイミング)で実施するのが良いでしょう。
代表的なものにテレビCMがありますが、近年ではタクシーの利用客向けに、タクシーの車内で配信することができるタクシー広告といったものがあります。タクシー広告の有益性はまだあまり広く知られていませんが、タクシーはビジネスシーンで企業の決裁者も利用することが多いため、ハイレイヤーへの製品やサービスの認知にも適しています。
プレスリリース
プレスリリースは、自社の取り組みを、新聞社や雑誌社、Webメディアといったメディア向けに記事として配信し、配信された内容に関心を持ったメディアによる転載などによって、自社についての情報が拡散されることを狙うものです。
ただし、メディアの担当者が関心を持つ情報は、「公共性がある」「先進的な取り組みに関する情報である」といった特徴がいくつかあります。その特徴を理解したうえで取り組むことが、より多くのメディアに注目されるにあたり重要になります。
セミナー(集客目的)
セミナーは、限られた予算で、なるべく多くのリードを集めたい企業におすすめの施策です。自社で主催したセミナーを、外部のイベント集客サイトや広告で告知することで、新規リードの獲得を狙うことができます。
また、外部の企業と共催で開催することも、非常におすすめです。コンテンツにオリジナリティが生まれ、集客にもヒットするため、多くのBtoB企業が取り組んでいます。
展示会
もう一つ、多くのリードを獲得できる施策としておすすめなのが、展示会への出展です。展示会によって、テーマや来場者規模、出展費用も様々ですが、短期間で自社の見込み顧客を数十件~数千件単位で獲得することができます。
もし、マーケティングをこれから強化するフェーズの企業であれば、展示会への出展をマストとしながら、+αで他の施策に取り組むことをおすすめします。また展示会は、「実施して終わり」にしてはならないマーケティング施策の典型例です。出展当日にいかにリードを集めるかはもちろん、獲得したリードをどのように育成し商談や受注に繋げるかといったことも、隣接部門と連携して設計しておく必要があります。
リードナーチャリングの施策4選
リードナーチャリングには、顧客との信頼関係の構築が必要不可欠です。顧客1人ひとりに合った最適なアプローチやフォローを行う必要があります。しかし、それらをすべて人力で行おうとすると、多大な労力と時間がかかってしまいます。
最短で成果を出すためにも、マーケティングのナーチャリング施策を取り入れ、顧客との信頼関係の構築や、検討確度を高める活動を自動化・効率化していきましょう。
ここでは、リードナーチャリングにおいておすすめの施策を4つご紹介します。
MAツールによるリードナーチャリング
BtoBマーケティングにおいてリードナーチャリングに取り組むには、MAツールの活用が必須です。MAツールとは、「マーケティング活動で獲得したリードを育成し、商談化させるまでのプロセスを自動化または効率化するツール」です。
先ほどご紹介した、リードジェネレーションの施策で獲得したリードを、商談や成約に繋げるまでの過程で主に活用します。具体的には、保有リードに対してメルマガを配信し、定期的に情報発信をする他、Webサイト上の顧客の行動をログデータで把握できるため、顧客の興味関心に合わせてマーケティングや営業部門からアプローチをするといった使い方をすることができます。
セミナー(育成目的)
リードジェネレーションの施策として、前述でご紹介したセミナー。リードナーチャリングのフェーズでも非常に有効です。商談にまだ至っていない見込み顧客にも、直接語りかけることができる機会であり、課題やニーズの喚起を行ったり、商材への興味関心を啓蒙することができます。
最近は、オンラインでの開催も一般的となり、開催場所の手配や、備品の準備といった負担を軽減しながら、手軽に開催できるようになっております。1対多、もしくは1対少数と、集客の数や形式を調整することで、顧客と接する時間の密度も調整可能なので、商談以外で見込み顧客と接触し、成約の機会を狙う、絶好の機会として活用できます。
インサイドセールスによるコミュニケーション
インサイドセールスは、電話やメールなどを駆使して、非対面で見込み顧客にアプローチする営業手法です。もともとSaaSといったビジネスモデルの企業には、多く取り入れられていた手法ですが、コロナ禍を経て製造業や印刷業など、現在は幅広い業界に取り入れられています。
インサイドセールスを導入する利点は、大きくは営業活動の効率化です。非対面で、限られた時間でも顧客と接触できるインサイドセールスを活用することで、検討度の高い顧客との商談を集中して獲得しやすくなり、また顧客も継続的にコミュニケーションをとってくれるインサイドセールスが、必要なタイミング商談を設定してくれるため、信頼感を持って企業と接することができるようになります。
リターゲティング広告
自社のWebサイトに訪れたことがある顧客に対して配信できる広告です。過去に1度でも自社サイトに訪れたことのある顧客をターゲットにして広告を配信することで、自社に興味を持つ顧客にピンポイントでアプローチできます。
BtoBの場合、顧客は基本的に商品の購入を即決することはなく、他商品との比較検討を経て、最終的に意思決定をします。しかし、顧客は情報収集や検討を進めていくうちに、検討意欲が下がることがあります。そのため、検討意欲が低くなる前に再度アプローチできるリターゲティング広告は、検討期間の長いBtoBビジネスにおいて非常に効果的です。
リードクオリフィケーションの施策2選
リードクオリフィケーションとは先述したとおり、見込み顧客の中から自社の製品やサービスの検討確度の高いひとを選び、営業部門へ引き渡すプロセスを指します。この工程がうまく機能すれば、営業活動の効率化や売上の獲得を実現できます。ここでは、リードクオリフィケーションの施策を2選紹介します。
MAツールによるリードクオリフィケーション
MAツールは、リードナーチャリングだけでなく、クオリフィケーションのフェーズにおいても、その価値を発揮します。MAツールによっては、見込み顧客の属性や興味・関心、行動に応じて点数を付与し、その点数を基準に見込み顧客の成熟度(購買意欲)を判断し選別するという「スコアリング」という方法があります。
但しスコアリングは、使いこなす難易度が高いと言われているため、BtoBの場合においては、見込み顧客の成熟度別にセグメントを切り、ダッシュボード上に簡易で可視化するといった他の方法もあるため、代用することもおすすめします。
インサイドセールスによる判別
いくら質の良いリードを獲得・育成しても、検討度の高い見込み顧客の選別がしっかりできていなければ、その先にある商談や成約に結びつけることは難しくなります。マーケティングとフィールドセールス(顧客と対面で提案やクロージングを行う営業)の橋渡し的な役割を担うインサイドセールスが、見込み顧客の検討度を見極め、フィールドセールスに渡すべき商談を判別することで、効率的な営業活動の実現や、成約を目指せます。
商談・受注における施策
リードクオリフィケーションで絞り込んだ購入期待度の高いリードに対して、営業担当者が直接アプローチし、商談へ持っていき受注へつなげます。
商談の前には、顧客の課題や状況、自社商品・サービスへの関心度合いを把握しておきましょう。事前に見込み顧客に対する理解を深めておくことで、商談時の営業トークや具体的な提案に活用でき、受注率を高められます。
SFAの活用
SFA(Sales Force Automation)の略語で、営業のあらゆる業務を効率化するツールです。主な機能としては顧客情報や商談・案件管理、見積り作成などが搭載されており、営業担当者の仕事をサポートします。SFA導入のメリットは、営業活動の見える化やノウハウの共有、業務の標準化が行える点です。
営業活動は、能力やスキルが営業担当者個人の力に依存してしまうことが多く、属人化が起きやすい職種のひとつです。属人化が進んでしまうと、担当者が不在の際の対応遅延が発生し、顧客からの信頼を失う恐れがあります。
しかし、SFAを導入することで、顧客情報が集約されるため、営業担当者が不在の際にも、顧客からの問い合わせに別の担当者がスムーズに対応できたり、データやノウハウの蓄積によって効率の良い営業活動を展開できるなど、属人化の解消のみならずさまざまなメリットを得られます。BtoBビジネスは顧客数が限られており、見込み顧客もBtoCほど多くはありません。1件1件の商談を大切にし、継続的な取引を続けることが重要です。営業活動に欠かせないツールといっても過言ではないでしょう。
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BtoBマーケティングの成功事例2選
最後に本記事の執筆元であるクラウドサーカス株式会社が提供するCMS『BlueMonkey』およびMAツール『BowNow』を導入し、BtoBマーケティングを実践した企業様の成功事例をご紹介します。
BtoBマーケティング強化で売上240%アップに!│ヒロセ補強土株式会社
ヒロセ補強土株式会社様は、地山補強土や軽量盛土など、補強土壁工法の提案・コンサルタント・工事を行っている企業です。
新型コロナウイルスの影響で受注数が大幅に減少したのをきっかけに、対面での営業活動に限界を感じ、新たな顧客開拓方法を模索していました。
そこでクラウドサーカスが提供するCMS「BlueMonkey」で自社サイトをリニューアルし、Web広告をスタート。その後MAツール「BowNow」も導入され、メルマガの配信やセミナー・ウェビナーの開催、ホワイトペーパーの実施など本格的なデジタルマーケティングを展開。
その結果、セッション数は2年で1,727から9,257の536%アップ、CV数は317%、売上は240%向上しました。デジタルマーケティングをきっかけに、自社のサービスを知らない新規顧客からの問い合わせも増加し、設計関連の問い合わせ数は約3倍に。施策を通してデジタルマーケティングの効果を感じられています。
強みやノウハウをアピールしてCV数の232%向上│株式会社ノビテック
株式会社ノビテック様は、ハイスピードカメラや画像計測機器、放送用カメラ機材の輸入を中心に、販売、保守、レンタル業務、さらにオリジナル製品の開発、設計、製造まで行っている会社です。
同社では取扱い製品の専門性が高く、高額品も多いため、対象顧客が非常に限られていることが課題となっていました。既存顧客からの売上拡大には限りがあると感じ、新規顧客の開拓のため、紙媒体や展示会などでの販促を実施。しかし、幅広い見込み先への周知が困難であり、継続性がないと感じていました。
そこで当社のCMS「BlueMonkey」でWebサイトをリニューアルし、自分たちの強みやノウハウをアピール。SEOを強化して、Web広告も出稿されました。MAツール「BowNow」も導入され、メール配信などを積極的に行われました。
デジタルマーケティングに注力された結果、CV数は年間268から622となり、232%向上を実現。セッション数も8,422から17,387となり、206%アップとなりました。Webサイトなどで商品・サービスの情報を確認してから問い合わせしてもらえるようになり、CVの質も向上したとのことです。
BtoBマーケティングで成功するために抑えておきたいポイント3つ
本章では、BtoBマーケティングに取り組む際に、基本として抑えておくべきポイントを以下の3つに絞りお伝えします。
- BtoBマーケティングで払拭すべき4つの不
- ほったらかしている顧客の80%が2年以内に競合他社に流れている
- 隣接部門との連携を怠らない
BtoBマーケティングで払拭すべき4つの不
「4つの不」とは、顧客が製品やサービスの購入を検討する際に抱きやすい4つの不の感情のことです。内訳は「不信」「不要」「不適」「不急」で、それぞれの意味は「不信=信用できない」「不要=必要ない」「不適=他社のものでよい」「不急=今じゃなくていい」となっています。
4つの不は、マーケティングや営業活動において非常に重要な概念で、これらの不をクリアするような施策を実行することで、顧客に自社の製品やサービスを選んでもらいやすくなります。
ほったらかしている顧客の80%が2年以内に競合他社に流れている
アメリカのアドバイザリー会社であるシリウスディシジョン社の調査によると、マーケティングや営業活動で獲得した見込み顧客(リード)は、獲得後にフォローせずにそのまま放置していると、なんとその約80%が2年以内に競合のサービスに流れてしまうということがわかっています。
せっかく数十万円もしくは数百万円以上といった予算を投資して獲得したリードが、後日こんなことになっていたら、とても勿体ないですよね。こういった事態を招かないためにも、リードは獲得したあとすぐに成約に至らなくても、中長期での成果創出を狙って、粘り強くフォローを行っていく必要があります。
隣接部門との連携を怠らない
BtoBマーケティングにおけるよくある失敗に、マーケティング部門と営業部門の連携不足が挙げられます。BtoBマーケティングは、デマンドジェンレーションにおける大きな流れの中で、営業活動を行う隣接部門との連携が必要不可欠です。
しかし、「売上目標を達成させる」という企業の最終目標(KGI)を、マーケティング部門が自分事として捉えられていなかったり、「営業部門が本当にほしいリードがどういった属性・状態のものなのか」を把握できていない場合、「成約に繋がりづらい、検討度の低い顧客との商談を営業部門に渡してしまう」といったトラブルを起こしやすく、両者の間に溝が生じてしまいます。マーケティング部門は営業部門と普段から積極的に情報共有を行い、企業の最終目標の達成に向かって足並みを揃えておくようにしましょう。
BtoBマーケティングでおすすめの本2選
BtoBマーケティングについての基本をおさえる際に、おすすめの本を2つご紹介します。
事例で学ぶ BtoBマーケティングの戦略と実践
BtoB企業が、展示会やテレアポだけでなく、インバウンドマーケティングで成果を出すために知っておくべき知識やノウハウがまとまった一冊。ケーススタディを中心に解説がされており、はじめてBtoBマーケティングに取り組む企業にもわかりやすい内容になっています。
究極のBtoBマーケティング ABM(アカウントベースドマーケティング)
ABMとは、具体的な企業(アカウント)をターゲットとし、アカウントからの売上を最大化するために戦略的にアプローチするマーケティングの考え方、もしくは手法のことを指します。本書はABMの基本的な考え方や、これまでの日本のBtoB企業のマーケティングとABMの違い、有効性などを詳しく紹介しています。
また、ご紹介した本以外にも、本メディアの記事を読んでくださった方向けに、無料のお役立ち資料『BtoBマーケティングハンドブック』をお渡ししております。以下よりダウンロードしていただけますので、よろしければご覧ください。
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BtoBマーケティング用語集
BtoBマーケティングにおいて、頻出の用語を解説します。以下は、取り組みが本格化するほど、日常的に利用することが多い用語です。
- ペルソナ
- カスタマージャーニー
- ROAS
- CV(コンバージョン)
- CVR(コンバージョン率)
- LTV(ライフタイムバリュー)
- CPA
- CTR
ペルソナ
ペルソナとは、ターゲットの人物像を、1人の具体的な人物が思い浮かぶレベルで細かく設定したものです。マーケティングの施策を適切に選定する上でも、このペルソナの設定は重要になります。また、BtoBマーケティングを進める際は、営業部門といった隣接するチームや外部のパートナーとの連携が必須になります。関係者にすばやく自社のターゲットを理解してもらうためにも、ペルソナを設定しておきましょう。
カスタマージャーニー
カスタマージャーニーとは、前述したペルソナが、購買に至るまでの典型的なプロセスを、一つの表に可視化したものです。検討状況に合わせたアプローチを行い、すこしでも多くの見込み顧客を獲得するために、カスタマージャーニーは作成・活用します。
ROAS
ROAS(Return On Advertising Spend)とは、広告にかけた費用に対して、どのくらいの成果を定量的に獲得できたのかを表す指標で、広告の費用対効果を確認する際に使用します。100%を最低ラインとし、この基準を超えれば超える程、広告の費用対効果が高いと言えます。ROASは、どの程度であれば高いと言えるのか、会社によって基準が異なりますので、施策を選定するまでに、事前に割り出しておきます。
ROAS(%)=広告経由の売り上げ÷広告費×100 |
CV(コンバージョン)
CV(コンバージョン)とは、BtoBマーケティングのなかでも、Webマーケティングやメールマーケティングでよく使用する用語です。具体的に顧客がアクションを起こし、それにより得られた「成果」を示す場合が多く、例えば以下のようなものが該当します。
- Webサイトにおける問合せや資料請求
- セミナーやイベントへの申し込み など
CVR(コンバージョン率)
CVR(コンバージョン率)とは、前述のCVが、ある母数に対してどのくらい起きたのかという割合を示すものです。母数には、例えば以下のようなものが該当します。
- Webマーケティングの場合:Webサイトへの流入ユーザー数
- メールマーケティングの場合:メルマガのクリック数 など
LTV(ライフタイムバリュー)
LTV(ライフタイムバリュー)は、顧客生涯価値とも呼び、自社がある顧客と取引を始めてから、関係が終了するまでに得られる売上や利益のことを指します。基本的に売上や利益を伸ばすためには、顧客の数を増やすだけでなく、顧客単価を伸ばしていくことも非常に重要です。
BtoBマーケティングでは、LTVを最大化できるよう、顧客と継続的にコミュニケーションを取り続け、課題やニーズが顕在化したときに、迅速に提案やフォローを行います。
CPA
CPA(Cost Per Acquisition)は、広告経由で特定のアクションが行われた際に、そのアクションの単価を表す指標です。商材やサービスのカテゴリーや、どのようなアクションを成果とするのかによって、目標CPAは異なります。
CTR
CTR(Click Through Rate)とは、Webサイトやメルマガにおいて、流入数や開封数といった母数に対して、特定のリンクをクリックする率のことを指します。Webマーケティングやメールマーケティングで、改善を行う際に役に立つ中間指標です。
まとめ
本記事ではBtoBマーケティングの基礎知識から進め方、効果的な施策や成功事例などについて解説しました。
BtoBマーケティングのプロセスは大きく分けると7ステップです。それぞれのステップごとに取り組むべき施策がいくつかあり、大変そう…と感じる方もいるかもしれません。
もちろん全部のプロセスをバランスよく進められるのが理想ですが、すべてを行うのは難しいのも事実です。まずは自社の課題や取り巻く現状を把握し、優先度の高い取り組みから着手していきましょう。
クラウドサーカスでは現在、デジタルマーケティングの基本知識と手法について60ページ以上の大ボリュームでまとめた「BtoBマーケティングハンドブック」を公開しています。こちらもぜひご覧ください。
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監修者
クラウドサーカス株式会社 石本祥子
新卒でコンサルティング会社に営業職として入社。3年で営業所長代理を経験後、ベンチャー企業を経て、クラウドサーカス社にマーケティング職として入社。
営業とマーケティング、いずれの経験もあることを活かし、クラウドサーカス社が提供しているMAツール『BowNow』において、マーケティングと営業に関するメディアの監修を含む、Webマーケティングの全域を担当している。